ティルドラス公は本日も多忙② 新伯爵は前途多難(14)
第三章 フィリオの細流(その4) 動き始めた戦争は、所詮、一公女の諫言で止まるものではなかった。両国が戦端を開いたのは、ボーンヒルの戦いの直後、夏八月の中旬のこと。まずトッツガー軍の先鋒部隊が威力偵察を兼ねてフォージャー領に侵入し、迎撃に現れたフォージャー軍と交戦、双方ともに大きな損害を出さないまま引き上げる。続いて、将軍トゥーン=カークトン率いる三千の兵が、フォージャー領に向けてアシュアッカを進発した。
トッツガー軍動くの報は、ただちに忍びの者によってフォージャー家の国