谷 俊彦

小説家;執筆活動再開しました。 「木村家の人びと(小説新潮新人賞⇒映画化)」「東京都大…

谷 俊彦

小説家;執筆活動再開しました。 「木村家の人びと(小説新潮新人賞⇒映画化)」「東京都大学の人びと(映画化)」など。 有料記事も無料領域がかなり長めですので気軽に覗いてやってください。 まずは江戸期にいた、とてつもなく弱い力士の物語から……。

マガジン

  • ぼちぼちエッセイ

    ぼちぼちと、日々の暮らしを描いたり、過去の引き出しをさぐったり。

  • 呑み書きスル晩

    旅の愉しみのひとつは地酒やクラフトビールを呑むことです。土産のほとんどは、実は自分向け。旅の景色を振り返りながら酒を呑む、そろそろとやって来る晩年を思う。

  • ヒミツの図書館/ノンフィクション棚

    エッセイ、旅日記、調査報告など、心に残ったノンフィクション記事をまとめています。

  • 創作の時間

    他の小説シリーズに収まらない創作です。一部、関連エッセイを含みます。

  • 新・再勉生活

    日本で学校を卒業してから8年後、アメリカの田舎町で再び勉強する機会を得ました。妻と幼い娘二人を連れての異文化珍道中を描きます。 (「採便」じゃないよ!)

記事一覧

固定された記事

スーパー・らくだの渋滞レジ(短編小説;6200文字)

「1286円になります」  そう言いながら、アタシの右手は既に次のお客さんのバスケットを引き寄せていた。川が流れるように前のお客の支払いと次のお客の商品スキャン準備…

100
谷 俊彦
10か月前
35

「世界がうらやむ~♬」はずだった「日本の未来は~♬」どうなったんだろう?

かつて、カラオケでよく歌われた: 『LOVEマシーン』 1999年9月9日、9人のモーニング娘。による歌として《9ゾロ目》発売予定だったけれど、新メンバーのオーディションが…

谷 俊彦
1日前
35

東濃釜戸の地ビールとコシアブラの天麩羅をいただく

連休に帰省中の娘とその母親は、《海獺》ラッコ生活にも飽きたのか、東濃・瑞浪に山菜狩りに出かけました。 母親は山菜マニアで、山道を車で走りながらも、 「あ、タラの…

谷 俊彦
3日前
50

便利な言葉だからか、使われ過ぎじゃないの?『寄り添う』

私だけだろうか? ── 最近、とても気になる言葉がある。 《寄り添う》使われ過ぎの『魔法の言葉』になってやしないだろうか? 例えば、ジャニーズ騒動の際に、所属する…

谷 俊彦
4日前
51

海獺(ラッコ)の季節

出稼ぎ中の娘が連休に帰省した。 寄生 ── あ、いや、帰省するのはいいけれど、海獺が2匹目になるとひとつしかないソファの争奪戦が始まる。 そうか ── 前回は確か12月…

谷 俊彦
5日前
54

真のチャレンジは人にわからない場所で(一部再掲)

「あれ? 左効きでしたっけ?」 職場でPCを使っているとよく言われた。 「いや、右だけど……あ、これ?」 マウスを左手で操作しているためである。 「マウス操作ごときは…

谷 俊彦
6日前
46

有能なキミたちをどう活用するか?

先週、衝撃的な出来事があった。 山あいのゴルフ場でいつものようにグリーン上を右往左往した後、カートに戻ろうとした時のこと、 「あ、カラス!」 同行者が叫んだ。 黒い…

谷 俊彦
8日前
44

応援消費Ⅳ;富山新湊港の『ホタルイカ刺身』に黒部の『宇奈月ビール』モーツァルト仕込み

だいぶ間が空きましたが、今回は富山どうし……です。 先月(3月)終わりだったか、富山の新湊でホタルイカが豊漁、というニュースを見ました。それ以来、確かにどの店で…

谷 俊彦
10日前
68

常套句『大暴れ』に「ゴジラじゃないんだから!」

「また、これだよ! ……ゴジラじゃないんだから!」 野球記事を読んでいた同居人が叫んだ。 「『大暴れ』って何? バット振り回して球場の照明でも叩き割ったのならと…

谷 俊彦
11日前
42

将来、人類は二極化する?

米国留学から戻って間もなく、社内で新たな留学候補生に選定された別部署の若手が、話を聞かせて欲しい、と言ってきた。 新婚間もなかったこの人は、帯同する奥さんも向こ…

谷 俊彦
12日前
66

アートとタイパについて考えさせられたモノクロのハンガリー映画『ヴェルクマイスター・ハーモニー』(ネタバレ:ほぼなし)

今年の目標『月イチの劇場映画』達成のため(というわけでもないけれど)、復活したミニシアター・今池のナゴヤシネマ・ノイに行きました。 復活した直後でその日の朝にTV…

谷 俊彦
2週間前
52

再勉生活! 「I don't need your help」Baby sitter を見つけられなかった助教授は教室で学生がまだ写し終えていない板書を消し…

渡米して数か月が経った頃、私と妻は3歳と5歳の子供をアパートに置いて出かけたスーパーマーケットで、米国人の知り合いに会った。 「子供たちはどうしたの?」 「2人で…

谷 俊彦
2週間前
46

再勉生活! 『詳細なカンニングペーパーを念入りに作っているうちに、試験中それが必要でなくなるほど、その内容が既に頭に入っ…

のび太が試験の前日に一生懸命小さな字でカンニングペーパーを作っている。 それを見たドラえもん: 「のび太くーん、そんな苦労するよりも、ちゃんと勉強した方がよっぽど…

谷 俊彦
2週間前
47

Beatlesが流れる居心地の良い喫茶店

個人経営の食料品店がどんどん減っています: レストランや喫茶店も、気がつけばチェーン店ばかりになっていますね。 いずれも、仕入れなどのコストと効率など《量》の効…

谷 俊彦
2週間前
110

夫業のコツ

1.愚痴は最後まで辛抱強く聴く 「それでね、……だからね、……そうしたらね、……なのよ、ひどいと思わない?」 「……」 「ちょっと、聴いてた? ひどい話でしょ?」…

谷 俊彦
2週間前
56

成績を上げるために

『今年やりたい10のこと』を年初に宣言した3か月後、成績表を(自分から、ではありますが)受け取りました: この成績表: 5:1科目 4:3科目 3:3科目 2:1科目…

谷 俊彦
2週間前
45
スーパー・らくだの渋滞レジ(短編小説;6200文字)

スーパー・らくだの渋滞レジ(短編小説;6200文字)

「1286円になります」
 そう言いながら、アタシの右手は既に次のお客さんのバスケットを引き寄せていた。川が流れるように前のお客の支払いと次のお客の商品スキャン準備を平行して進めていかないと捌けない。
「……えーと、確か1円玉が6つぐらいあったような……」
 大きめのがま口財布を開いて中身をかき分ける鳥山のお婆さんに、既にリズムは崩れかけていた。

 でも、お年寄りの脳活性化のためには、時間がかか

もっとみる
「世界がうらやむ~♬」はずだった「日本の未来は~♬」どうなったんだろう?

「世界がうらやむ~♬」はずだった「日本の未来は~♬」どうなったんだろう?

かつて、カラオケでよく歌われた:
『LOVEマシーン』
1999年9月9日、9人のモーニング娘。による歌として《9ゾロ目》発売予定だったけれど、新メンバーのオーディションが不調で8人になったそうです。

とにかく、二次会などでみんなで歌うと盛り上がりました。
特に、一斉に手を振りながらのサビ部分:

1999年9月 ── バブルが崩壊して失業率が高まり、この年は成長率もマイナスになりました。
歌詞

もっとみる
東濃釜戸の地ビールとコシアブラの天麩羅をいただく

東濃釜戸の地ビールとコシアブラの天麩羅をいただく

連休に帰省中の娘とその母親は、《海獺》ラッコ生活にも飽きたのか、東濃・瑞浪に山菜狩りに出かけました。

母親は山菜マニアで、山道を車で走りながらも、
「あ、タラの芽!」
「コシアブラ発見!」
と頻繁に叫ぶ人物です。

この日、私は留守番で、賞味期限ギリギリになったカップ麺をやむを得ず食べていると、|海獺親子はやや育ち過ぎたコシアブラと地ビールを土産に凱旋しました。

帰り道に中央線釜戸駅近くの『カ

もっとみる
便利な言葉だからか、使われ過ぎじゃないの?『寄り添う』

便利な言葉だからか、使われ過ぎじゃないの?『寄り添う』

私だけだろうか? ── 最近、とても気になる言葉がある。

《寄り添う》使われ過ぎの『魔法の言葉』になってやしないだろうか?

例えば、ジャニーズ騒動の際に、所属する人気タレントの発言に:
── ファンに寄り添う

大きな災害が起きると、報道やコメンテーター、いや、災害とまったく無関係なスポーツイベントのインタビューや映画・ドラマ発表会見中にも頻発する:
── 被災地(の人たち)に寄り添う

サー

もっとみる
海獺(ラッコ)の季節

海獺(ラッコ)の季節

出稼ぎ中の娘が連休に帰省した。
寄生 ── あ、いや、帰省するのはいいけれど、海獺が2匹目になるとひとつしかないソファの争奪戦が始まる。
そうか ── 前回は確か12月、寒い季節だったので、床(というより、床暖房)に張り付いていた。さらに気温が上がれば、暑苦しいソファより再びひんやりとした直床や畳が心地よい。
今がちょうど、
海獺の季節
というわけだ。

老海獺がトイレに立った隙を逃さず若海獺がプ

もっとみる
真のチャレンジは人にわからない場所で(一部再掲)

真のチャレンジは人にわからない場所で(一部再掲)

「あれ? 左効きでしたっけ?」
職場でPCを使っているとよく言われた。
「いや、右だけど……あ、これ?」
マウスを左手で操作しているためである。
「マウス操作ごときは左手に任せて、右手にはもっと重要な仕事をさせるんだよ……メモを取るとか」
「はあ……でも、今どき、PC作業しながらメモなんて取りますかねえ」
うーむ……ま、そうかもしれないが。

マウス操作を右手から左手に変えたのは、やはり同じような

もっとみる
有能なキミたちをどう活用するか?

有能なキミたちをどう活用するか?

先週、衝撃的な出来事があった。
山あいのゴルフ場でいつものようにグリーン上を右往左往した後、カートに戻ろうとした時のこと、
「あ、カラス!」
同行者が叫んだ。
黒い影がカートから飛び去って行く。
「何かくわえていった!」
急いで戻ると、カートに置いたバッグがひっくり返されている。
そのバッグはファスナーがついていたが、端の部分が3センチほど開いており、そこから嘴を入れたらしい。
── それはわかる

もっとみる
応援消費Ⅳ;富山新湊港の『ホタルイカ刺身』に黒部の『宇奈月ビール』モーツァルト仕込み

応援消費Ⅳ;富山新湊港の『ホタルイカ刺身』に黒部の『宇奈月ビール』モーツァルト仕込み

だいぶ間が空きましたが、今回は富山どうし……です。

先月(3月)終わりだったか、富山の新湊でホタルイカが豊漁、というニュースを見ました。それ以来、確かにどの店でもボイルホタルイカがよく売られています。酢味噌で食べると美味いですが、硬い目玉を除くのが面倒ですね。

富山を地盤とする魚屋系スーパーで、新湊港で揚がったホタルイカの刺身が出ていました。生ホタルイカは時折寿司屋でつまみますが、これは、さら

もっとみる
常套句『大暴れ』に「ゴジラじゃないんだから!」

常套句『大暴れ』に「ゴジラじゃないんだから!」

「また、これだよ! ……ゴジラじゃないんだから!」
野球記事を読んでいた同居人が叫んだ。

「『大暴れ』って何? バット振り回して球場の照明でも叩き割ったのならともかくさあ……」

そういえば、大谷サンも頻繁に暴れ回るようですね。困ったものです……:

「『大暴れ』じゃなくて、『大活躍』でしょう!」
「ま、そうなんだけど……インパクト強めに書きたいのだろうね……」
「ホントの意味で球場で『大暴れ』

もっとみる
将来、人類は二極化する?

将来、人類は二極化する?

米国留学から戻って間もなく、社内で新たな留学候補生に選定された別部署の若手が、話を聞かせて欲しい、と言ってきた。
新婚間もなかったこの人は、帯同する奥さんも向こうの生活について聞きたいことがある、というので、自宅に招いて夕食を共にした。

彼は身長180 cm以上で、当時私が住んでいた古い家で、鴨居に頭をぶつけないよう慎重に歩いた。
奥さんも170 cmを超える高身長だった。

この夫婦が帰った後

もっとみる
アートとタイパについて考えさせられたモノクロのハンガリー映画『ヴェルクマイスター・ハーモニー』(ネタバレ:ほぼなし)

アートとタイパについて考えさせられたモノクロのハンガリー映画『ヴェルクマイスター・ハーモニー』(ネタバレ:ほぼなし)

今年の目標『月イチの劇場映画』達成のため(というわけでもないけれど)、復活したミニシアター・今池のナゴヤシネマ・ノイに行きました。
復活した直後でその日の朝にTVニュースでも話題になっていた先月はほぼ満席でしたが……

その熱が冷めたのか、あるいは掛けられる映画の個性によるものか、この日この時間は観客数10人ほどで……再びのピンチがやってくるのではないかと心配だ。

この日観たのはハンガリーのタル

もっとみる
再勉生活! 「I don't need your help」Baby sitter を見つけられなかった助教授は教室で学生がまだ写し終えていない板書を消した小学生の娘に言った

再勉生活! 「I don't need your help」Baby sitter を見つけられなかった助教授は教室で学生がまだ写し終えていない板書を消した小学生の娘に言った

渡米して数か月が経った頃、私と妻は3歳と5歳の子供をアパートに置いて出かけたスーパーマーケットで、米国人の知り合いに会った。
「子供たちはどうしたの?」
「2人で家にいるよ」
「2人だけで?」
「ええ」
すると、知人は怖い顔で,
「It's against law(法律違反だ)」
と宣告した。
イリノイ州では12歳以下の子供だけを家に残すのは犯罪なのだそうだ。
「早く帰った方がいい。もし隣人が警察

もっとみる
再勉生活! 『詳細なカンニングペーパーを念入りに作っているうちに、試験中それが必要でなくなるほど、その内容が既に頭に入ってしまっている』というのは本当か?

再勉生活! 『詳細なカンニングペーパーを念入りに作っているうちに、試験中それが必要でなくなるほど、その内容が既に頭に入ってしまっている』というのは本当か?

のび太が試験の前日に一生懸命小さな字でカンニングペーパーを作っている。
それを見たドラえもん:
「のび太くーん、そんな苦労するよりも、ちゃんと勉強した方がよっぽど楽だと思うんだけど……」
ドラえもんは、ある意味正しく、ある意味では間違っている。
おそらくのび太は、明日の試験ではカンニングペーパーを見る必要がないほど、試験範囲の公式を暗記してしまっている。
でも、『カンニングペーパーを作る』という極

もっとみる
Beatlesが流れる居心地の良い喫茶店

Beatlesが流れる居心地の良い喫茶店

個人経営の食料品店がどんどん減っています:

レストランや喫茶店も、気がつけばチェーン店ばかりになっていますね。
いずれも、仕入れなどのコストと効率など《量》の効果が大きいのでしょう。
あとは、チェーン店なら期待どうりの同じサービスが受けられるので『失敗がない』── だから、リスク回避の時代に好まれるからなのかもしれない。

名古屋は、かつては喫茶店の多い街でした。繁華街はもちろんのこと、住宅街に

もっとみる
夫業のコツ

夫業のコツ

1.愚痴は最後まで辛抱強く聴く

「それでね、……だからね、……そうしたらね、……なのよ、ひどいと思わない?」
「……」
「ちょっと、聴いてた? ひどい話でしょ?」
「……(表情の変化を見てとり、耳スイッチ再ON)ああ、そうだね、ひどいよね」
「ちゃんと聴いてた?」
「聴いてたよ」
「ずっと聴いてた?」
「も、もちろんです!」
「じゃ、何話してた?」
「えーと、……ひどい話だった」
(話の途中でう

もっとみる
成績を上げるために

成績を上げるために

『今年やりたい10のこと』を年初に宣言した3か月後、成績表を(自分から、ではありますが)受け取りました:

この成績表:
5:1科目
4:3科目
3:3科目
2:1科目
1:2科目
のうち、最低点《1》を付けられたのは、
③ 月1で料理担当
⑥ 書斎の片づけ完了
でした。
⑥はなんとかなる(or どうしようもない)として、③は関係者(監視役?)がいるわけです。

「アンタ、今年は月イチで料理するっ

もっとみる