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ティルドラス公は本日も多忙② 新伯爵は前途多難

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小説『ティルドラス公は本日も多忙』第2話。第1話『ハッシバル伯国は事もなし』及び付随音楽「『ティルドラス公は本日も多忙』のための音楽」も、別マガジンとしてまとめていますので、併せ… もっと読む
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記事一覧

ティルドラス公は本日も多忙② 新伯爵は前途多難(1)

第一章 宮廷の日々(その1) 春先に降り続いた長雨が嘘のように、ハッシバル伯国の国都・ネ…

ティルドラス公は本日も多忙② 新伯爵は前途多難(2)

第一章 宮廷の日々(その2) 思えば全てが慌ただしく変わった数ヶ月だった。彼の父で先代の…

ティルドラス公は本日も多忙② 新伯爵は前途多難(3)

第一章 宮廷の日々(その3) 重臣たちに異存はない。自分たちと同様ダンとメルリアンに従っ…

ティルドラス公は本日も多忙② 新伯爵は前途多難(4)

第一章 宮廷の日々(その4) 「何より残念なのは、私の親友を、伯爵にお仕えさせられなかっ…

ティルドラス公は本日も多忙② 新伯爵は前途多難(5)

第一章 宮廷の日々(その5) 手近な石に腰掛け、並んで西瓜を食べる二人。「いろいろと大変…

ティルドラス公は本日も多忙② 新伯爵は前途多難(6)

第一章 宮廷の日々(その6) 「軍を率いる将軍の人選でございますが――、」一座を見回しな…

ティルドラス公は本日も多忙② 新伯爵は前途多難(7)

第二章 骨の丘(その1) 当初の進軍は順調の一言だった。  ティルムレチスを進発したハッシバル軍は、国境のわずかな守備兵を蹴散らしてミストバル領内深く侵攻する。道筋にある村々はハッシバル軍によってたちまち蹂躙され、兵士たちによる略奪・暴行の末に火をかけて焼き払われた。ほとんど抵抗らしい抵抗にも出会わぬまま、七日の後、ハッシバル軍は沼沢地の中にあるボーンヒル――骨の丘という丘陵の近くにさしかかる。  この丘の上にはミストバル軍によって小さな砦が築かれており、周辺一帯への抑え

ティルドラス公は本日も多忙② 新伯爵は前途多難(8)

第二章 骨の丘(その2) 「夜襲でございますか?」あまりにも陳腐な作戦である。遠路を行軍…

ティルドラス公は本日も多忙② 新伯爵は前途多難(9)

第二章 骨の丘(その3) 一瞬にして全軍が恐慌を来す。慌てて逃げようとして沼に落ち溺れる…

ティルドラス公は本日も多忙② 新伯爵は前途多難(10)

第二章 骨の丘(その4) 彼女の言葉通り、ハッシバル軍の逃避行は惨憺(さんたん)たるもの…

ティルドラス公は本日も多忙② 新伯爵は前途多難(11)

第三章 フィリオの細流(その1) ここで話はいったんネビルクトンを離れ、エル=ムルグ山地…

ティルドラス公は本日も多忙② 新伯爵は前途多難(12)

第三章 フィリオの細流(その2) 「かほどの厚遇をいただき、何とお礼を申したら良いか分か…

ティルドラス公は本日も多忙② 新伯爵は前途多難(13)

第三章 フィリオの細流(その3) 彼女がハッシバル家に送られたのは四歳の時。表向きは一つ…

ティルドラス公は本日も多忙② 新伯爵は前途多難(14)

第三章 フィリオの細流(その4) 動き始めた戦争は、所詮、一公女の諫言で止まるものではなかった。両国が戦端を開いたのは、ボーンヒルの戦いの直後、夏八月の中旬のこと。まずトッツガー軍の先鋒部隊が威力偵察を兼ねてフォージャー領に侵入し、迎撃に現れたフォージャー軍と交戦、双方ともに大きな損害を出さないまま引き上げる。続いて、将軍トゥーン=カークトン率いる三千の兵が、フォージャー領に向けてアシュアッカを進発した。  トッツガー軍動くの報は、ただちに忍びの者によってフォージャー家の国