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創りモノ

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日々思い付いたものをそっとしまっておく。
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掌編ー鈍行ー

掌編ー鈍行ー

 田舎の町から出てきた少女は都会の街色に染まりながら、それなりの生活を繰り返していた。3ヵ月程度たった頃、彼女はひょんな出会いをした。華のキャンパスライフという魔法の言葉に対して、希望と諦めの半々の感情を持ち合わせ始めていたタイミングであったが、まだまだ捨てたもんじゃないなと少女は感じた。そして少女は盛大に恋愛をし、フラれた。故に華のキャンパスライフへの支持率は50%から0を超えて振り切り、振り切

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掌編-終電-

掌編-終電-

 3行ある電光掲示板が表示する列車は一つずつ灯りを消していき、ふと気づけば残り1本となった。「ふと気づけば」と言ったが、実際には残り3本になった時点で、私はその事実に気が付いていた。多分に湿気を含んだ生ぬるい風が吹き抜ける改札前。今現在ここからホームまで歩いて行っても余裕な時間はあるし、ICOCAのチャージはこの駅から自宅最寄り駅までの運賃2往復分は入っている。満たされていないのは私の問題だ。

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急行列車

急行列車

改札上の電光掲示板が
せわしなく情報提供
いらない終電
知らない行先
行かない最寄り駅

電球の一つが消えたくらいじゃ
壊れない巨大なツリー
明日への不安をモミくちゃに
流した景色とさようなら

愛していたんだっけ
手中のミュージックで
バレバレの漂流列車

真夜中の鼓笛隊が聞こえなくなったら
急行列車があの駅を通過したら
煌めく街の明かりを超える
どこかで君の生活がある

ああぁ?全然メロディー

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結婚するとか言わないで

結婚するとか言わないで

 久しぶりに電話をする。声を聞くのは2年ぶりくらい。お互い忙しかったし、なかなか会えない状況だったし。こちらから会いたいと連絡する理由もなかったし。

 一つ年上の彼女は相変わらず優しくて、近況報告をすると褒めに徹してくれた。「彼女できんの?」と聞かれ「いないよ」と答えると「やっぱあんたには、お姉さんみたいな人がいいよねぇ」と少し意地悪な答えをするところも変わっていなかった。

 一方、彼女はかれ

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イルミネーション

イルミネーション

 バイト先の後輩達に「忘年会代わりにドライブでもしましょう。」と誘われ車を走らす。厳冬だと騒がれていたのは本当のようで、いつもならうっすらとしか積もらないこの時期から雪が降りしきる。気づけば道路のセンターラインが雪で隠されていく。運転しづらいなぁ…と雪に悪態をつきながら、車を走らせること1時間。近くのイルミネーションがきれいな植物園へ寄ることになった。

3年ぶりに。

 平日の遅めの時間というこ

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ハイウェイ

ハイウェイ

 高速道路から見える景色は、乱反射を繰り返し私の眼に入ってくる。窓枠が切り取る世界は私の舞台の1セットだ。私は大人びたワンピースと振る舞いで武装し、間違いなく一番かわいい「私」を助手席に座らせている。しかし、隣で運転している彼は唇に余裕を携えて、遠くの景色を見ている。私はその遠くの景色の先を共に見て、自分の未来を重ねてみたりする。まるで安いメロドラマだ、なんて台詞すら言ってしまいそうだ。私は浮かれ

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豊かさについて

※こちらは、とある作文課題で没にした原稿です。

「豊かさについて」

「喜怒哀楽」という4文字では表現しきれないほど我々は豊かな感情を持ち合わせている。友人と笑い、感動して泣き、自らに怒り、愛し人と楽しい時を過ごす中には、小さな感情の変化が多分に含まれている。

 しかし読者諸君は、人が神秘のふくらみに触れたときに、その豊かな感情を一度に味わえることをご存知であろうか。例えば、男女乱れる飲み会の

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希望溢れる未来(前)

時は来た。
そう思いながら私は東京を見下ろせる高層ビルにいた。
既に我がバンドの武道館2days公演は3日後に迫っている。
「時は来た。いよいよである。」
声に出してみたとて誰かが返事をしてくれるわけではない。
皆自分の生活で精いっぱいなのであろう。

そうこうしているうちにドアが開きひょうひょうとした一人の男が入ってきた。短パンに半そで、サンダルといういでたちは3年前から何も変わっていない。

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GSにて

GSにて

 湖畔のガソリンスタンド。薄暗い店内から非常灯の明かりだけが漏れている。その明かりが天井からぶら下がる給油用の管をうす気味悪く浮かび上がらせている中で、ギターをしょって座っているのが俺だ。そうこうしている内にベースをしょった友人・ケーゴがやってきた。来るなり「タバコ」とぶっきらぼうに言うのにムッとしながらも1本差しだす。長髪、学ラン、タバコ、ベースとはたから見たら完全なる不良だが、根は真面目な奴で

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8cmのピンヒール

8cmのピンヒール

 隣を歩く彼は背が高く足がすらっと長い。私の歩幅に合わせようとはしてくれているが、それでも少し私は早歩き気味になっている。たしかに、私は歩幅は小さい。しかし普段は遅いということもない。つまり今日は特殊ケースであり、その要因は普段履かないフワッとしたスカートと少し高めのヒールである。

 彼は高校の同級生で同じ大学へ進学した仲である。そして同時に親友の彼氏でもある。さらに言えば、二人をつなげたのは言

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赤丸が欲しくて

赤丸が欲しくて

 アパートの6畳間、私は煙草に火をつけてプカプカと煙を吐く。唸る車のエンジン音が聞こえる度に、少しドキッとするようになったのはいつからだろうか。本当は最近引っ越してきたヤンチャなお兄ちゃんの車だと知っているけれども。もちろんあの人のエンジン音は、もっと低く独特な音だったことも。先ほど吐いた煙を指でつかもうとするけど、スルスルと流れに乗って煙は消えていく。残るのはマルボロの匂いだけである。一方、彼女

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サボタージュ

サボタージュ

8:30のチャイムの音。
サボタージュの始まり。

知らない街へ逃げ込め、
知らない時へ飛び込め。

あの子は今日も居眠り、
アイツは今日も焼きそばパン。

潮風、セーラースカート、サボタージュ。

(遥か昔に作った詩を編集)

シャンプーとバス

シャンプーとバス

わがままで困らせた夜も
正解を教えてくれなかった朝も
もう来ることはないけど

カーディガンはもう要らないように
溶けるのは時間の問題さ

つま先だち 覗いたラストシーン
バランス崩す甘い香り

シャンプーの匂いはお揃い
夜行バスは定刻通り
さよなら 知らない街へ

行先はどこ
くだらない約束も連れていって

シャンプーの匂いだけお揃い
帰り道はたがいとっくに遠い
夜行バスは定刻通り

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春の匂い

春の匂い

朝焼け渋谷駅
生乾きの匂いは服か
君への気持ちか

回り続けるターンテーブル
踊る足を止めるのは
ほかでもない

ただ1人のスクランブル
流れを見失う

置いてきたこと
怒らないで
いつまでたっても追いつけやしないから

外はまだ寒いよ
惑わされないで
春の匂いはきっと目の前だから

(2019/12/23)

生乾きの洗濯物をそのまま着て来た。
君の部屋にはもう戻らないよ。
君の洗濯物だ

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