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バス・ドゥヴォス監督映画「Here」「ゴースト・トロピック」感想
今後、親しい人から好きな映画を聞かれたら、Hereを挙げると思う。それくらい好きになった。
2作とも、映像、音楽、配役、エンドロールに至るまで、美意識が一貫していて、すごいなあと。
静かで、素朴で、寂しい、ちょっとおかしみがある。
会話は少なく、大げさなリアクションや、分かりやすい対立関係もない。
でも部屋の様子や、他者との関わり方から、じんわり主人公の人生が伝わってきて、親しみを感じる。
主人
この景色をバス・ドゥボス監督ならどんな映画にするのかな、と思いながら、満開の桜の中をひとりで歩いた
映画「落下の解剖学」感想 - 観客はどこまで先入観を自覚できるのか
これはネタバレ無しで感想を書くのは難しいと思う。
転落死の事実関係や、登場人物の発言の真意も映画中では説明されず、観る側に判断が委ねられる。
そこで考えさせられるわけです。悪いのは誰か、なぜその人が悪いと感じるのか、そういう判断にいたる自分は、いったいどういうバイアスで物事を判断しているのか。
特に夫婦喧嘩を聞いて、どう思ったかは意見が分かれるところでは。
私は、妻であるサンドラが法廷に被告人と
「ミツバチと私」感想 - 自分もアイデンティティの一部に蓋をしたままなのかも
自分にとっては、かなり刺さる内容でした。パンフレットも買った。
配信ではなく、劇場で集中して観るのがおすすめです。言葉以外の感情表現がたくさんあるし、バスクのきれいな自然にも没入できるため。
特にこの映画をおすすめしたい人は、孤独感を誰も言えず分かってもらえないまま、どこかでアイデンティティの一部に蓋をしたまま大人になったような人かも。
以下、ネタバレ配慮無し感想です。半分は泣き言かも。
ドキ
アキ・カウリスマキ監督映画「枯れ葉」感想
「交友関係が狭く、仕事と家の往復、独身で中年、そんな自分に刺さっちゃって」という話をポッドキャストで聞いて、それはまさしく自分のことでは、と思ったのと、大島依提亜さんのポスターデザインがかわいいのとで気になっていました。観てきました。
以下ネタバレありの感想です。
全体的に孤高で、上品だな~と感じた。なんでなんだろう。
お金はないけど心は貧しくはない、みたいな人間的な豊かさがかっこいいのかな。
30代同性愛者、数年ぶりにフリーになったら途方に暮れてしまった
なんていうか、コミュニティ内にも居場所がないと感じてしまう。
20代から長く付き合ってきた元恋人との暮らしが終了して今30代。今と書いたけど、本当は別れてから少し時間が経っている。別れて以降、途方に暮れ続けているとも言える。
その元恋人以外は、当事者の友達と会うこともなくなっていて、やんわり繋がっていたSNSアカウントも休眠状態、二丁目にも久しく足を運んでいなかった。コロナ禍の影響も多少はある。
虚実の境が曖昧になりながら歩くことになるーさいたま国際芸術祭2023旧市民会館おおみやに行った感想
最終日前日の土曜日に見てきた。
まず会場内で、段ボールや使い古された清掃用具が置き去りにされていることに気が付く。あれ、ここって一般客が歩いていい場所なんだろうか、ときょろきょろ辺りを見渡してしまった。晴れの日の昼間にもかかわらず、全体的に暗く、ガラス窓は割れ、閉館した古い市民会館のいかめしさも相まって廃墟感すら感じる。
いたるところが黒い枠と透明板で仕切られており、それが空間内で明らかに異質な
ゴースト・ワールド感想
Xで見かけたポスターがレトロでかわいいので、気になった。
検索すると、「あのゴースト・ワールドが今劇場公開だなんて」や「ひゃ~でも観るの勇気がいるな~」といったテンションのつぶやきが散見されたので、期待も高まり、それ以上の前情報を入れるのは避けた状態でル・シネマ渋谷宮下へ。
以下ネタバレに配慮せず書きます。
イーニドのことを、モラトリアムだとか、青春の~とか、あの頃の生きづらさ、みたいなパッケ