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工藤吉生(くどうよしお)の短歌・3ヶ月ごとのまとめ

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工藤吉生(くどうよしお)の短歌。制作期間3ヶ月ごとのまとめ。投げ銭方式ですので、無料ですべて読めます。
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#創作

工藤吉生の短歌まとめ・第二十五期【2017年7-9月】20首

工藤吉生の短歌まとめ・第二十五期【2017年7-9月】20首

▼この時期の主な出来事
NHK短歌テキスト「ジセダイタンカ」掲載。小説投稿サイト「トークメーカー」での歌会「匿名歌会」に参加。詩歌SNSサイト・poecriの「poecrival2」掲載。

〈1〉
お一人様ですねとひとさし指が立ちひとりしかいないオレがうなづく

〈2〉
オレのだと思ったパスタが近づいて隣の席に置かれる真昼

〈3〉
人生のうすい汚点にディズニーではぐれて何も乗らなかった日

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工藤吉生の短歌まとめ・第二十四期【2017年4-6月】20首

工藤吉生の短歌まとめ・第二十四期【2017年4-6月】20首

「マストドン」で短歌の発表を開始。「山形歌会」参加。「現代短歌」への投稿をやめた。小説雑誌「野性時代」で始まった「野性歌壇」第1回で特選。

〈1〉
ここからは学習塾が覗けるぞ時計が見えるエアコンが見える

〈2〉
出勤に「スナック愛」を通過するつらく別れた人の名前だ

〈3〉
人生の喜怒哀楽は見下ろした交差点にはたちあらわれず

〈4〉
交差点を見下ろす位置の昼食にケンタッキーを一口こぼす

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工藤吉生(くどうよしお)の短歌まとめ・第二十三期【2017年1-3月】20首

工藤吉生(くどうよしお)の短歌まとめ・第二十三期【2017年1-3月】20首

「未来」二年目。四年半つづけた短歌研究「うたう★クラブ」への投稿をやめた。「公募ガイド」初掲載。「仙台っこ歌壇 俵万智賞」準賞受賞。

〈1〉
十一月下旬の大気に含まれる何かを吸ったオレのさびしさ

〈2〉
おみこしになって元気な人達にかつがれたいな年に二回は

〈3〉
妄想は百万本の紅い薔薇をバルコニーから見下ろしている

〈4〉
つらすぎて笑っちゃうよというふうに朝の車道を枯葉ふらつく

〈5

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工藤吉生(くどうよしお)の短歌まとめ・第二十二期【2016年10-12月】20首

工藤吉生(くどうよしお)の短歌まとめ・第二十二期【2016年10-12月】20首

〈1〉
石ころが海の底へと落ちてゆくさまを思うよ今日のおわりに

〈2〉
三日月の欠けたところに腰かけるみたいにオレを知ろうとするな

〈3〉
108ピースパズルでつくる富士山の頂上ふたつのピースより成る

〈4〉
メガホンを持って応援する者のメガホンの中にある口うごく

〈5〉
自販機のペプシコーラに汗だくの頬で触れたよ青春みたく

〈6〉
注意され、注意されたくないことがわかる返事をしてはずか

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工藤吉生(くどうよしお)の短歌まとめ・第二十期【2016年4-6月】20首

工藤吉生(くどうよしお)の短歌まとめ・第二十期【2016年4-6月】20首

合同歌集「みずつき5」参加。仙台文学館「ことばの祭典」参加。「ネットプリント毎月歌壇」への投稿を開始。

〈1〉
かなたよりジグソーこぼれ現代の一兆ピースに生き埋めの君

〈2〉
図書館はとてもしずかで子供なりの小声がおしっこと言っている

〈3〉
行きたくはならない朝の道で見る小石の影の濃いこと濃いこと

〈4〉
光陰は矢の如く過ぎオレはいま二度寝を終えて三度寝に入る

〈5〉
二曲目で寝て五曲

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工藤吉生の短歌【15】2015年1-3月〈20首〉

工藤吉生の短歌【15】2015年1-3月〈20首〉

【第十五期】2015年1-3月。57首発表。
32ページからなる「工藤吉生短歌集」を作成、印刷する。
歌集の批評会に初めて参加した。

〈1〉
遠足の途中でオレの家が見えそのまま帰っちゃダメなんですか

〈2〉
まっさらな心に石を投げ入れた波紋のひとつ、(ひとつ)、((ひとつ))

〈3〉
宝くじ買いたくないが当たりたいオレの気持ちを知ってる手口

〈4〉
スーパーのBGMの中で聴く叱責、どこをと

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工藤吉生の短歌【10】2013年10-12月〈20首〉

工藤吉生の短歌【10】2013年10-12月〈20首〉

【第十期】2013年10-12月。64首発表。
結社「塔」で最初の一年を終えて二年目になり、「若葉集」から「作品2」欄へ移る。

〈1〉
長身の黒人ひとり異次元に通じる穴のようにたたずむ

〈2〉
触れたものが黄金になる王様を時おり思いあわれに思う

〈3〉
地下鉄で男のカバンが二度三度オレのケツに触れ憎しみを抱く

〈4〉
菓子パンがパンを失いビニールがベッドの上につくる陰影

〈5〉
店長と喧

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工藤吉生の短歌【9】2013年7-9月〈20首〉

工藤吉生の短歌【9】2013年7-9月〈20首〉

【第九期】2013年7-9月。65首発表。
年に一回の歌会「東北歌会」参加。
「ハッピーマウンテン6号」に連作などで参加〈14~20〉。
散歩しながら作歌するようになる。

〈1〉
マニュアルに沿って洗った手ばかりが十本揃い朝礼となる

〈2〉
連絡です工藤吉生さん明日までに必ず検便出して下さい

〈3〉
礼をする角度ビシッと決まってる上司にビシッとした礼くらう

〈4〉
こっそりと駄洒落を落とす

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工藤吉生(くどうよしお)の短歌【3】25首〈2012年1-3月〉

工藤吉生(くどうよしお)の短歌【3】25首〈2012年1-3月〉

【第三期】 2012年1-3月。254首。
このころ「うたのわ」での発表を開始。「うたらば」への投稿を開始。短歌の総合誌(短歌研究)を初めて買う。

〈1〉
世界から悲しいことをなくすため消えてもらった最初の一人

〈2〉
1ページめくるたんびに誰か死ぬ本を読み終え畦道を行く

〈3〉
何か言う時の形の口をして自分の番を催促してる

〈4〉
賞味期限過ぎてるものを朝昼晩食べて強気な態度で暮らす

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工藤吉生(くどうよしお)の短歌【2】2011年11-12月〈25首〉

工藤吉生(くどうよしお)の短歌【2】2011年11-12月〈25首〉

【第二期】 2011年11-12月。226首発表。
もっとも多作だったころ。「ドラえもん短歌2011」へ投稿した。それ以外はツイッターで発表しブログにまとめるスタイルだった。

組み立てた線路に汽車を走らせる少年の背を陽が包み込む

「死ね」という言葉によって君の持つ説得力が自殺したのだ

うんこ味のカレーの方を真剣に選んだ君の頬に飯粒

トリックオアトリートか何か知らないが悪いガキには容赦はしな

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工藤吉生の短歌【1】2011年8-10月〈20首〉

工藤吉生の短歌【1】2011年8-10月〈20首〉

【第一期】 2011年8-10月。121首を発表。
短歌を始めたばかりのころ。ツイッター上で開催された「歌のある短歌コンテスト」向けにたくさん歌を作ってはすぐにツイッターに流していた。

1

人生はお金じゃないよ心だよそう思ってもお金が欲しい

2

落ちたものフーフーすればまだ食える フーフーせずに食っても平気

3

世界から悪を滅ぼし永遠にその名を刻む勇者ああああ

4

算数の問いに出て

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