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効率的なケーキの切り分け方
とてつもなく大きなケーキが1ホール、28種の動物たちに囲まれている。
28個に切り分けられたケーキは、大きさがバラバラだ。いちごが乗っているものもあればそうでないのもある。チョコレートの板に、細くて白い文字が書かれた飾りが乗っているものもある。一つだったケーキは切り分けられた途端、それぞれ異なるものになってしまった。
「さて、じゃあ誰がどれを食べる?」
「じゃんけんで勝った奴から取ってくって
ごめんなさいをする理由
「じいちゃんはさ、裏のおじいさんと仲が悪いじゃん?」
「ああ、田中の爺さんのことかい?」
「そうそ。若いころに喧嘩したんだっけ?」
「うーん。ケンカ、というよりはあっちが一方的に、おじいちゃん達を傷つけるようなことをしたんだよ。まあ昔の話だけどね。」
「裏の、田中のおじいさんは謝らなかったの?」
「謝ったさ。少し、時間をおいてだったけどね。」
「謝ったのに許さなかったの?じいちゃんは。
5月病予防のために必要なこと
「はあ、5月だってよ。嫌だねえ…。」
「なんで?5月といったら連休があるし、気候も過ごしやすくなってくる頃合いじゃん?俺は5月、嫌いじゃないけどなあ。」
「阿呆。5月と言ったら5月病だろ。」
「5月といったら5月病ってことはないと思うけど。」
「年に何回かの、憂鬱な時期だよ。」
「そうかねえ。」
「毎年そうさ。連休明けになるとどっと押し寄せるんだよな。」
「何が?」
「なんとも言え
ミニマリストを知ってるか?
「ミニマリストって知ってるか?」
久しぶりにあった古くからの友人は、変わり果てた姿で登場した。
自由奔放だった髪の毛先はどこへやら、坊さん顔負けの短髪姿。
黒いTシャツとジーンズにサンダルというラフな姿は、欧米のテクノロジー業界人のようなファッションなのだが、いざ顔へ目をやればのっぺりとした薄顔が待ち構えている。
低身長で華奢な体格でもあるTHE東洋人と言ったその風貌に、シンプルなファッシ
親がいるということ、親であるということ
小学校の作文発表。
一人ひとり順番に立ち上がり、原稿用紙を小さな両手で高らかと掲げながら読み上げる。
テーマは自分の両親について。
「作文、『ぼくの親』。ぼくが一番最初にお世話になる親はペロです。」
「ペロ?」
「ペロは犬です。僕が起きるのを毎朝手伝ってくれます。」
「ふふふ。なるほど、ペロが朝起こしにきてくれるのね。」
「おかげで起きてすぐ、顔を洗う習慣も身につきました。」
「顔
タマゴは投げるものじゃない
「なんでこんなことしたの?」
母親が我が子に問いかける、よくある場面。
「受験勉強のストレス。」
「それは友だちだって一緒でしょ。他の子達がこんなことしてるのなんて聞いたことないよ。」
「そんなことないよ。似たようなことしてる子達は私の周りにたくさんいるし、テレビでもニュースになってたじゃない。」
「ニュースになってたのは生でしょ。あなたがパパに投げたのは、ゆで卵よ。」
「どうして生は
効率的なミカンの分け方
給食の時間。配膳台の前で二人の生徒がもめている。
「どうしたの?」
彼らの後ろに隠れて、銀色の配膳容器の中に一つだけ、ミカンが取り残されていた。
「こいつの言うミカンの分け方が気に食わねえんだよ。俺はじゃんけんがいいって言ってるのに。」
「じゃんけんだと食べられない人が出るじゃん。みんな、食べられないのは嫌だろ?だから一粒ずつ分けようって言ってるんだけど、こいつが聞かないんだよ。」
「な
この線から先は入ってこないで
「この線から先は入ってこないで。」
理科の授業だけは教室を移動して理科室で行われる。
理科室では一人一人の机はなく、4人で一つの大きな机を使うことになる。向かい合わせの人はそれほどでもないが、隣同士は間隔が狭く、私達は毎回もめ合っている。
「あんたの机の使い方が雑だから、私のノートが置けなくなっちゃう。」
「ああ、ごめん。」
そこで私は鉛筆の線で境界を作った。黒っぽい机の上なので、書いて