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最近の記事

ニューロマンサーほとんど分からんかった

今は半ギレでこの文章を書いているところです。 そもそも、読んだ本に対する感想を脳内で言語化出来るようになったのでnoteへの投稿をしなくなっていたのですが、さすがに今回は意味が分からなかったので整理するために記事にします。雑記です。 世界観 「マトリックス」という電脳空間があり、そこへ意識を没入させる(今に置き換えると、マトリックスがインターネットで、没入がVRか) フィリップKディックに近い退廃的な雰囲気 地球外で生活する人もいる 人より優れた人工知能を作りたい

    • 「椿姫」読んだ

      嘘偽りない愛の話、ではないのは百も承知なのですが、どうしてもそう言いたいくらい美しい話でした。 いっそのこと頓知を利かせてみれば落ちがつきそうです。 そもそもこの小説はフィクションで一つの嘘、それを真実の物語であるとして二重の嘘をついているので、コインの裏表の原理を利用すれば、これが真実の話であると言い切れるのではないでしょうか。 ではなぜそこまでしてこの物語が現実であってほしいか、それはこの物語が現実以上に愛というものを捉えているからです。 愛というものは数ある感情の

      • 「アルジャーノンに花束を」読んだ

        この世の中にそう何冊もないような完璧な小説だったと思います。 知能の急激な上昇という題材を選んだ以上、避けては通れない問題がいくつも噴出しますが、それらを一つ一つ丁寧に摘み取っていくのは作者の作品への向き合いを感じられて良かったです。 特に面白いのがアルジャーノンという鼠を用意したことですね。 人の知能指数が急激に上昇する、というだけでもう随分面白そうに思えますが、そこに先行する鼠という存在を加えることで、主人公を一人ぼっちにしないという采配を下してます。 これが上手

        • マクベス読んだ

          シェイクスピアのマクベスを読んだので思うこと吐露します。 簡単に話をまとめると、まばゆい予言に唆された主人公のマクベスがあらゆる手を下し満身創痍になる話です。 ここで問題になるのは、予言を唆される前のマクベスはどんな男だったか、ということです。 支配者と化したマクベスのことを皆一様にボロクソにこきおろすのですが、しかしそれ以前の彼を形容する言葉は主に清廉潔白です。 つまり予言を授かる前のマクベスは真っ当な人間だったにも関わらず、目の前に差し出された輝かしい未来に魅せられ

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        • 24本

        記事

          麗しの4姉妹「細雪」

          ここ数日ずっとこの小説に付きっ切りでした。 今をときめく漫画原作とかに比べればなんてことない話であるはずなのに、そこに根付く文化や人の息を汲み取ってからはもうこの小説のことを考えずにはいられませんでした。 この人は本当に人間を生かすのが上手ですね。 概要第二次世界大戦が直前に迫る緊張下において、芦屋を舞台にしたお嬢様4姉妹の浮世離れした生活を綴った作品 長女:鶴子 既婚 次女:幸子 既婚 三女:雪子 未婚 四女:妙子 未婚 作品性この作品は名家に生まれた4姉妹の日常を綴

          麗しの4姉妹「細雪」

          ブレーメン良かった

          ヨルシカのブレーメンめっちゃ良かったですよね。 この曲は文学シリーズの4曲目にあたる曲で、「ブレーメンの音楽隊」をオマージュした楽曲観になります。 そもそも「ブレーメンの音楽隊」がどんな話かというと 行く宛のなくなった動物たちが仕事のため結託して音楽隊に入ろうとしていたら、道中で泥棒の棲家を発見する。そいつらを追い出して住み着いたところ家の住み心地が気に入ってしまい、その後は動物たちだけで仲良く暮らしました。 という話です。 なかなか無茶な話なのですが、個人的にはこれが

          ブレーメン良かった

          子供のメモリの遣い道「車輪の下で」

          読んだ最初の感想としては、出来れば10代のうちに読んでおきたかった本でした。 荒々しかったり、瑞々しかったり、こういう作者の怨念が文章に乗り移ったみたいな激情の書物には、同じく激情の時を生きている思春期真っ盛りの人間にしか感じ取れないものがあります。 それが本当に羨ましく感じるとともに、もし思春期の人がいれば騙されたと思ってでも読んでもらいたいです。 個人的には太宰治の「人間失格」と並んで10代の人に読んで欲しい本の筆頭格です。 あらすじ引用10代の人が読むべき理由先ほど僕

          子供のメモリの遣い道「車輪の下で」

          よそ者から見る美しさ「雪国」

          言葉と心と情景と、その全てがただ美しく表現されていました。ノーベル文学賞ここにありです。 本当に語彙のある人は余計な言葉を使わないんですよね。 簡単に使える言葉だからこそ、それを扱いこなすにはまた一つの難しさが乗っかります。 これを原文のままで読めるのは、日本語を介する我々だけの特権だと思っています。 冒頭あまりにも有名な一節から始まる本書ですが、個人的にはこれに続く言葉選びの方が鳥肌が立ちました。 雪が積もった夜の情景をここまで簡潔な言葉で表現できてしまうのがノーベル文

          よそ者から見る美しさ「雪国」

          戦争から愛がこぼれる「肉体の悪魔」

          フランス文学の真髄に触れました。 どうかしてるくらいの心理描写が、間違いなく登場人物たちに命を吹き込んでます。 読んだあとちょっとした物思いに耽るのもフランス文学の魅力の一つかもしれません。 概要第一次大戦下のフランスにおける15歳の「僕」と19歳人妻のマルトによる堕落物語 フランス文学らしさフランス文学は想像以上に人の内面を抉る傾向があります。 これはおそらくですが、フランス人の特徴として、陽気でありながら合理的、過激的でありながら保守的でもあるといったような二面性を

          戦争から愛がこぼれる「肉体の悪魔」

          美しき芸術生涯「ドリアン・グレイの肖像」

          若さは諸刃の剣であって、美しさには代償が伴う 特に意味はないですが、小説内の台詞回しがあまりにも素敵だったので、触発されてそれっぽい言葉にまとめてみました。 ただ明らかに及んでいないのを見る限り、オスカーワイルドの到達した境地が果てしなく遠くにあるのが分かります。 才能って素敵ですね。 概要「ドリアン・グレイの肖像」はオスカーワイルド唯一の長編小説。 美青年ドリアン、画家バジル、快楽主義者のヘンリー卿を交えた芸術的生涯が綴られる19世紀のイギリス文学。 作家としての顔を持

          美しき芸術生涯「ドリアン・グレイの肖像」

          SFとの向き合い「SFマンガ傑作選」

          最近SFがマイブームである。 元々読んでいたジャンルではあるのですが、SFに関しては掘っても掘っても新しい定義が見つかるのでもうキリがなくなりました。 そんな中で、どうせならSFに対する気持ちを整理して読む本を絞ろうとしていたところ、こんな本に出会いました。 手塚治虫、松本零士をはじめとするSF黄金期を彩った1970年代短編漫画の傑作選だそうです。 人によっては懐かしい名前かもしれませんが、20代前半の自分からすれば一周まわって目新しいものばかりでした。 アトムに至っては

          SFとの向き合い「SFマンガ傑作選」

          掛け値なしのフィクション「星を継ぐもの」

          この本を古いものとして扱うことはできないです。 1977年出版の本ですが、内容としてはその先の未来までを鮮明に描いているので、今の世界がその時代に至るまでは新しい本であり続けるものだと思います。 あらすじ数字との向き合いSFとの向き合いとして、避けては通れないのが数字です。 より明確に言えば年号です。 先の未来を描くにあたって、大雑把にこんな世界になってるかもね、と予想を立てることは簡単です。 ただ、それを具体的な年号で表すのはほぼ不可能なのです。 そんな無理難題に対して

          掛け値なしのフィクション「星を継ぐもの」

          時代が名もなき子供を変える「同志少女よ、敵を撃て」

          本屋大賞受賞作です。 毎度のことながら、この本に関しては書籍で読みました。 個人的には本屋大賞を信頼しているので、その裏側で悪い顔をしている大人が見えなくもないのですが、その結果が示すように毎年面白い本に出会うことが出来ています。 普段は新刊にはあまり手が伸びないのですが、この賞の存続に貢献すべく、新刊を書籍で買うという慣れない行いを今後も続けたいと思います。 買い煽りみたいになってしまいますが、この本は今読む価値があります。 出版されたのが去年の11月のことなのですが、幸

          時代が名もなき子供を変える「同志少女よ、敵を撃て」

          同世代サービスの聞いたことない台頭前夜「ネット興亡記」

          普段利用するあれやこれのネットサービスについて、よく考えたら気付けていた筈の新しい側面が浮き彫りになったので、備忘録くらいの文章でまとめようと思います。 それからこの本に触発されて思い浮かんだことを書き留めてみます。 あらすじ引用備忘録そもそも自分は「Z世代」にあたる年齢なので、これらIT企業の進退はちょうど自分の成長過程と重なります。 ホリエモンが収監されているのをテレビで見ていた小学生の自分は、モヒカン頭、柔らかい言葉使い、そしてヘラヘラした仲間を従えていたことから「

          同世代サービスの聞いたことない台頭前夜「ネット興亡記」

          人間SFのエコシステム「ドグラ・マグラ」

          まず初めに、これから自分はキチガイについて語ろうと思いますので、受け付けない方はご遠慮ください。 できれば自分も攻撃的な言葉は使いたくないのですが、この言葉を避けて語るのは少し無理があります。 この本はそういう話です。 一応無料で読める本ですが、おすすめはしないです。 「推理小説三大奇書」と言われる、アンチミステリで括ったうちの代表格でありながら、読んだら気が狂うという前評判通りの危なっかしい本でした。 この本は好きか嫌いかの二択で真っ二つに分かれる内容なので、好きな人だけ

          人間SFのエコシステム「ドグラ・マグラ」

          本屋大賞から未来予測をしてみる

          先日面白い記事を見つけました。 過去に本屋大賞を受賞した本から傾向を掴んでノミネート作を予想するという内容の記事です。 過去の傾向から結果を割り出しているあたり、多分この人は資格取得とか得意なんだろうな、と勝手に推測したりしました。 ただこれができるのであれば未来予測までできそうな気がしたので、引用して記事にしてみることにします。 結論から言えば、多様性が国を作るんじゃないかと思っています。 考察上記記事では、ここ最近の本屋大賞の傾向より「生きづらさ」とそれに対しての

          本屋大賞から未来予測をしてみる