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紙・包・鶏、彪|ペーパーチキン

紙・包・鶏、彪|ペーパーチキン

こう蒸し暑い日が続くと、私はたまらなくシンガポール料理が食べたくなる。親しみやすい味わいに、ほどよい異国情緒も楽しめて、何はともあれビールに合う。料理名がカタカナ語的なところも馴染みやすくてとても楽しい。ところが、名前のイメージで頼んでみると、想像していたものとはやや違う料理が運ばれてくる。しかも、おいしさはその想像を優に超えてくる。そんな一筋縄でいかないところもシンガポール料理の魅力。

名物料

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極秘スパイスはレシピにはないものだった【モロッコ風串焼き肉】(レシピエッセイ)

極秘スパイスはレシピにはないものだった【モロッコ風串焼き肉】(レシピエッセイ)

じつに2ヶ月ぶりに友人のカルメンがご主人と経営する豚肉専門店に立ち寄った。

開店時間直後で、店内ではマスクにフェイスシールドを着用し、さらに肘まである手袋にキャップをした彼女が忙しそうにショーケースの中をディスプレイしていた。

正直に言うと、自粛中の客足が影響し、商品が回転しなくて大変なのではないかと心配だった。けれども、店は商品の品揃えも鮮度も以前の状態をちゃんと維持していた。

ホッとする

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カリフラワー鎮魂曲【カリフラワーのオリーブオイル炒め】(レシピエッセイ)

カリフラワー鎮魂曲【カリフラワーのオリーブオイル炒め】(レシピエッセイ)

ピンポーン

ピンポンピンポン、ピンポーン

 朝10時だっていうのにインターフォンが鳴る。大体、こういう落ち着きのない押し方をする人は、申し訳ないけれど、あまりお呼びでない人か、緊急事態発生で、とりあえず助けを求める切羽詰まった人、荷物の配達を一分でも早く終えて次の配達先へ向かいたい人がほとんど…答え合わせに玄関側の窓の内側から目だけそっと覗かせて外を見てみる。

「おはよぉぉ……」

 気の抜

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湯気までおいしいシュウマイ 【私のレシピノートから】

湯気までおいしいシュウマイ 【私のレシピノートから】

お店で食べるシュウマイのイメージは小さなセイロに3個入り、2人連れならまず1個ずつ取り残る1つをどうぞどうぞと譲り合う。やや大ぶりのが2個という店もあるし、定期的に足が向くだんだんめんの店は1個から頼めて男性客の多くは2個頼みそれにだんだんめんとサービスライスでご満悦。崎陽軒のシウマイ弁当を開けると「5個も!」と喜んでしまうぐらい不思議とシュウマイは数が少なめ設定のお店が多い。

なので一度好きな

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雨の日にはイワシの塩焼きと……

雨の日にはイワシの塩焼きと……

一昨日の夜から降り続いている雨。場所によっては豪雨に見舞われて被害も出るほどだが、幸い我が村周辺は、程よくチピチピと降ってくれている。恵みの雨と呼びたいところだけれど、そろそろ各地のワイナリーでスタートしているブドウの収穫に影響しませんように……。

ところで、雨の日になると食べたくなるものがある。それは、

『イワシの塩焼き』

どうして雨の日にイワシ?

そう思うはず。私もそう思った。

『こ

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染みわたる、秋。 【秋刀魚の炊き込みご飯】

染みわたる、秋。 【秋刀魚の炊き込みご飯】

旅の朝はなぜかやたらとお腹が空く。
さっき起きてまだ東京駅に着いただけ、なのにお腹はもうペコペコで、夜が明けきらないうちに家を出ないと間に合わないような新幹線も、旅の一食目となる駅弁を思えばなんのことはない。
旅先に着けば着いたで食べたいものがあるし、そうは言っても駅弁を食べない旅は寂しいからまず朝食と称して駅弁を差し込める早朝の出発は、朝がめっぽう強い私には好都合。

駅弁と普段目にする市販のお

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切る。焼く。食べる。秋の味覚を丸ごと楽しむバレンシアの風物詩【焼きカボチャ】

切る。焼く。食べる。秋の味覚を丸ごと楽しむバレンシアの風物詩【焼きカボチャ】

夏が去り、広葉樹の葉が緑から黄色へと移り変わり、美しい色遊びを楽しませてくれる季節。

この時期になると決まって、小さなガレージの扉を潜り抜ける。お世辞にも清潔感があるとは言えない薄暗いガレージの奥から、ロリおばさんの「ハーイ!ちょっと待って!」という声と、左後足の短い老犬チワワの甲高い吼え声が一緒になって私を迎えてくれる。

この店ときたら、営業日も定休日も決まっていなくて、昨日、来たらお休みだ

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