見出し画像

虐待されている子にはイヤイヤ期はありますか?|ありません。

愛着形成とイヤイヤ期は、とても密接な関係があります。つまり愛着の存在のサインにもなるのがイヤイヤ期です。本来の用語でいうなら第一反抗期です。思春期の反抗は第二反抗期ですね。

年齢にすると2~3歳頃に始まります。イヤイヤやっている期間は子どもによって異なりますが、母子の関係性によってもその期間が長くなったり短くなったりします。

今回は愛着形成とイヤイヤ期について解説します。その前にいただいた質問をご紹介しておきます。

虐待環境で育つ児童(愛着障害児)にはイヤイヤ期はあるのでしょうか?

先生のnoteで、0-1歳は母と一体であり、そこから身体的に自立しようとするのがイヤイヤ期と読んだ覚えがあります。愛着が切れている愛着障害児の場合、親との一体感もなく、イヤイヤ期もないのかと思ったのですがどうでしょうか?

ソレア質問箱より

高橋和巳先生の新著「親は選べないが人生は選べる」にこの質問の回答があります。今回の記事はこの本に沿って回答したものです。この本についはラジオで、少し違った視点で話していますので、ご興味ある方は合わせてご視聴ください。
少し予告しておくと、ラジオでは成人期二期の期間について、虐待における愛着の一貫性について、高橋先生とは少し違う私の見解を述べています。この「一貫性」については今年一年をかけて、自分の言葉で定義できるといいなと思っています。私の課題ですね。

■愛着ができあがるとイヤイヤ期が出現する

第2章にある見出しを紹介しておきます。直球で分かりますね。これが質問者さんへの答えです。

・愛着形成ができたらイヤイヤ期が発動する
・虐待されている子にはイヤイヤ期がない

親は選べないが人生は選べる, p.46, p.59

本文からピックアップしておきます。親に反抗しても見捨てられることはないという確信があるからこそ、イヤイヤ期が発動するわけです。そしてこの「見捨てられることのない確信」とは愛着形成が出来上がったことを示しています。

子どもがイヤイヤ期になって親に反抗できるのは、それまでの期間に親子の愛着関係がしっかりと出来上がっていたからです。(中略)その頃、子は「親に反抗しても見捨てられない」と確信しています。これがあってこそ、子は一番大切な親に反抗できるのです。

親は選べないが人生は選べる, p.47

ただ愛着ができあがってイヤイヤ期を発動したのはいいけれど、母親がそれに対してうまく対応できないと、子どもはイヤイヤ言いながら見捨てられ不安も発動してしまうことがあります。愛着不全の人々です。

■イヤイヤ期の子どもへの対応

イヤイヤ期の長さについては、母親の精神的な安定が関与してきます。

・共感豊かな母親の場合、子のイヤイヤ期は短い

親は選べないが人生は選べる, p.51

安心感が大きい母親のしつけは厳しくないので、そのように育てられた子どもは安定します。安定していれば反抗することも少なくなり、イヤイヤ期も短めで終わります。

安心感が大きいとは親とは、子どもの気持ちに共感的に接することができる親です。

  • 安定した愛着スタイルの母親は、子どもをしつけるとき、まず共感的に受容します。「ダメだよ!」とは言いません。まず受容して、そのあとちゃんと説明してしつけます。

  • 不安型の愛着スタイルの母親は、共感せずに最初から子どもの要求を否定してしつけをします。

    母親のガマンが大きいと自分自身に対しても厳しくなり、子育ても厳しくなります。甘えてくる子どもを許せなくなるからです。その結果、できるだけ子どもと関わらないようにするか(ドライ)、あるいは全てに干渉する過干渉(ウェット)の状態になります。放置も過干渉も同じ、支配的な親イメージがあります。不安型の人の子育てのマイナス面が強調された育児になってしまいます。

しかし、安定型の人も不安型の人も共感する能力に差があるわけではありません。育ちの中でそういうやり方が身についてきてしまっただけです。

そんなときは子どもの気持ちに寄り添ってあげられる余裕ができるといいですね。どうやってそんな余裕を生み出せばいいのでしょうか。私からの愛着不全への重要なアプローチの1つをご紹介しましょう▼

・それは子どもが何かに熱中しているときの姿をよく見ていることです。
・そして、かつて私にもそんなときがあったなと思い返すことです。

それは何歳くらいでしょうか?ひょっとするとあなたのイヤイヤ期が始まる前くらいの、2歳にもなっていない頃のことかもしれませんよ。無邪気に遊ぶあなたのインナーチャイルドの時代です。

その自分からスタートすれば、子どもが熱中する姿をみてホッと安心できる自分を発見できるかもしれません。それがあなたの余裕につながるでしょう。

高間からの提案:愛着不全への重要なアプローチ

■虐待とイヤイヤ期

また虐待されている子(愛着障害の子)は、親へ反抗したらひどい目にあわされると分かっているので、イヤイヤという自己主張をしません。したとしてもすぐに引っ込めてしまいます。2歳にならないうちに、反抗してもムダだということが分かっているのです。

ですからイヤイヤ期の激しい子どもなら、その母子関係において愛着形成はできている、ということになります。不完全な、ジャンクフードのような愛着かもしれませんが、愛着はあることになります。これが愛着不全と愛着障害の違いです。

◇虐待されても愛着があるという例外

ただ、例外というものはあります。虐待されていてもイヤイヤ期があった人々はいます。愛着障害ではあるけれど、愛着形成が成されている人々はいます。これは愛着の専門家なら知っておくべきことですが、一般の人が例外まで知る必要はないので、今回の話だけで十分でしょう。精神科医や心理職でも愛着の専門ではない場合は、この例外について理解できていない人は少なくありません。

この例外については高橋先生の本にも書かれていません。かなり専門的な話になりますし、心理学の包括的な知識が必要になるので、例外についてお伝えすることは、かなり気をつけないといけません。なぜなら知識だけが独り歩きしないような微細な配慮が必要だからです。ですから一般心理研修でなく、愛着の専門家向けに開催される研修のみで話をすることが誠意のある臨床家といえるでしょう。

■他の助けを求めるのもいいでしょう

あなたが愛着の問題を抱えている場合は、自分の物語を十分に話せる臨床心理士などの専門家に相談するとよいでしょう。もし、いまのカウンセラーがいまいちと感じるのなら、別のカウンセラーを探しましょう。あなたにとって良いカウンセラーはあなたの一生の財産になります。あなたのカウンセリングがうまくいきますように。

■この記事に興味を持った方は、ソレア心理カウンセリングセンターをLINE登録ください。登録いただいて「プレゼント希望」とメッセージを送っていただけると、「歌と心理学」の小冊子をもれなく差し上げます。下のQRコード(を長押しして)から、あるいはソレアのトップページ(https://solea.me/)からご登録ください。▼

ソレア心理カウンセリングセンターをLINE登録する

■Twitter でも発信しています。【Twitter】→ https://twitter.com/soleapsy
■Stand.fmでも発信しています。【Stand.fm】→ https://stand.fm/channels/5f4cf4396a9e5b17f726d6f4

#催眠 #瞑想 #毒親 #HSP #愛着障害 #愛着不全 #発達障害 #カウンセリング #悩み #人間関係 #メンタル #アダルトチルドレン #自分らしく生きる #子育て #あたらしい自分へ #自分にとって大切なこと #人生 #育児 #いま私にできること #自分と向き合う #ラジオ #健康 #幸せ #家族 #心理学 #コーチング #生活 #メンヘラ #自己肯定感 #うつ病 #生きる #マインドフルネス



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?