高岡 里衣

9歳から約24年間、難病の母のケアをして過ごしてきた元ヤングケアラー・若者ケアラーです…

高岡 里衣

9歳から約24年間、難病の母のケアをして過ごしてきた元ヤングケアラー・若者ケアラーです。 自身のケア経験やヤングケアラーについてお話しをさせていただいたり、書いたりしています。 共著に『ヤングケアラー わたしの語り』(澁谷智子編/生活書院)

マガジン

  • 元ヤングケアラーの往復書簡

    子ども時代から病の母のケア中心の生活を送ってきた元ヤングケアラーのふたりが往復書簡をはじめました。 月一ペースでまったり書きたいことを書いています◎

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ごあいさつ

はじめまして。元ヤングケアラー・若者ケアラーの高岡です。 わたしは9歳の頃から難病の母のケアに携わってきました。振り返れば約24年にわたるケア生活は、わたしの人生のほとんどを占めていました。 いまはケアが終わり、人生更地の状態からなんとか歩み始め、自分のケア経験を活かしてヤングケアラー・若者ケアラーの支援にかかわらせてもらっています。 2024年2月現在、行っている当事者活動は以下の通りです。 ①話す【講演・研修・出前授業などを通じて自身の経験や想いを発信】 ②書く【自身

    • 「母へ」〜元ヤングケアラーの往復書簡⑩

      ❄️🍋「母へ」〜元ヤングケアラーの往復書簡⑩ カズヤさんから最後のお手紙が届きました✉️✨ 封を開けて読んで、カズヤさんに最後を締めくくっていただいて本当によかったなぁと心から思いました。 あたたかくて、まるくて、たいせつに扱われた言葉たちに、カズヤさんのお人柄を改めて感じました。 カズヤさんがここまで来られるのに、どれほどの大変な時間があったのか。 それはカズヤさん以外にはわからないことだけど、かなしいこともつらいこともありながら、お母様との愛が通じ合った時間もたく

      • 「母へ」〜元ヤングケアラーの往復書簡⑨

        🎁✉️「母へ」〜元ヤングケアラーの往復書簡⑨ わたしからカズヤさんへ、5通目のお手紙です✉️✨ 少し遅くなってしまいましたが、今の想いを書かせていただきました。 昨年の春から手紙を交換しはじめて、今回でわたしからのお手紙は最後になります。 カズヤさんとわたしのケア経験はもちろん全く別物ではありますが、重病のお母さんのケアを子ども時代からしてきたという点で共通していて、わたしもカズヤさんへの手紙だからこそ書けた内容もありました。 本当にありがとうございました✨✨ この往

        • ずっとあった違和感について

          🌱✨✨ 先日、とある学生さんがヤングケアラーについて勉強しているということで、お話しをする機会があった。 その会話の中で彼は「ヤングケアラーだったことで得たもの(強み)は何ですか?」と質問をしてきた。 何やらこだわりがあるようで、「一番聞きたいことなんですけど」と付け足す。 どうしてそんなことを聞くのかと尋ねたら、「ヤングケアラーの子たちにも希望をもってほしいから」と答えてくれた。 たまんねえな。正直そう思った。 ヤングケアラーじゃない子が、「ヤングケアラーにも希望をも

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        • 元ヤングケアラーの往復書簡
          10本

        記事

          「母へ」〜元ヤングケアラーの往復書簡⑧

          🌼✉️✨「母へ」〜元ヤングケアラーの往復書簡⑧ カズヤさんからわたしに、4通目のお手紙が届きました📩✨ カズヤさんはいつお会いしても、いつお話ししても感謝の言葉をたくさん口にされるかたです。 いつも優しくて穏やかで、誰にでも平等に接する人。 以前「怒ったりイライラしたりしないんですか?」って聞いたら(なんてこと聞くねん😂)、しばらく考えた後に「…ないですね」と答えたカズヤさん。 そんなカズヤさんは、これまで生きてこられた中で世の中に対してモヤモヤしたり理不尽に感じたり

          「母へ」〜元ヤングケアラーの往復書簡⑧

          「母へ」〜元ヤングケアラーの往復書簡⑦

          🌕✉️✨「母へ」〜元ヤングケアラーの往復書簡⑦ わたしからカズヤさんへ、4通目のお手紙です✉️✨ 早いもので、この往復書簡を始めてから季節が2つ巡りました。 先週くらいまでいつまで夏が続くんだと言っていたのに、もはや夜が涼しすぎるし、日が暮れるのが早すぎる…🍂 昨夜は十五夜だったので、満月を眺めながらお月見団子を食べました。 母ともいつも楽しんでいた風習です。 「きれいなお月さんやなぁ」 肌寒い夜に母の背をさすりながら、そう言って一緒に空を見上げていた日のことを思い出

          「母へ」〜元ヤングケアラーの往復書簡⑦

          「母へ」〜元ヤングケアラーの往復書簡⑥

          👗✉️✨「母へ」〜元ヤングケアラーの往復書簡⑥ カズヤさんからわたしへ、3通目のお返事をいただきました。 カズヤさんのお手紙を開ける時、いつも深呼吸をしてしまいます。 カズヤさんが重ねてこられた時間を少し見せていただくことは、神聖な地に踏み込むような、身の引き締まるような思いなるからです。 今回のお手紙も、その言葉ひとつひとつが心に沁みわたりました。 初めてもらったお給料でお洋服をプレゼントすること、もっとプレゼントしたかったという想いも。 自分の経験とも重なって、胸

          「母へ」〜元ヤングケアラーの往復書簡⑥

          「母へ」〜元ヤングケアラーの往復書簡⑤

          🍉✉️🥝 🍓「母へ」〜元ヤングケアラーの往復書簡⑤🍊 わたしからカズヤさんへ、3通目のお手紙です📩 最近、ケアをされる側の人の気持ちをよく考えます。 だいたいの人はケアをされたいとは思っていないにも関わらず、だいたいの人がいずれケアをされる側になります。 遅かれ早かれ、の「早かれ」がわたしたちの母親だっただけ。 悔しかったし、受け入れ難かったし、かなしい思いもいっぱいしたよね、きっと。 ケア抜きの、病抜きの、その人自体を大切にしたい。 母の天真爛漫な笑顔を思い出しなが

          「母へ」〜元ヤングケアラーの往復書簡⑤

          「母へ」〜元ヤングケアラーの往復書簡④

          ✉️🪽 「母へ」〜元ヤングケアラーの往復書簡④🪽 カズヤさんからわたしへ、2通目のお返事が届きました。 カズヤさんの丁寧でやさしい言葉の一つひとつに、心が滅菌処理されるような気持ちです。 みなさんも読まれていて眩しくないですか…?眩しさをぜひ共感してもらいたい…🥲✨ カズヤさんのこれからを、一人の人間として心から応援しています。 🔹 元ヤングケアラーとして発信していたり、ヤングケアラー支援に関わったりしていると、「親ガチャ」「毒親」「子ガチャ」「毒きょうだい」といっ

          「母へ」〜元ヤングケアラーの往復書簡④

          やさしさを受け取れたなら

          「やさしさを受け取るにも余裕が要る」ということを、最近つくづく思う。 子どもの頃から母親のお世話をしていく中で、たくさんの大人がわたしに声をかけてくれた。 「いい娘さんやね」 「あなたがいてお母さんは幸せやね」 「お母さんのこと、頼んだよ」 「元気なあなたがしっかりしなきゃね」 「親孝行はできる時にするものだよ」 「神様は乗り越えられない試練は与えられないよ」 「まだまだあなたは人生これからなんだからがんばらなきゃ」 「女の子がこの家にいて本当によかったな」 しんどかっ

          やさしさを受け取れたなら

          「母へ」〜元ヤングケアラーの往復書簡③

          🌷✉️🌷 「母へ」〜元ヤングケアラーの往復書簡③🌷 こんにちは。早くも梅雨入りの気配ですね。 今回は、わたしからカズヤさんへの2通目のお手紙です📩✨ ワクワクしながら書かせていただきました。 カズヤさん、いつもありがとうございます! 前回カズヤさんからいただいたお手紙に、赤西仁さんの「ETERNAL」の歌詞に支えられたと書かれていたので調べてみたら、あまりにも歌詞がド直球で度肝を抜かれました。 カズヤさんの思いが、この歌詞にいくつも重ね合わさっているのかなぁと感慨深い思

          「母へ」〜元ヤングケアラーの往復書簡③

          誰かに手渡すたいせつさ

          仕事をしていると落ち込みそうになる時がある。 たとえば、連絡のやり取りをしている相手の態度や一言に傷ついたり、モヤモヤしたり。 (えっ、そんなこと言う…?) と軽いショックを受けつつ、でも一対一でやり取りをしているとその理不尽さやモヤモヤを誰かと共有することができなくて、何とかやり過ごそうとすることが普通になっている。 (このくらいよくあることだろうし、目くじら立てるのも大人気ないよね…) 鈍く渦巻くしんどさにグッと蓋をして、でも、そんなに流すのが上手い方じゃないから心に

          誰かに手渡すたいせつさ

          太陽の子

          「お母様は幸せですね。私は母との関係が悪くて、良くしてあげられなかったから…」 先日、元ヤングケアラーとして講演させていただいた後に、聴いてくださった方からそのようにお声をかけていただいた。 時々思う。わたしが強く当事者性を押し出すことによって、もしかしたら傷つく人もいるんじゃないかと。 実は、何度もケア中に思っていたことがある。 「お母さんが嫌な人だったらよかったのになぁ」 そうしたら、容赦なく放っておけるのに。 現実は真逆で、うちの母はとにかくチャーミングな人だっ

          代わりのない人生

          母の日の朝。 いつものお花屋さんが届けてくださった。 扉を開けて目に飛び込んできたアレンジメントは、オレンジ色が好きだった母にぴったりで思わず笑顔になった。 「闘病生活とか絶対したくないしな〜」 先日友人たちと食事に行ったときのこと。 今後の人生の話をみんなでしていたら、ある人がこう言った。 全くその通りだと思うし、ごく普通の意見だけど、笑いながら胸の奥がツキンと痛んだ。 自分でもそう思うのに、勝手な話だ。 誰だって好き好んで病気になんてなりたくない。 でも母は40過ぎ

          代わりのない人生

          「母へ」〜元ヤングケアラーの往復書簡②

          🍀✉️🍀 「母へ」〜元ヤングケアラーの往復書簡②🍀 カズヤさんから初めてのお返事をいただきました📩 ありがとうございます☺️✨ お手紙を開いて、読んだら途中から涙が止まりませんでした。 ただひたすらに。懸命に。そうやって子どもの頃から過ごしてきた毎日が頭を駆け巡ります。 実はカズヤさんはこちらの投稿やコメントもご覧になっていて、前回の投稿についてもとても喜んでくださっていました☺️❣️ カズヤさんへのコメントもぜひお待ちしております🙌 お返事を書くのが楽しみです〜!

          「母へ」〜元ヤングケアラーの往復書簡②

          「母へ」〜元ヤングケアラーの往復書簡①

          🌸✉️🌸 このたび、同じヤングケアラー支援団体(NPO法人 ふうせんの会)に所属しているカズヤさんと往復書簡を始めました。 タイトルは 🌸「母へ」〜元ヤングケアラーの往復書簡🌸 カズヤさんは9歳から30年間、病のお母様と高齢のお祖母様をケアをされた元ヤングケアラー・若者ケアラーです。 (詳しくはこちら→ https://www.nhk.or.jp/shutoken/wr/20220506a.html ) カズヤさんとわたしは家族構成や過ごしてきた環境なども異なり、違うケ

          「母へ」〜元ヤングケアラーの往復書簡①