マガジンのカバー画像

作品をかなでる。

11
田村奏天の書き物など。
運営しているクリエイター

記事一覧

固定された記事
第四回全国俳誌協会新人賞準賞受賞作『ハンカチのはりねずみ』

第四回全国俳誌協会新人賞準賞受賞作『ハンカチのはりねずみ』

 ありがたいことに、先日、第四回全国俳誌協会新人賞の準賞をいただきました。盾や賞金なんて手にするのは初めての経験でしたので、驚いたこと驚いたこと。

 どうやら受賞作は自身のページでも発表していいらしく、みなさん発表していらっしゃるので、ボクもnoteに貼り付けておきます。ただ、ボクの認識が正しければ、どうやら協会誌『俳句展望』及び、全国俳誌協会ウェブサイトに掲載されるらしいです。見る場は他にもあ

もっとみる
「あかるい生活」/「(We Don't Need to be)Said Something」

「あかるい生活」/「(We Don't Need to be)Said Something」

 不安や恐れは時として暗がりから生まれる。母校の文化祭では部屋の照明を落とすことが禁じられていて、結果として文化祭然とした展示企画のいくつかは封じられている。だからあの空間に叫声が響くことはない。
 名を失ったのちの世界はどれほどの闇に包まれているのだろうと思う。想像すればそれ以上に恐ろしいことはなくて、ボクの精神が自同律にどれほどの快を覚えているのかが明瞭に分かる。書き連ねるさなかにあって、名を

もっとみる
『ずいぶん溢れやすい水』

『ずいぶん溢れやすい水』

 大学卒業に際して、卒業制作を作りました。ボクのいる文芸・思想専修というところではそれは義務ではなく、ただ多くの単位をもらえる任意の授業というシステムでしたが、別に単位が足りないとかそういう理由ではなく、「そのために入学したのだから」という心持ちによって行ったことです。

 詩集を編む、という行為ははじめてのことでした。制作物に加え、補助論文が課されることもあり、結果としては満足のいく品質だったか

もっとみる

墓標──『Re:その果』

 一時期、俳句を作ろうと真剣だった時期があります。もっとわかりやすく言うのであれば、俳句甲子園に関連する、俳句を作る人間という自分の一面を、大事にしていた時期があります。今はそれを大事にしていないとか、真剣じゃないとか、そういうわけではなくて、あの頃より一層自分であろうとしています。あの瞬間は、巧みさを少しばかり求めていたけれど、ちょっとした衒いというか、気の迷いだったな、と思います。ある瞬間まで

もっとみる
『鱗屋』

『鱗屋』

 ここ数日、一気に過去作や衝動を投稿しています。そのどれか一つでも、あなたの目に止まれば嬉しいです。

 今回の作品を書いたのは、もう二年前、受講していた大学の演習にて、課題として提出したものです。確かボクはこの作品を、旅行帰りの飛行機内で書き始め、書き終えたはずです。なんとも大学生らしい愚かな初速のみで組み上がった本作の初稿は、もちろんうまくオチませんでした。けれど、すこし組み直して、まあ酸化さ

もっとみる
『オアシス』

『オアシス』

 オアシスを好きになったのはたしか中学生の頃のこと。一方でボーカロイドをはじめとした、〈当時の自分たち〉に流行していたカルチャーを追いかけ、一方で中古の「Time Flies... 1994-2009」を手にして、あのざざっとしたサウンドに浸っていました。
 中学生ということは、つまりは彼らが解散した後のこと。もちろん、それまでその名を知らなかった訳ではありません。小学生のころから、父のiPodに

もっとみる
『ぼくときみとのことを』

『ぼくときみとのことを』

 すいません、投稿頻度を増やしますと述べてから一切の投稿をしていません。言い訳はいろいろあるけれど、ボクはnoteに対してはあまり筆まめじゃないみたい。
 もう少し筆まめになりたいな、とは思っています。頑張ります。

 エッセイとか、そういうものを書けていないのは、常々気づきの少ない鈍いやつとして生きているからかな、と思います。ただ、作品を作っていないわけではないです。色々な考えの中、事情の中、意

もっとみる
『蟹と宇宙船』

『蟹と宇宙船』

 前略、作ってから半年ほど経ったのでそろそろ公開しようと思います。これを公開するなら、深夜かな、と、ふわふわと考えていました。大学の演習、合評会で提出した作品『蟹と宇宙船』、100分授業で、授業1回につき3作品ほど読むので、まあ、10分もなく読めると思います。

蟹と宇宙船 その蟹と出会ったのは、十年ほど前だったと思う。たしか、それはコンビニで炭酸水と少年漫画雑誌を買い終えた、夜更の開けた道路での

もっとみる
「FROM THE DAY」公開!

「FROM THE DAY」公開!

 10/22〜25日の間、西荻窪のギャラリー「数寄和」というところで、インカレポエトリ3号の刊行記念イベントが行われていました。インカレポエトリについてはコチラ、イベントについてはコチラ。

 僕も大学で詩を、というよりかは詩人の先生の下で勉強しており、紆余曲折あって、作品を3号に寄稿し、晴れてインカレポエトリのメンバーとなったわけです。そして、その詩を様々な形で展示したのが今回のイベント、ボクは

もっとみる
ティーンエイジ・コールドスリープ

ティーンエイジ・コールドスリープ

2020年の4月28日にいます。明日二十歳になります。それだけ。

『ティーンエイジ・コールドスリープ』いまここにちょうちょうがとどまっている7年のその7年目の終わり際のその日の骰子やがて失う息をその情動を水のように使うありふれた水のように影になる一歩目を戸惑っている 崖の果てともとれる夕陽へ今からはせめて、生きよう。誰かが生きていたと言えるように。ボクに関わった全ての人が誇り、ボクに関わらなかっ

もっとみる
2019年鬼貫青春俳句大賞応募作『どうしても夏だった。』

2019年鬼貫青春俳句大賞応募作『どうしても夏だった。』

 モテるために作った作品が、結局落選したみたいです。モテるために作ったのに、結果が出なかったので、どうせなら非常に格好悪く負け犬の遠吠えをしておきます。

「これを選んでくれない限り俳句は詩には昇華できない気がしま〜す!!」

……本心かはさておき。ただ、一応選考会で触れていただいたりしたらしいので、ほとぼり覚めてそうな今頃公開しておきますかね。ちなみに、正直、30句連作というより30行詩な気がし

もっとみる