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好きな詩

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ちくたくちくたく

ちくたくちくたく

夏生まれのわたしは空気が冷たくなってくると
少しづつ元気になります。
吐く息と吸う息の温度差を感じられることは
冬が好きな理由のひとつです。
些細なことですが。

小春のある日、てくてくとことこ、歩きます。
公園は色々なものがはらはらほろほろしています。
子どもが漕いだあとのブランコは
ゆっくりと静止に近づいていました。
巨大な石の滑り台ではたくさんの子どもたちが
楽しそうに滑っています。
下には

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もぉいーかい?…

もぉいーかい?…

かくれんぼ

子供の頃
無限にあった
隠れ場所

今は?

かくれんぼなんて
やってる子供
見たことがない

今 何を見てますか?
何が見えてますか?
何を見ようとしてますか?

何を聞いてますか?
聞こえてますか?
聞こうとしてますか?

ありとあらゆるものから
情報が頭に入ってくる時代
貴方は ちゃんと
選んでますか?

流されていませんか?

自分の人生は
誰のものでも
ありません

あなた

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夏のかけらはまぶしかった

夏のかけらはまぶしかった

台所のポットのように
こぽこぽ沸いた

まちの歩道も
公園のベンチも
こぽこぽこぽこぽ
こぽこぽ沸いた
八月だった

牛乳とおとうふと
ポケモンパンと
吊り下げお菓子
あれとかそれとか
手にさげて

老いの身のように
よたよた歩いた

腰に当たる保冷材が
少し休もうよと言う
よたよたよたよた
よたよた歩いた
八月だった

すれ違う人はみんな
夏のかけらになった
ずっと忘れないよ
ひとつひとつの

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花

すれ違うだけの人がいて

行き過ぎるだけの風景があって

巡り合わないことの

不思議を見つめている

巡り合うことの

喜びを抱きしめている

季節がつくる物語は

小さくて淡くて儚くて

そして夢のように

遠い場所でそっと生まれくる

無理やりでなく仕方なくでなく

とてもとても自然に

あの時たしかに咲いていた花

あの日たしかに吹いた風

暮れる夏がわたしを懐かしく

感じるといい

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月の遺書

月を見ていた。

愛する人へ向けた愛を込めた遺書に思えた。

月を見ると時々思う。
何百年何千年も昔の人も月を見ながら誰かを想っただろう。

その想いを静かに受け止め続ける。
月は聞き上手。
時代を越えて距離を越えて月を見ている。

月を見ていた。
遺書に思えたのは過去形だから。
月を見ていた
幸せだったんだ
あなただった

月を通して誰かに伝える。

そこら中に礫も枝もある中でたった1つの礫、た

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たそかれとき

たそかれとき

あの ね

きょうは いいことあった?

なんにもなかった?

だいじょうぶ

しずむってことは

またういてくる

って

きょうのおひさまが

いってた

ちゃんと

きいたもの

*****

見てみないと
わからない。
気づけない。
・・・出会えない。

その先のストーリー。

あなたが笑っているといいな。

花

ふらっと外に出てみた。
夜が近づいてきて
無数のこうもりが
ひららと飛び交う時間で
月は見えるか見えまいかの
気を持たせる時間に。

華やかな花を楽しんだ路地でも
ふっと花が途絶えることがある。
今日、季は小満。
草木花々、生き物もすべてのものが
育ち、命がみなぎる頃。
上の方でもなく横の方でもなく
地に一番近い場所で命は満ちていた。

花は雪をちりばめたように可憐で
誇張せずひっそりと
寄り添う

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ぺたっとでなく、ふわっとよりも

ぺたっとでなく、ふわっとよりも

湿った空気が雨の到来を告げる。
夢の中で雨音がしていた。
それもいつしか
思い寝の底で消えていた。
目覚めて窓を開けると
静かな雨。
そんな土曜日の朝だった。

時々、抱きしめられたいとか
抱きしめたいとか思ってしまう。
漠然と。

跳ねることを忘れて沁みる雨は
花びらの後ろ姿に別の意味を探らせる。
そういった行為は
もうじゅうぶんではないか、と
思うように。
してもらうことよりしないことを
考え

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俳句を詠んでみた(春さみし) 

俳句を詠んでみた(春さみし) 

春さみし団子つぎつぎ浮ひてくる 

(はるさみし|だんごつぎつぎ|ういてくる) 

精進日
お供えのお団子を作る 
何を作っても もう食べてもらうことは出来ない 
そのことが さみしい 

晩年は三週ごとに輸血に通っていた母に お弁当を作っていた
輸血は長時間かかるので 途中でお弁当タイム 
いつも仕事で忙しくしていた私と ゆっくりお弁当を食べるのは 
母にとって ほんの少しの楽しみもあったかもし

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純白

純白

花の色は
何で決まる

花の白は
全てを追い出した色か
全てを受け入れた色か

人の想いを迷わせる
純でなくなる時がある

【詩】「雨の記憶」

【詩】「雨の記憶」

文・写真 by 葉月なゆ

突然の雷雨。
篠突く雨で視界はけぶり、轟く雷鳴に鼓膜が麻痺する。
あまりの凄まじさに、遥か昔の雨の記憶が蘇った。

四十億年前に、
数千年間降り続き、
地表を冷やし、
海と大地を作ったという雨の記憶を。