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市ヶ谷にある医学書出版社が発信するアカウントです。 専門医の先生方にご監修いただいた正…

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市ヶ谷にある医学書出版社が発信するアカウントです。 専門医の先生方にご監修いただいた正しい医療情報を発信いたします。

マガジン

  • 子供がほしい人のための正しい知識

    メジカルビュー社は産婦人科の専門書を数多く発行してきた経験を活かして、不妊治療・不育症治療の医学的に正しい知識を発信いたします。 不妊治療・不育症治療のエキスパートである黒田恵司先生の監修により、妊活をこれから始める方にも・すでに始めている方にも、不妊症・不育症専門医の監修・執筆による、エビデンスが明確な、偏りのない情報をわかりやすくコンパクトに、厳選してお届けいたします。 女性を診る機会のある医師の方にも、知識のアップデートにご活用いただけたらと思います。ぜひフォローください。 【毎週水曜日更新予定】

記事一覧

不育症治療をしても流産してしまったら

※再度流産してしまうという不安をあおってしまう可能性もあるため、不育症治療をしたのに流産を再度したときに読んでもらうとよいと思います。 絨毛染色体検査をしてみよ…

不育症の治療方法②

不育症の治療法は、何度も言いますが流産率を上げる不育症や流産のリスク因子を少しでも減らすことです。それぞれのリスク因子ごとの治療法を解説します。 前回に続き、今…

不育症の治療方法

 不育症の治療法は、何度も言いますが流産率を上げる不育症や流産のリスク因子を少しでも減らすことです。それぞれのリスク因子ごとの治療法を解説します。  まず,今回…

流産は治療できる?

流産の治療は難しい流産の約80%は受精卵に偶発的に生じた染色体異常が原因で、その受精卵の染色体異常を治療することは不可能です(文献1)。ヒトはもともと受精卵の染色体…

流産や不育症の検査方法

以前、流産や不育症にどうしてなってしまうのか?またそのリスク因子についてお伝えしました。 今回は、流産や不育症の検査方法についてお話したいと思います。 流産や不…

間違いだらけの不妊治療 体外受精編②

インターネットをみてみると、体外受精に関して本当にたくさんの間違った情報が流れています。また一部の企業は自分たちの製品を使ってもらうため、一部のクリニックは自分…

間違いだらけの不妊治療 体外受精編①

インターネットをみてみると、体外受精に関して本当にたくさんの間違った情報が流れています。また一部の企業は自分たちの製品を使ってもらうため、一部のクリニックは自分…

間違いだらけの不妊治療(一般不妊治療編)

不妊治療に関して、インターネットではたくさんの情報が流れています。すぐに情報が得られるので、非常に便利なのですが、その一方で間違っている情報もたくさんあります。…

どうすれば不妊治療と仕事を両立できるの?

不妊治療と仕事の両立は難しい!しかし…仕事をしてキャリアを積む中で、女性は妊娠・出産の時期をいつにすべきか悩む方も多いと思います。総務省の労働力調査によると、日…

どういう状況ならば不妊治療に保険が使えるの?

不妊治療はもともとほとんどが保険適用外の自由診療で、特に体外受精は経済的負担も大きいために、43歳未満の女性を対象に厚生労働省が助成制度による支援を行ってきました…

データから妊娠力を考えてみよう

これまで不妊症や不妊症に対する不妊治療について書いてきました。 ここでは、すでに不妊治療を開始している方を対象として、検査結果をもとに、あなたの妊娠力を考えてみ…

不妊治療はどのように進んでいくの?

不妊治療は不妊の原因を見つけ、治療することが原則です。 例えば不妊原因が排卵障害であれば、排卵をサポートすることで、他に不妊原因がなければ妊娠できます。 不妊治…

不妊治療ではどれくらい通院しなければいけないの?

不妊治療がはじまると何度も通院しなきゃいけないから、仕事しながらでは無理かな…、と諦められている方もいるかもしれません。通院回数や診療時間を知っておくと仕事など…

不妊治療ではどんなことをするの?②体外受精

体外受精のプロセスは?体外受精は5つ過程と必要に応じて6つ目の胚凍結の過程があります。 ①卵胞を複数発育するための「卵巣刺激」 ②卵子を採取する「採卵」 ③体の外…

不妊治療ではどんなことをするの?①

不妊治療にはどんな種類がある?不妊治療における治療方法は大きく分けると3つあります。排卵の時期にあわせて性交渉をもつタイミング法、排卵の時期にあわせて運動性の高…

不妊原因は人それぞれ違う? 検査の重要性

不妊の原因を探すことが、妊娠への早道不妊治療はまず何が妊娠できない原因かを探すことが最も重要です。その不妊原因が見つかり取り除くことができれば、自然に近い治療で…

不育症治療をしても流産してしまったら

※再度流産してしまうという不安をあおってしまう可能性もあるため、不育症治療をしたのに流産を再度したときに読んでもらうとよいと思います。

絨毛染色体検査をしてみよう(流産したことがある人は保険診療です)不育症や流産のリスク因子を治療しても流産してしまった場合、検討してもらいたいことがあります。それは、「絨毛染色体検査」です。流産した胎児を染色体検査で確認することです。図のように、23対46本あるは

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不育症の治療方法②

不育症の治療法は、何度も言いますが流産率を上げる不育症や流産のリスク因子を少しでも減らすことです。それぞれのリスク因子ごとの治療法を解説します。
前回に続き、今回は「糖尿病や肥満」「免疫異常」「生活習慣」「女性の年齢」「原因不明不育症」を取り上げます。

糖尿病や肥満妊娠前からの管理が重要

糖尿病や糖尿病予備軍といわれる耐糖能異常や肥満は流産のリスク因子になります(文献1)。肥満があれば妊娠前か

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不育症の治療方法

 不育症の治療法は、何度も言いますが流産率を上げる不育症や流産のリスク因子を少しでも減らすことです。それぞれのリスク因子ごとの治療法を解説します。
 まず,今回は「血栓性素因」「甲状腺機能異常」「子宮内病変」「染色体異常」を取り上げます。

血栓性素因(抗リン脂質抗体症候群、プロテインC欠乏症、プロテインS欠乏症、第XII因子欠乏症)基本は低用量アスピリン療法

血栓性素因の治療は、血液をサラサラ

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流産は治療できる?

流産の治療は難しい流産の約80%は受精卵に偶発的に生じた染色体異常が原因で、その受精卵の染色体異常を治療することは不可能です(文献1)。ヒトはもともと受精卵の染色体異常が多く、どうしても避けられない流産があります。
ただ、受精卵以外の問題で流産率を上げるリスク因子を、少しでも減らすことはできます。つまり流産の治療の基本は、流産や不育症のリスク因子をひとつでも減らすことです。
ただ、不育症の多くはリ

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流産や不育症の検査方法

以前、流産や不育症にどうしてなってしまうのか?またそのリスク因子についてお伝えしました。

今回は、流産や不育症の検査方法についてお話したいと思います。
流産や不育症のリスク因子は以前述べたとおり、さまざまです。その主な検査方法を表に示します。

問診・生活習慣の確認まずは、生活習慣の確認をしましょう。
流産率を上げる肥満、喫煙やカフェイン摂取状況、精神的なストレスの有無を確認します。

子宮形態

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間違いだらけの不妊治療 体外受精編②

インターネットをみてみると、体外受精に関して本当にたくさんの間違った情報が流れています。また一部の企業は自分たちの製品を使ってもらうため、一部のクリニックは自分たちの病院へ患者さんを呼び込むために、エビデンス(根拠)の不確定な検査や治療をあたかも完成された治療のように書いていることもあります。
 ここでは、前回、前々回に引き続き、きちんとしたエビデンスのある、間違いのない情報を実際に患者さんから聞

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間違いだらけの不妊治療 体外受精編①

インターネットをみてみると、体外受精に関して本当にたくさんの間違った情報が流れています。また一部の企業は自分たちの製品を使ってもらうため、一部のクリニックは自分たちの病院へ患者さんを呼び込むために、エビデンス(根拠)の不確定な検査や治療をあたかも完成された治療のように書いていることもあります。
 ここでは、きちんとしたエビデンスのある、間違いのない情報を実際に患者さんから聞かれた質問に沿って、説明

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間違いだらけの不妊治療(一般不妊治療編)

不妊治療に関して、インターネットではたくさんの情報が流れています。すぐに情報が得られるので、非常に便利なのですが、その一方で間違っている情報もたくさんあります。
患者さんから実際に聞かれた質問に沿って、間違いのない情報を説明していきたいと思います。

Q. 閉経するまで妊娠・出産はできますか?いつまで妊娠ができるか、というのは非常に難しい質問です。
閉経は平均50歳ですが、50歳近くまで妊娠でき

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どうすれば不妊治療と仕事を両立できるの?

不妊治療と仕事の両立は難しい!しかし…仕事をしてキャリアを積む中で、女性は妊娠・出産の時期をいつにすべきか悩む方も多いと思います。総務省の労働力調査によると、日本の雇用者のうち女性の割合は年々増加して、2017年にすでに40~50%を占めており、20~44歳の生殖年齢の女性の7割以上が仕事をしていることがわかっています(文献1)。

職場の理解は重要

30代に入って、キャリアを積んで重要な仕事を

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どういう状況ならば不妊治療に保険が使えるの?

不妊治療はもともとほとんどが保険適用外の自由診療で、特に体外受精は経済的負担も大きいために、43歳未満の女性を対象に厚生労働省が助成制度による支援を行ってきました。2022年4月に体外受精に対する助成支援事業が撤廃され、大幅に不妊治療の保険適用の拡大が進みました。
厚生労働省が提示した、保険適用の概要を図に示します(文献1)。これだけみてもわからないことが多いと思いますので、解説をしていきたいと思

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データから妊娠力を考えてみよう

これまで不妊症や不妊症に対する不妊治療について書いてきました。
ここでは、すでに不妊治療を開始している方を対象として、検査結果をもとに、あなたの妊娠力を考えてみたいと思います(まだ検査を行っていない方であれば読み飛ばしていただいても結構です)。

一般的な不妊治療のスクリーニング検査は、①経腟超音波検査、②子宮卵管造影検査、③ホルモン採血検査、④抗ミュラー管ホルモン(AMH)検査、⑤精液検査などが

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不妊治療はどのように進んでいくの?

不妊治療は不妊の原因を見つけ、治療することが原則です。
例えば不妊原因が排卵障害であれば、排卵をサポートすることで、他に不妊原因がなければ妊娠できます。

不妊治療を行ううえでの注意点筆者が考える、不妊治療を進めるうえで難しい点は3つあります。

ヒトは妊娠率が低い!

ひとつはヒトの妊娠率の低さです。前述のとおり不妊の原因がなくてもヒトは1カ月で約20%しか妊娠しません。そのため不妊症なのか偶発

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不妊治療ではどれくらい通院しなければいけないの?

不妊治療がはじまると何度も通院しなきゃいけないから、仕事しながらでは無理かな…、と諦められている方もいるかもしれません。通院回数や診療時間を知っておくと仕事などとの調整にも役立ちますので解説していきます。

タイミング法と人工授精タイミング法や人工授精は、超音波検査やホルモン検査、基礎体温などで排卵日を予測し、妊娠しやすいタイミングで性交渉もしくは人工授精を行う方法です。
通院回数は、排卵障害の有

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不妊治療ではどんなことをするの?②体外受精

体外受精のプロセスは?体外受精は5つ過程と必要に応じて6つ目の胚凍結の過程があります。
①卵胞を複数発育するための「卵巣刺激」
②卵子を採取する「採卵」
③体の外で卵子と精子を受精させる「体外受精」もしくは「顕微授精」
④受精後に培養した受精卵を子宮の中に移植する「胚移植」
⑤着床や妊娠維持にとって重要なプロゲステロン(黄体ホルモン)を補充する「黄体補充」
⑥すぐに使用しない受精卵を凍結保存する「

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不妊治療ではどんなことをするの?①

不妊治療にはどんな種類がある?不妊治療における治療方法は大きく分けると3つあります。排卵の時期にあわせて性交渉をもつタイミング法、排卵の時期にあわせて運動性の高い精子を集めて子宮内に注入する人工授精、排卵する前に卵子をとって体外で受精した受精卵(胚)を子宮内に入れる体外受精があります。

タイミング法まずは排卵のメカニズムのおさらい

女性の卵巣では、月経が始まったあとから、だんだん卵子の入った卵

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不妊原因は人それぞれ違う? 検査の重要性

不妊原因は人それぞれ違う? 検査の重要性

不妊の原因を探すことが、妊娠への早道不妊治療はまず何が妊娠できない原因かを探すことが最も重要です。その不妊原因が見つかり取り除くことができれば、自然に近い治療で妊娠できる可能性があります。それぞれの不妊原因と、それに対するスクリーニング検査(不妊原因をみつける検査)を見てみましょう。

不妊原因は一つとは限らない

例えば排卵障害などの明らかな不妊原因がひとつあっても、不妊症のスクリーニング検査は

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