音邑音音 (おとむら ねおん)otomura neon

タブレットをカンバスに描く。社会に流される心が止まり木に寄り道して書く。日々の証の備忘…

音邑音音 (おとむら ねおん)otomura neon

タブレットをカンバスに描く。社会に流される心が止まり木に寄り道して書く。日々の証の備忘録。

マガジン

  • 視覚に囁く『小ご絵』

    いつも大きくて立派な扉ばかり見せられてきたように思う。 深く考えることなく、大きくて立派な扉ばかり追いかけてきたように思う。 だけどいつもうまく開けられるわけじゃない。 ある日、見立たぬ物陰の通用門に気づく。 扉は軽く、ふれただけで開く。 その先に同じものがあるかどうかはわからない。 だけど、中には入れる。 あと戻りもできるから、試しに入ってみたら……。 そんな思いで描いた「絵のことば」。

  • 楽譜が読めない人のピアノ・レッスン

    楽譜を図解で理解する、楽譜を読むのが苦手な方のためのピアノ・レッスンです。 独学でも「必ず弾ける!」ようになります。 敷居の低いピアノで、あなたもピアノを弾いてみませんか?

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イラスト集『函館Graffiti』(電子出版)第2刷発行!

【更新情報】2021年9月6日、第2刷をリリース。  お買い求めいただいた方は第2刷にバージョンアップしていただけます。  これに伴い、第1刷の販売は終了いたしました…

1,000

長い休暇が終わってふと思い浮かんだこと。

 下手すりゃ夏の盆休みより長いGWが終わってしまった。どうしよう。  しばらくは真面目に汗水垂らして働くっきゃない。がまんはひと息つける8月までの3か月。そこに至…

男の側にある。

 細かいことに目配せ気配りを求められ卒なくこなすことができるのに、小さな厄介ごとに病むと女々しくなる。  女々しさは、昨今、女を指す言葉ではなくなった。女性揶揄…

女の側にある。

 日雇い肉体労働に女の姿がある。筋骨隆々とは対極の華奢だが、荷を担ぐ影に怯みも迷いもない。強靭そのものだ。ひ弱な男と比すると期待をはるかに上まわる躍動がある。額…

風が通り過ぎて行く前に。

 風が通り過ぎていくように、あっという間だった。  鉄壁の壁で囲まれた安泰の幼少期もそうだった。青が基調の未熟な果実を追う爽快な酸味の時期もそうだった。  風は吹…

にゃおん日記ーー目覚め。

 毎日、寝て食って、ばかりじゃ飽き足らなくなって。    飼い主が旅行のGW中、ふらふら放浪してたら海に出た。  釣り人がいて、釣りを教わった。  おもしろいね、釣り…

夏の予定。

 北上した桜前線は日本を抜けて、代わって入道雲前線が日本列島を覆いそうな気配だよ。なんでも今年は去年以上の酷暑になるとの予報が出たね。晴れちゃほしいが曇れば少し…

にゃおん日記ーー逆転劇。

 とうとうここまできたか。人と猫との逆転劇。  シモベに追いやられた人類は、もはや飼い猫に頭が上がらなくなっている⁉︎   「ただいま。あ〜、楽しかった。  ちゃん…

二の足に二の腕を。

 納豆とトースト。納豆とカレー。この組み合わせ、個人的にはありえない。先入観が食わず嫌いを貫けと主張する。  でもさあ、狭視眼的視野は井の中の蛙になりかねない。…

ゆるいにぎり。

 お米は炊き上がると美味しくするためにシャモジを入れる。「おいしくなあれ」とわっしょいわっしょい。ひと混ぜふた混ぜ、「もっと美味しくなあれ」と三混ぜ、四混ぜ。ほ…

まさか、ね。

 楽しさに浮かれスキップを踏むように進んだ円安に、突如激震が走った。1日に3円値を下げた円が、一気に5円高くなった。  時はゴールデンウィークに突入した直後。「…

汗を流して働け、詐欺師諸君。

 やれカード決済の不具合だ、未払いあるぞ、還付金ほしかないか? 果てはメールを乗っ取ったぜ、このままでは社会の生命線が断たれるぞ、それが嫌なら金を出せと脅してく…

にゃおん日記ーーおいらのGW。

 ハワイが人気。  円が弱くても、殺到しているね。  今年のGWは抑圧が長期だったから、ハジけ具合に弾みがついてる。  気持ちはハジけたくても、くすぶってしまうこと…

納得への航路。

 ジェンダー平等は、女性らしさを不定する。慣用的な男尊女卑を糾弾する。  それって、女が男に近づき、男が女寄りに変異することを推進しようとする試み? 子孫へのバ…

潮流は作られている。

ーーカヌレが来ますね。ーー ーートゥンカロンが人気です。ーー    テレビやネットで、灯された火種が風を受けて広がっていく。円安にしても、専門家が「しばらく続きそ…

幻のピアニスト。

 椎名林檎の曲目を華麗な指さばきで演奏しきるガタイのいい男がいる。パッペルベルのカノンを1音ずつ愛おしむように追う老婆がいる。ストリートピアノは、人生を聴き入る…

イラスト集『函館Graffiti』(電子出版)第2刷発行!

イラスト集『函館Graffiti』(電子出版)第2刷発行!

【更新情報】2021年9月6日、第2刷をリリース。
 お買い求めいただいた方は第2刷にバージョンアップしていただけます。
 これに伴い、第1刷の販売は終了いたしました。

 函館に旅をするためのものではありません。
 函館の景色に、人に、出来事に、心がかすめたことがある方にこびりついた思いの軌跡、そんなはがすにはがせない瘡蓋みたいな燻りを、遠くに置き去りにしてきたみたいになっている思い出を、掘り起

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長い休暇が終わってふと思い浮かんだこと。

長い休暇が終わってふと思い浮かんだこと。

 下手すりゃ夏の盆休みより長いGWが終わってしまった。どうしよう。
 しばらくは真面目に汗水垂らして働くっきゃない。がまんはひと息つける8月までの3か月。そこに至るまで、今年もまた灼熱の長い夏に汗だくで抗わなければならん。どうしよう。

 ってなことも、リタイアしちゃえば、喉元すぎた熱さと一緒。毎日が夏休み。1年を通して冬休み。GWならぬゴールデンイヤーの幕開けだ!

 なのに昨今の労働事情ときた

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男の側にある。

男の側にある。

 細かいことに目配せ気配りを求められ卒なくこなすことができるのに、小さな厄介ごとに病むと女々しくなる。
 女々しさは、昨今、女を指す言葉ではなくなった。女性揶揄になるようなことをしたら、男女平等の理が黙っちゃいない。

 ところで、男女って平等になっちゃっていいの?
 生物学的に役割は違うし、トイレもお風呂も別々だし、きっちり線は引かれているっていうのにね。

 英語ではジェンダーエクイティという

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女の側にある。

女の側にある。

 日雇い肉体労働に女の姿がある。筋骨隆々とは対極の華奢だが、荷を担ぐ影に怯みも迷いもない。強靭そのものだ。ひ弱な男と比すると期待をはるかに上まわる躍動がある。額の汗は作業で舞い上がる埃を呼び汚れ、日焼けを覆う黒さを顔に広げ、だからよけいに時折りこぼれる笑顔の歯並びが光輝を際立たせていた。
 女は男以上だった。男女同権を謳う前に、しかとその目を見開いて現実を受け止めてみるといい。男女の間に線など引か

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風が通り過ぎて行く前に。

風が通り過ぎて行く前に。

 風が通り過ぎていくように、あっという間だった。
 鉄壁の壁で囲まれた安泰の幼少期もそうだった。青が基調の未熟な果実を追う爽快な酸味の時期もそうだった。
 風は吹き、通り過ぎていく。

 愛と風のように。

 振り向けば風の通り道が見える。だけどそこにあの風はもういない。風はいつだって頬を撫でたそばから手の届かない未来に行ってしまう。

 今年の大型連休も間もなく通り過ぎようとしている。

 あま

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にゃおん日記ーー目覚め。

にゃおん日記ーー目覚め。

 毎日、寝て食って、ばかりじゃ飽き足らなくなって。
 
 飼い主が旅行のGW中、ふらふら放浪してたら海に出た。
 釣り人がいて、釣りを教わった。
 おもしろいね、釣り。
 
 だって一石二鳥なんだもの。
 
 しばらくは家に帰れそうにない。
 飼い主には悪いが、気ままがおいらの悪い癖。飽きるまでここにいるよ。

夏の予定。

夏の予定。

 北上した桜前線は日本を抜けて、代わって入道雲前線が日本列島を覆いそうな気配だよ。なんでも今年は去年以上の酷暑になるとの予報が出たね。晴れちゃほしいが曇れば少しはマシになるーーならば今夏は曇り空一辺倒でお願いしまっす、てな気分になる。
 去年の夏はそりゃもうたいへんだったもの。

 それでも人の気持ちは噂と同じで七十五日、喉元過ぎれば去年の暑さだって、忘れちゃいないが薄らいでる。やっぱり夏は、スカ

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にゃおん日記ーー逆転劇。

にゃおん日記ーー逆転劇。

 とうとうここまできたか。人と猫との逆転劇。
 シモベに追いやられた人類は、もはや飼い猫に頭が上がらなくなっている⁉︎
 
「ただいま。あ〜、楽しかった。
 ちゃんとハワイ土産、サンゴの海で獲ってきたからね。
 
 それから、ゴールデンウィークの後半は家でゴロゴロするつもりだから、三度のごはん、よろしく。
 
 何はともあれ、旅行中の留守番、ご苦労さま」

二の足に二の腕を。

二の足に二の腕を。

 納豆とトースト。納豆とカレー。この組み合わせ、個人的にはありえない。先入観が食わず嫌いを貫けと主張する。

 でもさあ、狭視眼的視野は井の中の蛙になりかねない。納豆の大豆はメキシコでは塩で味つけされトルティーヤで巻かれることを思えば、粉系発酵加工品やお米と合わせてもあながち誤答とは言えなくなるんだよなあ。

 慣れ親しんだ味は速度を上げた車同様、おいそれと止められない。惰性は慣性で、勢いが傍流を

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ゆるいにぎり。

ゆるいにぎり。

 お米は炊き上がると美味しくするためにシャモジを入れる。「おいしくなあれ」とわっしょいわっしょい。ひと混ぜふた混ぜ、「もっと美味しくなあれ」と三混ぜ、四混ぜ。ほどよく空気を含んだら、ぎゅうぎゅうだった炊き立てが、上出来ふっくらご飯になって、目を見つめ合いながあ湯気のなか喜ぶ。腕のいい寿司職人だって握るシャリに空気を入れてお寿司を完成させるというじゃないか。ほどよい空気との共演は美味しいご飯の必需品

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まさか、ね。

まさか、ね。

 楽しさに浮かれスキップを踏むように進んだ円安に、突如激震が走った。1日に3円値を下げた円が、一気に5円高くなった。
 時はゴールデンウィークに突入した直後。「まさかね」の疑問が激震を追う。パパラッチが妃を追跡したみたいにして。
 
 まさかね。
 
「いやあ、姪っ子がハワイに旅行に出たものだから、気を利かせてささやかなプレゼントをだね……」
 
 なんてことではないでしょね?
 
「マスコミには

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汗を流して働け、詐欺師諸君。

汗を流して働け、詐欺師諸君。

 やれカード決済の不具合だ、未払いあるぞ、還付金ほしかないか? 果てはメールを乗っ取ったぜ、このままでは社会の生命線が断たれるぞ、それが嫌なら金を出せと脅してくる汚物以下の見下げたやり口。はたまたちゃっかりIDとパスワードを盗み取ってやろう、あわよくが架空の請求にうっかり振り込み狙う、下衆な詐欺メールがここ最近増加傾向にあるように思えてならない。

 そんな軽薄な罠に軽率にはまってなるものか。汗水

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にゃおん日記ーーおいらのGW。

にゃおん日記ーーおいらのGW。

 ハワイが人気。
 円が弱くても、殺到しているね。
 今年のGWは抑圧が長期だったから、ハジけ具合に弾みがついてる。

 気持ちはハジけたくても、くすぶってしまうこともあるにはあるよね。
 そうした時は小出しにするといいよ。溜めると体に毒だもの。
 近場でも外食でも、好きなところへ行ってくりゃいいじゃない。

 おいらかい?
 混んでるところにわざわざ行きたかないね。おいらにとっての幸せベスト3は

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納得への航路。

納得への航路。

 ジェンダー平等は、女性らしさを不定する。慣用的な男尊女卑を糾弾する。
 それって、女が男に近づき、男が女寄りに変異することを推進しようとする試み? 子孫へのバトンを繋ぐ役割以外はすべて対等になれって言っているのかな?

 ふうん。

 恋愛観が異性に対してばかりではなく、人柄や嗜好に幅を広げていった背景って、こんなところにあるのかもしれないね。認識面を含めてね。

 そもそも昨今では恋愛自体の勢

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潮流は作られている。

潮流は作られている。

ーーカヌレが来ますね。ーー
ーートゥンカロンが人気です。ーー
 
 テレビやネットで、灯された火種が風を受けて広がっていく。円安にしても、専門家が「しばらく続きそうですね」と発言すれば、行きもしない海外旅行に「しばらくは行けないなあ」と落胆色が広がっていく。
 
 潮流は作られている。
 
 さも世間が流行に染まってしまうように報道は導く。ブランドは戦略によって仕掛けられたものでしかないのにね。

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幻のピアニスト。

幻のピアニスト。

 椎名林檎の曲目を華麗な指さばきで演奏しきるガタイのいい男がいる。パッペルベルのカノンを1音ずつ愛おしむように追う老婆がいる。ストリートピアノは、人生を聴き入る、生きる道行きの休息地。生き急ぐ人は足を止め、立ち席は見る間に埋まっていく。聴衆の顔は演奏が始まると不意に現れいでた夢心地の繭に包まれ、コンサートホールの客席についたように穏やかになる。

 ひとつの人生のかけらが奏で終わると、次の人生のか

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