マガジンのカバー画像

好きなエッセイ

11
考えさせられるエッセイ留めてゆきます。
運営しているクリエイター

記事一覧

精神疾患持ちの私が語る妊娠と出産、そして不妊について

精神疾患持ちの私が語る妊娠と出産、そして不妊について

「将来、よしペンくんの赤ちゃんが欲しいな!」

少し浮かれた気分の私に、「お母さんの前でそんなこと言うのやめてくれる?」
妹は大きなため息をついて言ってきた。

「え? どうして?」

私は妹にとって天然にできているらしい。妹は再びため息をついて「そんなの、無理に決まっているじゃん。お母さんも同じ意見なんだよ」と言ってきた。

「妊娠、出産ってさ、どんだけ大変か分かっているの?」

妹の発言に私は

もっとみる
手のひらの小石

手のひらの小石

空や花、風景や人たち。目がくらむような朝日。
雨の降りしきる夜明けにも。
どこを切りとっても美しくこゝろに響くものが
わたしを囲むように近くにあります。
仰いでみても見下ろしてみても感情とともに
一瞬とゆう奇跡がそこにあって
それは記憶に刻まれる一瞬でもあるのです。

 ○○○

小石を集めて遊んでいた子どもの頃
かじかむ手で握りしめていた小石が
わたしのからだと同じ温度になりました。
冷たいもの

もっとみる
あなたを作るもの

あなたを作るもの

あなたが好きなものは
どこかあなたに似ていて
あなたが選ぶものは
どこかあなたに似ていて

関係ないところで作られているのに
あなたが持って生まれてきたものみたいに感じる

お店の中で
テレビの中で
あなたの欠片を見つけては
知り合いに出会ったような
不思議な気持ちになるんだ

どうだろう
私からも感じるかな

スゥアンクゥアンスゥイウォン

スゥアンクゥアンスゥイウォン

ふた月前に切った髪が少し伸びた。
癖のないまっすぐな髪に
生まれてそう時間がたっていない日が当たると
疑いもなく春を感じる。

ある日、わけあって名乗れないがと言いながら
使いらしき者がやってきた。
聞き慣れた声に和んでいたら
早々にお帰りになってしまった。
さりげなく触れたつもりであったけれど
などと思っていたら使いらしき者は振り返り
嗅ぎなれたにおいを漂わせてうふふとお笑いになって
ふたたび背

もっとみる
言葉をためる。

言葉をためる。

昔から言葉をためてきたように思う。

思うように話せなかった、子供時代。

話さない、のではなく『話せない』。
頭の中ではわかってるのに、
口から言葉が出てこない。
最近では緘黙という名前が付いている。

昔はまったく理解されなくて、変な子扱いだった。
友達のお母さんが「あの子と遊んじゃダメよ」という。
あの子はしゃべれない、可哀想な子。

なんだかうんざりで。
そんな自分も大嫌いで。
勉強はでき

もっとみる
「褒めあお~!」「そうそう、褒めあいましょ~!」

「褒めあお~!」「そうそう、褒めあいましょ~!」

20年くらい前のこと。
0歳から2歳の子どもたちのクラスを5人の
職員で受け持っていたときの話です。

行事の準備や書類、日々の仕事が立て込み、
どこか気ぜわしい、そんなときだったと思います。
やさしいことばの行きかう職員同士でしたが、
忙しさで口数が減っていたときだったのかな、
と振り返ると思います。

子どもたちが昼寝をしている横で、わたしたちは
お家の方との大事なやりとりとなる連絡帳の記入

もっとみる
でもやっぱりコーヒーは、優しい人に挿れてもらいたいな。

でもやっぱりコーヒーは、優しい人に挿れてもらいたいな。

私は以前、某珈琲店でアルバイトをしていました。そこはサイフォン式コーヒーを入れるお店でした。私はウエイトレスさんではなく、カウンターの中でコーヒーを入れる人。いろいろなオーダーに合わせていろいろな飲みのを用意します。

サイフォン式コーヒーはなかなかな難しいです。
原理は簡単なのですが、テクニックが難しい。

【サイフォンの淹れ方】
サイフォンの下のフラスコに水を入れて火にかけます。
上のロートの

もっとみる
てんさらばさら

てんさらばさら

てんさらばさら てんさらばさら

小さい頃読んでもらった絵本。

ある日空から雪のようなフワフワした物が降ってきた。
それはてんさらばさらという物で、「それを密かに持っていると幸せになる」とおばあさんから教えてもらい、女の子が大事に増やしていくお話。


ケセランパサランですね。

おしろいを振りかけて、てんさらばさらが増える度、幸せな出来事と共に過ごしていく。

子供心に欲しくて欲しくて堪らな

もっとみる
好きなものを好きと言うこと

好きなものを好きと言うこと

お立ち寄り頂きありがとうございます。
さて、この記事に辿り着いて下さったあなたにも、好きなものやことが沢山おありかと思います。その好きなものやことを、「〇〇が好き」とアピールすることって、勇気が要りませんか? と慣れない問い掛けから始めてみます。ちなみに私は好きなものを好きと言うことが、実はあまり得意ではありませんでした。

好きなものやことは、本当に沢山あります。文章を綴ること、音楽を聴くこと、

もっとみる

あなたによく似た心

重度障害者の施設で短時間働いています。
最初は赤ちゃんに接するような気持ちでいたけど、赤ちゃんではない。

初日に○○さんの食事介助をして下さい。
と言われ、私はすぐにその席へ向かって行って、おもむろにスプーンを持った。
○○さんは、口を開ける前に私に何か言っている。
よく聞いてみると、「誰?」と言っていた。
そりゃそうだ。お前誰だよ!?ってまずなる。

関わったことがなかったから重度障害者は何も

もっとみる

自己満足

家政の仕事は2人いる。
私ともう1人。

シーツ交換かトイレ掃除なら
トイレ掃除。

洗濯物をたたむか掃除機なら
掃除機。

ゴミ集めかモップ掛けなら
モップ掛け。

職員さんからひと言
「好きなことばかりして満足しないでね」

翌週からトイレ掃除はすでにもう1人の人がやってくれているようになった。

もう1人の人に「どっちをしましょうか?」
と訪ねると「どっちでも」と。

大体の人がそう答える

もっとみる