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わたしは未来に生きている。

昨日、ちょっと不思議な体験をした。いきなり、身に覚えのない感情が、あたかも私のもののようにわっと湧き上がり、静かに涙が二筋こぼれていった。



「なんで、戦争なんてしちゃったんだろう」


昨日受けてきた、直傳靈氣(じきでんれいき:西洋に渡らず日本国内で受け継がれた伝統的な靈氣。自然療法の一つ。)講習1日目の、霊授をしていただく際のことだった。

(霊授とは先生が受講生に靈氣に流す(授ける、伝える)こと。儀式的だが実際に靈氣が流れる量が多くなるなど効果がある。)


突然湧き上がってきた感情は、一言で言うなら「悔しさ」だった。

悔しさとは怒りの一種だと以前読んだ初期仏教のスマナサーラ長老の本で知った。やってしまった過去についての怒り。どうしても許せない。なんでなんでと責める気持ち。

もちろん私は戦争なんてしていない。しかしその感情はリアルだった。

すぐに、これはいかんと思った。なぜなら靈氣の五戒に「怒らない」とあり、まさに霊授が始まろうとしている最中であり、いつにも増して心を静かにしていたいタイミングだった。

それに周りがとても静かなので、はなをすすったりしたら他の受講生の邪魔になるかもしれないし、涙していたら先生に変に思われるかもしれないし。

とにかく気持ちを鎮めようと五戒を意識しながら呼吸していた...と、思う。



すると、別の、慰めのような優しい感覚が湧き上がってきた。これもまた身に覚えがあるわけでもないのだが、私の中で対話が行われていた。


「もう、終わったことだよ。終わったんだ。もう、終わったんだよ。」


悔しがる気持ちに、なんども繰り返し、もう終わったんだと繰り返した。それは、突き放しているわけでは決してなく、悔しがる気持ちをしっかり受け止めた上で、もうその重荷は手放していい、手放してもだいじょうぶだよという意味合いが込められていた。


そうか。終わったんだ、もう終わったことなんだ.....

平和になって、ここは未来で、もう元号も2回も変わった。あたらしい社会に生きている。

春のさわやかな光がたくさん入っている部屋にいる私を、窓の外から見た気がした。


3人いる受講生のうち私の霊授は最後だったので、その頃には涙も感情も落ち着いていて、ゆっくり受けることができた。


***


すこし驚いたものの、けして嫌なことではなかった。しかし、こんなことを感じたのはなぜだろう。

霊授前の講習で戦前に靈氣研究に携わっていた人たちの写真をたくさん見せてもらっていたし、当時の皆さんがどういった思いで過ごしていたんだろうと考えることも多かったから、ふいに感慨が深まったのかもしれない。というのが一般的な考え方だとは思う。

でも、込み上げてきた感情は、他の方のものというよりは、自分の内側、奥からきているような、そんな不思議な感覚だった。もちろん私は戦争を経験していない。しかし、恐怖体験(トラウマ)は世代を超えて引き継がれるという研究結果も出ている。私の細胞に刻まれている何かが反応したのかもしれなかった。


靈氣という療法は、第二次世界大戦の敗戦をきっかけに日本での活動は停滞してしまったものの、運良く国外に伝わり海外で広まったという。1990年以降に日本へ逆輸入のような形で今再び広まっている。ニューエイジブームが海外での火付け役になったようで、どちらかというと日本でもスピリチュアル的なイメージで広まっているように思う。

なので、聞いてみると実は昔おじいちゃん、おばあちゃんが靈氣をやっていた、という人も多いかもしれない。何しろ戦前の靈氣の協会は何千人もの会員がいたらしく、そのメンバーが家族親戚、近所の人へバンバン靈氣していたようなので、認知度は一定以上あったのではないかと思う。


実は私の曽祖父とその父も、靈氣を使う人だったらしいという情報を祖母に聞いて知ることができた。

靈氣は軍人上層部で活動的に行われていたらしい。これは極めて皮肉な話に感じられる。氣は人を治すもの。戦争は人を殺すもの。なぜ、この両極が一人の人間に、いや、多くの人間の中、社会の中に共存できたのだろうか。すさまじい葛藤があったのではないだろうか。

私の曽祖父の父も軍人でだいぶ活躍した人物だったようだ。一方、彼が靈氣を身につけたきっかけは、生まれつき体の弱かった子どもに少しでも何かを施したかったからだと言う。どんなことを感じながら生きていたんだろう。


その子孫にあたる父は靈氣を知らなかったし、私が話してみても理解はできないようだった。私はなんの巡り合わせか、世代を超えて靈氣に出会うことができて、とても嬉しい。

あの感情の正体はわからないし、わからないままでいい。でも、私は私なのだというよりも過去から未来への連続である気がして、私の中で何かが終りつつあって何かが始まりつつある気がして、嬉しい。


講習の後半も楽しみです。



※直傳靈氣で象形文字は重要と習い、絶対的な決まりなどではありませんが、せっかくなので今後は霊気は表記を旧漢字に改めて靈氣表記にしていこうと思います。

参考図書:

▼怒りの種類について、楽しく学べる本。新書の怒らないこともいいけど、この赤いノートはしりあがり寿さんの書く怒りの種類別のキャライラストもかわいいし、おすすめ。(「後悔」はクックッチャと言います。←可愛くない?)

▼もっと深く靈氣(レイキ)を知りたい方へ



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