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自主映画を、撮る。その24

(※デザイナーの後輩ちゃんが作ってくれた団体ロゴになります。かわいい…)

撮影後記、後編から。(2022年執筆)

(※撮影の都合上、映像が上下反転する場面がございます。予めご了承下さい)

昼休憩明けからも快調なペースで撮影が進んだ。本作のある意味カギとなるシーンも、事前に脚本班で綿密に演技プランニング済とあってあとは演者陣へどこまで事細かに伝えアウトプットしてもらうかだけ。返す返すも、ト書に嫌というほどメモ書きしておいたおかげで現場での擦り合わせも最小限に留められた。もしものための時短戦術がここぞで活きました。

当初からの懸案事項、座り芝居ベースではこの間取りを活かしきれないとの危機意識から奥行きのある撮影手法へ即座にスイッチしてくれた監督はじめ撮影班には本当に感謝で。読者の皆様、完成版をどうぞ楽しみに待っていて下さいね。先に少しだけネタバラシさせてもらうと、廊下のシークエンスは本当に圧巻です。カンヌを狙えるレベルの緊張感を演出できました。

終盤、演者主導のNGまで起こった。

主役級のオールアップ挨拶を準備していた最中に、突如「すいません、自分の演技に納得できないのでもう1テイクやらせてもらえませんか」との声が。もう最高の瞬間でしたね。特に今回メインアクトをお願いした女優さんへは主宰目線、できる限り過度な演出は促さずあくまで内から溢れる感情や所作を軸に芝居へ落とし込んでもらえるようお手伝いさせてもらったつもりで。

その甲斐あってか終盤、細かな台詞回しにまで的確な意見をもらえて。オチもこれでしっかりついた。変に回りくどくなく、かつそれでいて説明口調も過ぎない絶妙な塩梅に着地して。もれなく指定セリフ「いいけど、一回だけだよ(OK, but just one time.)」もここぞの場面で回収できた。もうこれで思い残すことはない、最後のシーンまで撮り終えて無事中打ち敢行。

ドミノピザ、Lサイズ6枚注文。

さすがに多過ぎないかとの見立てでしたが食い盛りの後輩世代に救われて、あっという間に完食。参加者のリクエスト形式で、思い出に残ったシーンをプロジェクターで流しつつ早くも1次会。48時間映画祭の最中に中打ちなぞかました団体は恐らくウチらだけでしょう、でも今日でお別れするメンバーだって沢山いました。是非、思い出に。これがあるべき映画部の姿です。

編集の都合上端役となってしまった某女優さんの著しい成長曲線、主宰から堂々リクエスト上映させてもらいました。せっかく4文あるのでそれぞれ1文ずつ喜怒哀楽のスイッチを切り替えてみて下さいなる無茶振りにも程がある演出プランを見事呑み込んで、終始役を演じ切ってみせた。影の立役者で。繰り返しになりますが、本当に完成版を楽しみにしていて下さい。

主宰は興奮冷めやらぬまま、三田へと飛んだ。

勿論一滴も呑んでません、何ならピザもろくに喉を通りませんでした。なぜならこれから編集班に同行し、よもやの二徹をかます算段でいたからです。念には念を入れ完全冬仕様の着こなしでもって、21時過ぎの三田に降り立つと意外に半袖+ブルゾン姿でも平気。前日ろくに寝てなかったせいもあったかもしれません。大量のスポドリと親子丼だけ握り締め、会場入り。

株式会社MOVEDOOR。「広報PRで事業成長を実現する。」をスローガンに掲げ、我々母校の映画部後輩世代が立ち上げたクリエイター集団です。そのオフィスを編集拠点としてお借りして、今回48時間映画祭を共に戦うこととなりました。改めて代表取締役の諸富さんはじめ、賛同いただいた皆様には厚く御礼申し上げます。本当に「プロフェッショナル」を垣間見ました。

主宰到着時点で、既に荒編集は完了していた。

恐るべきハイペース、時刻はまだ21時半過ぎでした。タイムリミットまで、まだ22時間近くを残していた。主宰は当初、音楽制作担当も兼ねていましたが脚本班及び撮影当日の演出としても帯同するとあって。あくまで有償音源をベースに不足した部分を補う形でサウンドアドバイザーとして携わることとなりました。だからといって、一切の妥協はありません。

これからの日本を背負う優秀な若者達相手にガンガン口出ししました。波形はこういうタイプ、このくらいの音域で、このくらいの秒数のもの。誰が何と言おうとこのシーンには絶対この音をあててくれ、まで言いました。結果プレビュー確認でどよめきをもらえたシーンもあって、小学生以来腐らずに音楽を続けてきて心底良かったなあなどと感慨に浸ったりもしました。

ところが急転直下、午前0時前。

我々の最終兵器、クレジットにはカラーグレーディング担当として刻まれた後輩が友人の結婚披露宴を終え「Orange Candy House」最後のピースとして合流。彼は初日の全体会議以降、一切の映像素材を見ぬままこの場にやって来ました。一応の荒編集を上映会がてら流してみたところ、彼は誰の目にも明らかなほど硬直。小刻みに震えていたようにも見えました。

先輩方も沢山いましたからなるべく言葉を選びつつ、それでいて実に悲痛な胸の内を明かしてくれた。詳しくは映像参照。一つ一つ、今作のギミックを確認していくのですがことごとく監督はじめ編集班の意図とは異なる反応。思わぬ異常事態、明日以降のスケジュールが全て白紙になりかねない状況となりました。今回の48時間映画祭、個人的MVPは間違いなく彼ですね。

最終日未明から始まる、終わりのない追い込み作業。

正直、主宰も頭が真っ白になりました。一旦外の空気を吸い会社のシャワーまで借りてリフレッシュさせてもらうことに。編集云々、音云々以前に作品としてのクオリティが足りていない。何か抜本的に変えなければならない。もうここまで来たら、素人の主宰に口出しできる範疇ではない。映像のプロに一旦委ね、客観的あるいは素人意見が必要な段階までダンマリを覚悟。

就寝2時、起床4時。実はこの2時間で今作の核心に迫る重大な決断がされた模様ですが、あいにく主宰は爆睡しておりまして。残念ながら映像も議事録も一切残されておりません、大変申し訳ありません。今回大小様々な粗相をやらかした記憶がありますが特にデカいやらかしといえばこの大事な2時間を睡眠時間に費やした点と言えそうです。起きたら別の作品になっていた。

たった2時間で、映画はここまで生まれ変わる。

寝ぼけ眼で向かったオフィスには監督と会社の最高情報責任者、そして鶴の一声をくれたカラグレ担当計3人の姿があって。途中音声担当の後輩は体調不良により一時帰宅、現場の声を聞くだに、恐らく彼はもうこの先オフィスに姿を現さないであろう状態だったそう。それも無理はない、初日深夜脚本班にわざわざ差し入れを届けてくれた内の一人でした。本当に面目ない。

監督とカラグレ担当が一旦仮眠に入った後、CIOとタイマン編集作業続行。彼のマウス操作が止まなかったのは先輩連中のいない安心感から来る遊び心だったのかそれとも徹夜テンションだったのか、とはいえ深夜4時過ぎからの数時間もなかなかに見応えある社会科見学と呼ぶにふさわしい至福の時。確実にギアアップした「モキュメンタリー」映画がそこにはありました。

参加メンバーを交えた、上映会開始時刻が迫る。

当初の予定では最終日の午前9時に、我々は一旦の完成を見て参加メンバーに成果報告する予定でいました。ところが日付が変わる頃に事件が起こり、慌ててプランBへシフトした結果それでもなんとか30分程のディレイに収め無事、オフィス1Fの上映スペースにて試写会敢行。時間差を設け、数名規模でフィードバックをもらいつつ都度再編集。を制限時間一杯まで繰り返す。

以下余談になりますが株式会社MOVEDOORの1F部分は古民家を改装した、いわばフリースペースとなっておりまして。そういえば本祭当日の深夜は、現役大学生達による『花束みたいな恋をした』の上映会が繰り広げられて。酔っ払った内の一人に間違ってシャワールームの電気を消されちゃうというアクシデントも起こりました。おじさん正直、パニックなったわ。

次回、終了カウントダウン間近にもう一山起こります。

禁煙していたはずの主宰ですらこの期間中、図らずもチェーンスモーカー化してしまいまして。コンビニの駐車場であおさたっぷりのお味噌汁に舌鼓を打ちつつパカパカ吸い、まるで令和版ミストさながらの濃霧の中を途中迷子になりながらオフィスへ帰った。ほぼ二徹、ここら辺の記憶は流石に曖昧。でも三田じゃこれが当たり前の光景らしいです。激しい濃霧でしたけど。

まだまだ続く48時間奮闘記、でもそろそろ完成版をお流ししたいところで。しかーし最後の最後まさかの山場がやってまいります。我々はつい映像編集ばかりに気を取られ、事務作業の大変さなど二の次三の次と考えてました。やらなきゃいけないことがホントは沢山あったんです、それなのに我々は…次回、どうぞお楽しみに。

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