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読書感想

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記事一覧

伊坂幸太郎 『火星に住むつもりかい?』 【読書メモ】

伊坂幸太郎 『火星に住むつもりかい?』 【読書メモ】

今(2022年8月現在)の日本で起こってる出来事や論争に
関心がある人は、
この小説に心を揺さぶられるかもしれない。
何が正義なのか。
常識とは何か。
正しいと信じて疑わない人、それを利用する人、犠牲になる人。
気づかない人、考えない人、考える人、戦う人。

加護エイジが、ハッとさせることをいう。
戦争だって始まるときは、“みんな”の大事なものを守るために。

伊坂幸太郎作品の登場人物が語る、豆知

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森博嗣 『幻惑の死と使徒』 【読書メモ】

森博嗣 『幻惑の死と使徒』 【読書メモ】

シトシト

犀川先生のテレビ(メディア)嫌い。
相変わらず全員タバコ好き

西之園さん、こんなに素直やっけ?

「今でも、何か不思議なことに出会うと、僕は、自分の知らない法則だと思うことにしている。ときには、世の中の誰も知らない法則かもしれない」
これを素敵な事だと言う。
そしてこの素敵なことは大人になるにつれて少なくなる。
これを見つけ出して一つずつクリアにしていく。
そうしないと新しい素敵なこ

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上遠野浩平 『ブギーポップ·アンバランス ホーリィ&ゴースト』 【読書メモ】

上遠野浩平 『ブギーポップ·アンバランス ホーリィ&ゴースト』 【読書メモ】

“君の言う、その力と意志のバランスが取れた存在というものがもしもいるとして― ではその彼らは何をすればいいと言うのかな。彼ら自身にはもう、なんの不足もないんだ。(中略)人の目的が、君の言うようにバランスをとることにあるのだとすれば― 今の君は、バランスが取れているんじゃないのか?”

自分のバランスが悪いと思ってそれを正しくしようと日々何かを行っている状態が実はバランスがいいのかもしれない。
それ

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ジャック·ケッチャム 『隣の家の少女』 【読書メモ】

ジャック·ケッチャム 『隣の家の少女』 【読書メモ】

少年の心情が素直に描写されてる。
2つの感情が整理されることなく存在しているような。

年上、年下、同年代の同性や異性に対しての感情もすんなり入ってくる。
少年時代の他者に対する、ある種の異常な興味。

冒頭からこの後何か起こるんじゃないかと思わせる雰囲気。

子供が考える「ゲーム」の残酷さとルールの理不尽さ、表面化する力関係がリアル。

「悪いこと」に惹きつけられる感情。

大人の絶対的な感じと

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辻村深月 『ツナグ』 読書メモ

辻村深月 『ツナグ』 読書メモ

《2023年3月25日追記》
このnoteの記事を元にブログ書きました!
良ければ覗いてみてください!

辻村深月の本って自分のために書かれたんじゃないかっていう幸福な勘違いをさせてくれる。

自分が名刺代わりにする本は、同作者の『凍りのくじら』。

この作者が書く、
主人公から見た“周囲の人”に対する感情がスゴくしっくりくる。

家族の描写が生々しくて温かい。
父や母、祖母という存在の役割と責任

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フィリップ·K·ディック 『流れよ我が涙、と警官は言った』 【読書メモ】

フィリップ·K·ディック 『流れよ我が涙、と警官は言った』 【読書メモ】

久しぶりにSF読んだ。
名作と言われる理由がわかるかもしれん。

涙を流すということって浅い言葉で言うと深いよね。

京極夏彦 『狂骨の夢』 【読書メモ】

京極夏彦 『狂骨の夢』 【読書メモ】

「僕は救ってくれと頼まれれば金魚だって掬う」

京極夏彦にしか書けないってすごく思う。
圧倒的知識量と緻密な構成。
幻想的でもあるし。
終盤の畳み掛けからのエンディングもすごくて読後感がたまらん。

森博嗣 『数奇にして模型』 【読書メモ】

森博嗣 『数奇にして模型』 【読書メモ】

320ページくらいの正常と異常の話が刺さった。

人がカテゴライズしたがる理由。

カモノハシが哺乳類と鳥類の間に属しているがそんなことは気にしていない。

人間がカテゴライズした内容を人間が認識しているから正常と異常がある。