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フットボールの夢

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スペインでサッカーをする22歳が、サッカーから世界を切り取る。
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まだ狂っちゃないぜ

まだ狂っちゃないぜ

 

 サッカー選手というのが皆一様に抱えている病がある。

 勝負師、負けず嫌い。

 小さい頃から試合があれば勝ち負けをつけてきたので、それはサッカーに収まらず何事においても出てしまう。子供時代には、よく自分が勝って終わるまで親相手にポーカーを挑んでいたのを覚えている。それからも色んなものに妥協したり分別をつけたりして大人になっていくのだが、結局最後には勝たなければ気がすまない。

 負けた試

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みんなが知ってる話の話

みんなが知ってる話の話

Instagram:@rikio_no_hankou
Twitter:@rikio_19

 多様性の時代になってチャンスは溢れていると言われるようになったとはいえ、ついぞ日本にだけいて物事を考えると、いかに自分の視野が凝り固まっていたかと思い当たる。

 それは、お得意の無意識、思考停止の仕業である。人の言うことをよく聞いて、疑いもせず、みんなと同じ、みんなが知ってる話をしていれば間違わないだろ

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Chapter1 甘い時間

Chapter1 甘い時間

Instagram:@rikio_no_hankou
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 今週からは育成特集。いつまで経っても記憶から消えることのない、思い出の青春、ユース年代。

 色んなことがあっという間に過ぎていった、景色に気を取られていた、多感な時期と言われるこの年代はとにかく脳もフル活動、刺激求めて止まないのだ。だからこそ、この時期に身に降りかかったものの存在は大きい。

 僕もやは

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Chapter3 FLEXIN' IS A CULTURE

Chapter3 FLEXIN' IS A CULTURE

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 アフリカの若者はとにかくお洒落だ。彼らの関心は街で周りの目を引くこと。

 flex, flexin'とは、見せびらかす、とか、カッコつける、転じてカッコいいのを褒めるときにも使うスラングだ。週末のお出かけのときには、みんなめちゃめちゃにカッコつけて自分を見せびらかす。

 これが、実はコミュニティの特徴

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Chapter2 或いはそもそも在るようで無い

Chapter2 或いはそもそも在るようで無い

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 いきなり禅問答のようなテーマになってしまったが、今回は狩猟民族に見られる移動と分配の習慣についてである。

 農耕社会から遅れをとった社会構造だと言われていた民族が、なぜ20世紀に多くの文化人類学者の研究対象となったのか。その一連のブームが去ってもなお、そこには人類の、あるいは生物の本質にせまる何かがある

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Chapter1 ドンドン、サッカー時代

Chapter1 ドンドン、サッカー時代

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 アフリカという特集だからといって、アフリカサッカーがどのような発展を遂げているかなどという内容のものではない。

 ただ、アフリカ的なもの、アフロのその響きにより眠っているサッカーの根源を呼び起こそうと考えたのだ。 

 初回の今回はというと、ありきたりな議論にもなるが、ヨルバのトーキングドラムについてだ

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Chapter3 嘘でも笑ってくれ

Chapter3 嘘でも笑ってくれ

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 ちょうど今日がエイプリールフールだということで、嘘特集にはぴったりだ。

 しかも、新元号が発表だということで新たな時代の象徴となる指針が示されるわけだが、これが嘘にならないといいなと思った。

 実のところ、僕自身今日からスペインでの挑戦が始まるということもあって、また、世間的にも新たな門出に胸騒ぎがし

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Chapter2 嘘つきはサッカー選手のはじまり

Chapter2 嘘つきはサッカー選手のはじまり

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 先週に続き、嘘特集。

 多かれ少なかれ周囲からの評価とか印象みたいなものって、自分にはあまりにも関係のないタグがいっぱいついてるな、これってやっぱり嘘だよなと思ったことから、じゃあ本当の部分ってなんだろう、どうしたらそこで勝負できるんだろうと考えるようになった。 

 そのためにはやっぱり、僕は何屋さん

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Chapter1 嘘か本当か分からない

Chapter1 嘘か本当か分からない

 今週からは02、特集は「嘘」。

 嘘とサッカーなんてテーマで何を書いたら良いかと、自分で決めておきながら頭を悩ませていた。もちろん取り上げられる題材としては、すぐにフェイントやVARや思い当たるところはある。

 しかし、それらについてぐるぐると頭を回しているうちに、それってただの見かけ、表層にすぎないよなと思い当たった。

 何をもって「嘘」と言えるかは実に曖昧で、そもそもサッカーというゲー

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Chapter3 10番がいない

Chapter3 10番がいない

「遊び」特集、Chapter3は天才について!

 何をもって天才かと言うと、それはやはり僕たちには想像にも及ばない。そう、その想定外のところにいる、その存在こそなのである。

 僕たちは、意味のわからないもの、道理の通らないものを遠ざけてしまう。理解できないのは、つまり今までの僕たちの思考回路を通らないからであって、それは正攻法ではないということである。理にかなっていないとも言われる。

 しか

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Chapter2 ありふれた親切とその理由

Chapter2 ありふれた親切とその理由

 早速、「遊び」特集Chapter2ですが、最近は本当に何をするのにも理由がなければいけないし、意味を求められているように思う。

 サッカーのことだって、純粋にプレーすることを楽しんでいたのはとうの昔、今では何のため、誰のためにあるのか、その存在意義すらも問われてしまう。

 就活生には耳にタコだろうけど、何でも「言語化」するこの流れは、たしかに行く先の未来が不確定要素にまみれていて、今一度自分

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Chapter1 遊びボーダー論

Chapter1 遊びボーダー論

 サッカーの可能性に賭けてみたいよなて話には、僕が選手を諦めないのと同じように常に現在地とゴールを結びつける作業があって、その為にはそもそもサッカーの本質に迫らなければいけない。

 もちろんピッチで起こっていることについては、既に多くの人を魅了しているように、サッカーとは何かを言わずもがな体現していると言える。

 しかし、より本質について考えるためには、今サッカーにないものを見なければならない

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遊びの文化史

遊びの文化史

 遊びは終わりだ。

 今までnoteを使って好き勝手書いてみて、よくわからないと思った人もいただろうし、面白いと言ってくれる人もいて、それはそれで嬉しいことだった。誰にどう読まれようと、全く僕の関心事ではなかったのだが。

 遊びについてもいくつか書いてきたのだが、先々週に遊びはもっと人生を体現してるよねみたいなことを書いた。

 詳しくはこっちを読んでほしいが、つまりはもっと遊びも本気にという

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夢があるなんて夢がないね。

夢があるなんて夢がないね。

 文章を書いている時に好きなのは、このキーボードに触れている指の感覚だ。あるいは、鉛筆越しに伝わる紙の材質。音に、時間の流れ、脈打つ心臓と揺れる空気はまるであの夏の海の波のように、寄せては離れ、遠ざかっては近づいて、途切れることもない。

 感覚的なものの世界に魅せられているのは、今に始まったことではないのだが、それを言語化しようなどとは何とも野暮だ。なぜ、サッカーをそれほどに好きで、今もやめられ

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