- 運営しているクリエイター
#フード
極秘スパイスはレシピにはないものだった【モロッコ風串焼き肉】(レシピエッセイ)
じつに2ヶ月ぶりに友人のカルメンがご主人と経営する豚肉専門店に立ち寄った。
開店時間直後で、店内ではマスクにフェイスシールドを着用し、さらに肘まである手袋にキャップをした彼女が忙しそうにショーケースの中をディスプレイしていた。
正直に言うと、自粛中の客足が影響し、商品が回転しなくて大変なのではないかと心配だった。けれども、店は商品の品揃えも鮮度も以前の状態をちゃんと維持していた。
ホッとする
おばあちゃんの手 〜山菜の話〜
山菜の季節なので、張り切って山菜を故郷から取り寄せてはせっせと料理している。
山菜は、買うと結構いい値段するけど、田舎ではそこら辺に生えているご馳走だ。旬の時期に小一時間も沢や山、林の中を歩くとカゴ何個分も取れたりする。
さらには、各地区に山菜採り名人がいて、いただくことも結構ある。もらってばかりでは悪いので、代わりに畑でとれた野菜や、これもいただきものなんだけどの食べもの、沢山作った郷土菓子
スペインの「フレンチオムレツ」はイカ焼きみたいなもんだという話
世界共通の人類の習性として、外国の風をダイレクトに吹き飛ばしてくるようなネーミングの料理に弱い。赤子の手を抓るように、あっけらかんと騙される。
「アメリカン」「イタリアン」「フレンチ」と名のつく料理が、実際に現地で食べてみると似ても似つかない料理で「ちゃうやん!」と突っ込みたくなることがよくあると思う。
同じように、海外で見る「ジャパニーズ」を掲げた料理に、びっくり仰天な食材が使われていたりし
アルボンディガス争奪戦【レシピ小説】
「今夜、早く帰るから待ってて。一緒に食べよう」
妻の胡桃が珍しく会社からメッセージを送ってきた。話したいことがあるらしい。
話の内容は実はお見通し。彼女の昇進報告だ。彼女はブライダルプランナー。正確には、今までは既存のプランに沿って準備に走り回る体力勝負の仕事内容だったのが、先月の仕事を無事に終えたら、チームリーダーとして実際にブライダルプランの提案を任される、と僕の親友で彼女の上司でもあ
義母の味、母の味、私の味【イワシの酢漬け】(レシピエッセイ)
今、イワシを手開きにしている。
鰓が鮮やかな赤色で、青く反射する背がピンと張っているのが新鮮な証拠。指先で鰓と下顎の部分を除いて、頭を外し、人差し指で内臓をかき出す。安価で手が届きやすい上、栄養価の高い青魚。思えば、スペインに来て、最初に教えてもらった料理が、この『イワシの酢漬け』だった。
私が一尾捌く間に四尾も捌いてしまう義母の手際良さ。慣れない私の手の動きは悲しいくらいに鈍く、折角の新鮮な