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"歴史" 系 note まとめ

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2021年11月の記事一覧

保苅実と岡村靖幸。

ミノルは音楽が好きだった。博士論文が元になっているGurindji Journeyの謝辞("Author's Acknowledgement")に、お世話になった方々だけでなく、場所やモノも言及している。かなり珍しい、らしい。 Beside the Gurindji Country and Dreaming, I have to acknowledge the things and places that provided me with a wonderful resea

「ロココ様式」って一体何か、知っていますか?

ビジネスに使えるデザインの話「人生とビジネスに役立つデザインの話」マガジン。グラフィックデザイン、書体から建築までビジネスに使えるデザインの話を扱います。 「ロココ調」の「ロココ」は美術様式「ロココ調」……聞き流して、見流してきたんですが、え?何?それと突然、その正体が知りたくなったりしませんか?「いや、なんとなくは知っているんですよ」と思うも、「なんとなく」というベールは剥がせない。ということで、剥がしてみることにしました。 ロココを語るのが、少し面倒な理由ロココを理解

“仏教が始まった地”を訪れた日のこと

 七年前、俺がネパールに行った最大の目的。  それは仏教が誕生した地、すなわち“ブッダ”“釈尊”と称される仏教の開祖:ゴータマ・シッダールタの生誕地を訪れること。 仏教八大聖地の一番目:生誕地ルンビニは、閑静な田舎の村に存在する。広大な畑が一面に広がり、住人や観光・参拝客の数もまばら。時折見かける個人商店に、のどかな村のささやかな賑わいを見ることができた。ユネスコ世界遺産がある村だとは、一見すると信じがたい。  所変わって、聖地“ルンビニ園”の入り口。敷地内には肝心の“ブ

都農の漁船の歴史

この文章は、平成8年3月に山本健治「都農の漁船の歴史」と題して『宮崎県総合博物館紀要 24』に掲載した草稿です。引用の際には、原本をご確認下さい。 【山本健治さんについて】 本資料は、都農町下浜在住の元漁師の山本健治氏が、都農町史編さん室の古川忠氏のすすめで、これまでの漁師の経験談や都農町の漁村の歴史について記録してはとの呼びかけに応え、記録したものである。現在編さん中の『都農町史』には資料として利用されているが、原稿そのものは未発表の予定であるという。そこで古川氏の同意の

日本語のルーツは9000年前の西遼河流域の黍(キビ)農耕民に!

Natureに日本語のルーツについての新しい研究成果が発表されたと言うことで、さっそく読んでみる。 こちらの論文、"Triangulation supports agricultural spread of the Transeurasian languages(トランスユーラシア語族のルーツは農業にあった)"である。 トランスユーラシア語族というのは聞きなれない言葉かもしれないが、トルコ語、モンゴル語、ツングース語、韓国語、そして日本語の共通のルーツにあたると推定される

気鋭の若手研究者たちが、世界と日本と沖縄を新しい視点でつなぐ。復帰50年を前に読みたい、沖縄近現代史の入門書。

この本は「教科書」でも、歴史のトリビアを寄せ集めた「歴史ネタ本」でも、専門用語と古文書だらけの「専門書」でもありません。 世界史や日本史とのつながりを意識しながら、現代の沖縄社会の課題に向き合う上で必須だと思うテーマが選ばれています。 執筆者は本章とコラム合わせて総勢25名。多彩なバックグラウンドを持つ研究者たちが、最新の研究成果を踏まえ、史料に基づき、時代の流れに沿って配置した沖縄近現代史の「入門書」という位置付けです。 復帰50周年を前に、沖縄の歴史をあらたな視

江戸東京博物館に行ってみたのは、ブラタモリがきっかけだった

最近タモさんはブラブラしなくなったが(コロナの影響で)、ブラタモリが好きだ。 タモリさんの底なしの知識と、石、ダム、地層、傾斜など様々なモノへの愛を感じ、視聴者もとても勉強になる番組だ。 この番組、実は研究者たちの間でも非常に評価が高いという。 そしてこの「ブラタモリ」は2017年に日本地質学会からも地質学への貢献として表彰を受けている。事実、ブラタモリは地質学からアプローチし、その結果なぜそこに人の営みや文化が生まれたかをわかりやすく伝えてくれる。 そんなブラタモリ

【募集は締め切りました】第二次大戦下のドイツで携帯電話とインターネットが発展し、完全な監視国家を構築していたら? 歴史改変SF『NSA』がゲラで読める! 読者モニター募集キャンペーン実施

早川書房では、ドイツで高い評価を得る作家アンドレアス・エシュバッハの作品『NSA』を、ハヤカワSF文庫にて2022年1月に邦訳刊行! その読者モニターを募集いたします。 NSA 原書書影 本作は、携帯電話とインターネットが発展した第2次大戦下のドイツを舞台に描かれる歴史改変SFです。ドイツのSFのプロが選定するSF賞であるクルト・ラスヴィッツ賞を受賞した本作。ドイツのファンが選んだドイツSF大賞でも2位と、面白さ折り紙つきの作品です! 海外SF、歴史改変SFに興味がある

【総目次】 新科目「歴史総合」をよむ【みんなの世界史】 関連年表付き

0. 歴史の扉0-1.歴史と私たち ◆「自分は歴史なんて関係ない」って、本当? 0-2. 歴史の特質と資料 ◆ 大昔に起きたことなんて、確かめようがないんじゃないの? 1. 近代化と私たち 1-1. 近代化への問い ◆「近代化する」って、何が、どうなること? 1-1-1. 労働と家族/1-1-2. 産業と人口/1-1-3. 交通と貿易/1-1-4. 移民/1-1-5. 権利意識と政治参加や国民の義務/1-1-6. 学校教育 5つの観点から考える問い 1-2.

【イベントレポート】『中国料理の世界史』刊行記念イベント@ジュンク堂書店池袋本店

11月13日(土)、『中国料理の世界史――美食のナショナリズムをこえて』刊行記念オンライントークイベント「おいしいアジア料理の歴史を味わう―中国から日本、そして世界へ」が開催されました。ご参加くださった皆様、ありがとうございました。 今回のトークは、著者である岩間一弘先生(ツイート写真左)と、写真家・ジャーナリストの森枝卓士先生(写真右)にご登場いただきました。 岩間 一弘(いわま かずひろ) 1972年生まれ。慶應義塾大学文学部教授。専門は東アジア近現代史、食の文化交流

政治史の書き方,読み方,使い方 vol.2 ――『日本政治史講義』の場合 【下】

◆日本の近代一五〇年を俯瞰して描く   ――「人」「場所」「制度」の視点の統合 清水 私は,牧原さんが,放送大学で天川晃先生,御厨貴先生と一緒に「日本政治外交史」の講義を担当されていたときに御厨研の助手だったので,天川先生,御厨先生と,いろんな場所に出張に行けて羨ましいなと眺めていました(笑)。ちょうどその頃は,牧原さんが,御厨塾〔御厨先生が主宰していた日本政治史プロフェッショナルセミナーーー編集部注〕で行われていた「原敬日記を読む」に参加されていたときで,毎回それが終わ

政治史の書き方,読み方,使い方 vol.2 ――『日本政治史講義』の場合 【中】

◆教科書の新しいあり方を示す瀧井 私も今まで出てきた感想と重なり合いますが,この『日本政治史講義』は,視覚とかビジュアルの面で工夫がされていて,メリハリと言いますか,対談的な要素も取り入れられていて,教科書の新しいあり方を積極的に示されようとしたものだと思いました。とくに,対談の部分は読ませる内容で,面白かったです。  あと,やはり現代史という部分は,おそらく今の若い人とかも飛びついてくるのではないかと思います。若い人も,田中角栄,竹下登,中曽根康弘,小泉純一郎といった,ち

J-ROCK史オモテ面:桑田佳祐史観

日本のロック史をどの視点から見るか。個人的には「はっぴぃえんど史観」と「ニューロック(内田裕也、と言ってもいいかも)史観」の二つが大きな流れかなぁと思ったりするのですが、今回は「歴史が長くて知名度もある割に、あまりJ-ROCK史の文脈できちんと語られない(ような気がする)バンド」、サザンオールスターズ、ひいては桑田佳祐を通じてJ-ROCK史を見てみようと思います。いわば「桑田佳祐史観」ですね。僕はサザンファンでもありますが、いわゆる「サザン史」ではなく、「日本のロック史」をサ

新科目「歴史総合」を読む 1-2-5. 世界市場の形成

1-2-5.世界市場の形成資料  ■「世界の工場」から「世界の銀行」へ  産業革命を経て圧倒的な工業国となったイギリスは、「世界の工場」として、世界各地から原材料を輸入し、工業製品を輸出することになる。 (出典:『明解世界史A エスカリエ 初訂版』帝国書院、137頁)  これは、まるで世界各地が、イギリスを中核とする経済圏にとりこまれていくようだ。  たとえば、アメリカの歴史社会学者ウォーラーステインは、ヨーロッパを中心とする経済システムが、世界各地の経済システムを飲