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葬送文化・弔い

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日本の葬送文化と弔いについて、葬送相談対応8000件以上、寺院支援企業運営中の立場で考えたことをつらつらと。
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記事一覧

なぜ葬儀の高額請求トラブルは増えるのか?

なぜ葬儀の高額請求トラブルは増えるのか?

「最近、葬儀相談時にいつも通り価格を提示しただけで契約になることある。よく話を聞いてみると「他社では総額提示をしてもらえなかったから1番正直に答えてくれたおたくに決めた」と言われて他社はどんなことになってるんだと呆れる。」

ここ数年、知り合いの葬儀社の方数名と別々にお話をしたらこの話題になりがち。偶然にしてはおかしいと思って調べたみたらその片鱗がデータでも現れていた。

国民生活センターに寄せら

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遺体・遺骨処理か弔いか

遺体・遺骨処理か弔いか

総務省が引き取り手のないご遺体について調査を行い、身元が分かっているのに引き取り手がなかったご遺体は3年間で10万人を超えた。

更に、ご遺体の引き取り手があったとして、ご遺体を供養の観点ではなく処理の観点で火葬し、遺骨を数万円の合葬墓におさめている数。

つまり弔い不在の遺骨処理は葬送文化界のレジェンド、葬送ジャーナリストの碑文谷さんによれば1年間で20万人はいるのではないか?とも。

年間15

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2023/10/20「碑文谷 創さんのお話を聞く葬送次世代の会in関西~次世代に心ある弔いを繋げるためには?~」を開催しての所感

2023/10/20「碑文谷 創さんのお話を聞く葬送次世代の会in関西~次世代に心ある弔いを繋げるためには?~」を開催しての所感

実行委員会として開催した上記の企画が無事終了。

Facebook投稿のために書いた文章。思うように言葉になったのでnoteにもバックアップがてら記載しておく。
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昨日、大阪は大蓮寺で「碑文谷 創さんのお話を聞く葬送次世代の会in関西~次世代に心ある弔いを繋げるためには?~」と題した企画を開催。

無事に終えてほっとしつつ、昨日の会場の熱気が凄まじくてまだ余

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終活への違和感

終活への違和感

私が葬儀・お墓の相談員として

身内が亡くなりそうだ

身内が亡くなった

遺骨が手元にある

お墓を引っ越したい

といったお悩みを受けて、葬儀社、石材店、寺院、法要施設を紹介する事業部に関わり始めたのは2010年のこと。

終活という言葉は、2009年に週刊朝日の特集で使われたのをきっかけに広まった。とされているので、この言葉の誕生とほぼ同時期にあたる。

日々、自分や大切な人の「死」と向き合

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納骨堂・霊園の破綻はなぜおこるか

納骨堂・霊園の破綻はなぜおこるか

またお寺が納骨堂経営に失敗、つまり破綻した。

私自身は、葬儀・お墓・納骨堂の相談員を務めたうえで現在は寺院の活動支援(納骨堂・永代供養墓の運営、情報管理など)を主軸にした事業を運営している。

業界に10年以上もいると霊園・永代供養墓・納骨堂の倒産は実は珍しくなく、ここ10年の間にも何件もあった。

今回の事件に当社も私もまったく関与していないし、実際のところは分からないが報道が事実だとすると、

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「教える」ではなく、「引き出す」終活

「教える」ではなく、「引き出す」終活

以前書いた終活への違和感がよく読まれていて、共感の声を僧侶の方や葬儀社さん、一般の方からもいただけてとても嬉しい。

今回は、私なりの終活の違和感へのアンサー活動が最近見えてきたので記録したい。

終活への違和感では、マーケティング側が先導する終活には批判的であることを書いた。

ではとうすればいいのか?の具体的な活動について。

最近の私の講座に参加してくださった方々、始まる時は少しむずかしい表

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「碑文谷創さんのお話を聞く心ある葬送の会」を開催して

「碑文谷創さんのお話を聞く心ある葬送の会」を開催して

「まずはこれを読んでおいて」

後に新卒で入社するご縁をいただいた会社に採用試験も兼ねてインターンシップとして参加した際に手渡された一冊の分厚い本。

書籍名:葬儀概論

著者:碑文谷創

発行所:葬祭ディレクター技能審査協会

日本で唯一、葬送の歴史を古代から現在まで記述されているこの書籍は葬祭ディレクター技能審査のテキストとして作成された。



当時の私の担当業務は一言で言えば喪主と葬儀社

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誰がための弔いなのか?

誰がための弔いなのか?

思わず手を合わせて人が人を想う。

感謝、敬意、懺悔、報告。

さまざまな感情を抱きながら、いなくなってしまった人に想いを寄せる。

そして、いなくなってしまった人と己の関係性を起点に、自分自身の感情や思考と向き合って、生きていく。

「あなたがいたから私がいる」

それを確認して、自分という存在と向き合うことで、言葉にできない「なにか」を自分の生きる力に変えていく。

それが弔いだと私は思ってい

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