宇宙人同士、いっしょに暮らす
発達障がい同士、いっしょに暮らす
ADHDを火星人に例えて
私は2年ほど前から宇宙人と暮らしている。
彼は宇宙人の中でも火星人にあたる。
かなり抽象的に表現した「火星人」の特徴をあげると、
報連相が苦手
考えごとをするとき部屋の中を歩き回る
爆睡で朝全く起きない。まぶたがくっついたまま体ごとローリングし、無理やりベッドから出ることが多々ある。
服の洗濯表示タグはもちろんカットする
インナーはエアリズムしか勝たん
地球での呼び名はADHD。
彼は病院で宇宙人検定を受けるとき、図形パズルの問題で、120秒の持ち時間を30秒で完成させるという新記録を打ち立てたそうだ。
ASDは金星人
私の方はというと、人のことばかりは言っていられない、金星人の傾向があったのだ。たしかに馬が合う気がしていたけれど、宇宙人同士ということか。
「金星人」の私はというと、
光や音が、頭がかち割れるくらい苦手。特にフラッシュや車の走る音。
物の住所が決まっていて、火星人が部屋を散らかすと怒り始める。
記憶力が高い。忘れることができない。記憶のフラッシュバックが起こりやすい。
集中力が長い。作業をやめない。同じことをずっと話す。
いいことか悪いことか、アンパンマンかバイキンマンか、ハリーポッターかヴォルデモートなのかにとにかくこだわる。
抽象表現が苦手なくせに、世界をファンタジーでとらえている。
地球で暮らしていけるのか
金星人のこだわり発動、ケンカする
私はくだらないことにこだわりを持ってしまい、言い合うこと自体にこだわってしまうことがある。
ケンカのきっかけも忘れて質問ぜめをはじめてしまう。
はじまりは「今日出かけるなんて知らなかった」など何でもないこと。
出かけると昨日聞いたのに、いざその時間になって自分の計画が崩れると、
出されたなぞなぞにずっと答えていないような、その回答を教えてもらえないような、そんな違和感に襲われてしまう。反省。
亡くなったひいおばあちゃんと交信する夢
彼とつき合い始めて、これからもいっしょに過ごしていく。
そのことに不安があって断言することができない。そんなの、地球人も宇宙人も、誰だってそう。
自分でも不思議だけれど、私は夢の中でよく亡くなった親戚と話す。
私は子どもの頃いつも具合が悪かった。
亡くなったひいおばあちゃんは
「私の力が弱まったから、もうちょっとがんばるわ」とか、
「あんた、私に頼りすぎだよ」
と言って夢でなだめてくれた。
彼とつき合い始めたとき、何人かの亡くなった親戚に聞いた。
「私には今、つき合っている人がいるんだけど」
するとみんな、んー?と肩をすくめたり、首をゆっくり振ったりする。
運命の人じゃない
久しぶりにひいおばあちゃんの夢を見た。
学校のような病院のような場所に私を連れていってくれた。大きな建物が広場を囲んでいて、中央に噴水があった。
私は例のように彼のことを聞いた。
「彼は本当に普通の人」
ひいおばあちゃんは話し始めた。
「本当に普通の人。つまり運命の人ではない。
あなたは今までほかの人とつき合ったことがないから、彼と長く続いているだけ」
「でも今は彼とつき合ったあとの時間しか存在しない。
この関係を守っていくのは、今までの彼との時間を守っていくということ。
その時間を選択するということ」
今までの時間を守っていく。それがこれからを大切にできるということだ。
とひいおばあちゃんは言った。
ひいおばあちゃんの表情はやさしくて、うれしそうに見えた。
これからも暮らしていく
地球の時間を守る
この頃、夢でほかの亡くなった親戚と会ったときにも、彼のことを話すとにっこり笑って「うん、うん」と頷いてくれるようになった。
ひいおばあちゃんの言う”時間”が、私たちを認めてくれたのかもしれない。
火星人は「これからもいっぱいたのしく過ごそうね」と言った。
火星人との生活はたのしい。
溶けてもなくならないもの
私の日常にもメルトダウンのようなものがある。
メルトダウンは、日常生活でたまった刺激のストレスが限界に達し、
自分の感情や感覚に襲われて強烈なパニックを起こすこと、と認識している。
その苦しみから逃れたくても、長い時間どうにもできないときもある。
私は長くつき合ってきた自分の日常を、もっとポップに、ユーモアのある形で表現したいと思う。
これからも自分の、私たちの、誰かの知識やケアになればと思い、宇宙人の生態について投稿していきたい。
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