宇佐美 智隆

ライター。宣伝会議 編集・ライター養成講座 46期卒業 。インタビュー・企画・ライティ…

宇佐美 智隆

ライター。宣伝会議 編集・ライター養成講座 46期卒業 。インタビュー・企画・ライティングのお仕事お受けできます。

マガジン

  • 46期マガジン

    • 85本

    宣伝会議 編集ライター養成講座46期の有志メンバーによるマガジンです。 【出題中のお題】 A. 自分だけかもしれないけど、どうしても気になること B. 人から聞いた、あの話 C.フリーテーマ 上記3つから1つ選んで投稿。

  • 37.4°-世界は物語で出来ている【since2024】

    • 19本

    プロアマライターたちの記事まとめ【Amazonベストセラー1位獲得作家監修】

記事一覧

黄色

声は黄色で形容される。なぜ声に色があるのか。 声色という言葉もある。意図的に声の調子やトーンを変えて、役柄に似せていくようなさまだ。 仏教では、人生のステージを…

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なぜ地方のインバウンド呼び込みはイマイチなのか -柳瀬博一さんのメディア講義から考える-

ある日の河口湖の風景 これまで何度も通ったことのある駅前を見て、あまりの人の多さに驚いた。歩道からあふれるほどの人がポーズをとったりスマホのカメラを構えたりして…

宇佐美 智隆
3週間前
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話すこと

大人になって少しはまともになったのは、人と話すことかもしれない。 学生時代までは、不特定多数の人と話すのが苦手だった。趣味や価値観が合う、ごく少数の人とだけいつ…

宇佐美 智隆
1か月前
7

新しいテクノロジーが変えるメディアのかたちと体験 -柳瀬博一さんの講義から-

「これからのメディアを考えるとき、私は紙の本が一番いいと考えています」 3月半ば、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院でメディア論の教授をする柳瀬博一さんが主催し…

宇佐美 智隆
1か月前
14

大人なりの夢

「大人なりの私の夢」というテーマで、夢について考えてみた。 子どものころは、はっきりとした夢があったような気がする。 消防士、警察官、〇〇レンジャー、などと言っ…

宇佐美 智隆
2か月前
9

私の執筆スタイル紹介

とにかく、書く。 自信をもってそう言えればいいのだが、ものごとはそう簡単ではない。 いや、書くには書くのだ。文字数だけでいえば、規定を下回ることはほぼない。 つ…

宇佐美 智隆
2か月前
8

「タイパ」の先

昨年からよく考えていることがある。 それは、効率と無駄についてだ。 タイムパフォーマンス=「タイパ」という言葉をよく聞くようになった。 かけた時間に対してどれだけ…

宇佐美 智隆
3か月前
11

来年は「静か」に

今年も残すところ1週間。 大掃除は終わらせた。あとやるべきは、今年の振り返りと来年のことだ。 ちょっと備忘録的に今年を振り返ってみることにした。 ・前半(1~7月) …

宇佐美 智隆
4か月前
11

ほうとう

先日、とあるツアーに参加して山梨県芦川(あしがわ)町を訪れた。 芦川町は富士五湖と甲府盆地の間の山あいにある人口300人ほどの小さな村だ。 村の中にある、ほうとうづ…

宇佐美 智隆
5か月前
8

最近のこと -山にこもる-

先月なかば、4日間にわたり山にこもった。 こもったと言ってもキャンプではなく、埼玉県の山中にあるコテージに滞在していた。 思えば今年は年始から走り続けていて、自分…

宇佐美 智隆
6か月前
5

RUSH

いま振り返れば、無茶なことをしたと思う。 大学2年生のとき、mixiで知り合った見ず知らずの大人たちと、RUSH(ラッシュ)のコンサートを観るためにアメリカへ行った。 RU…

宇佐美 智隆
7か月前
9

続けた先に、見えるもの -ブラシ一筋の職人が生み出した、新製品のアイデア-

ブラシ職人・中山正三さん 普段は着ないスーツに身を包み、カメラに向けて視線を送る。 「なにか、とんでもないことになっている」 東大阪市長から賞状と盾を受け取り、…

宇佐美 智隆
7か月前
5

「いまが一番幸せ」 -75歳の女性職人が40年間向き合ってきた仕事-

植毛職人・西本隆子さん 大阪府東大阪市に、自然素材だけで歯ブラシをつくる町工場がある。持ち手には家具をつくる際に出たブナの木の端材、ブラシには食用の馬と豚の毛を…

宇佐美 智隆
7か月前
6

ライター講座を終えて

今年1~7月の半年間、宣伝会議の編集・ライター養成講座に通った。 小さいころから、文章を書くのは嫌いではなかった。 小学生の作文は、どんなテーマでも書くのに困った…

宇佐美 智隆
7か月前
13

歯ブラシ一本、小さな一歩 -プラスチック工場の社長がつくるモノと価値-

「自然素材で歯ブラシをつくるなんて、どんなリスクがあるかしれたもんじゃない。そんなことしなくても、これまでどおりにプラスチックの仕事をしてればええんや」 同業者…

宇佐美 智隆
7か月前
19

夏の思い出

毎年お盆には、山梨にある祖父母の家に泊まりに行くのが我が家の習慣だった。 祖父母は桃農家をしていた。 夏場には朝暗いうちから畑に行き、暗くなってから帰ってくる。 …

宇佐美 智隆
7か月前
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黄色

黄色

声は黄色で形容される。なぜ声に色があるのか。
声色という言葉もある。意図的に声の調子やトーンを変えて、役柄に似せていくようなさまだ。

仏教では、人生のステージを色と季節を使って表す。
若く輝かしい青春。人間的成熟を迎える朱夏。悟りの境地に達していく白秋。終わりに近づいていく玄冬。そして最後は土に還り黄泉の国へ行く。
中国から仏教が伝来し、それを口伝する際には読経や雅楽が用いられた。琵琶法師が経典

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なぜ地方のインバウンド呼び込みはイマイチなのか -柳瀬博一さんのメディア講義から考える-

なぜ地方のインバウンド呼び込みはイマイチなのか -柳瀬博一さんのメディア講義から考える-

ある日の河口湖の風景

これまで何度も通ったことのある駅前を見て、あまりの人の多さに驚いた。歩道からあふれるほどの人がポーズをとったりスマホのカメラを構えたりしている。ここは河口湖駅。富士山に臨む河口湖まで徒歩15分ほどの小さな駅だ。
新宿駅と河口湖駅を行き来するには、電車と高速バスの2通りがある。富士急行線だと大月方面に向かう列車は平日で1時間に1~3本。土日でさえ最大4本しかない。高速バスの発

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話すこと

話すこと

大人になって少しはまともになったのは、人と話すことかもしれない。

学生時代までは、不特定多数の人と話すのが苦手だった。趣味や価値観が合う、ごく少数の人とだけいつも話していた。世間話ができず、自分の話したいことだけ話す陰キャムーブをかましていた。

それがなにを思ったのか、営業職になってしまった。
いま思えば、自分の苦手を克服したかったのかもしれない。
上司から「お前と話していても面白くねぇんだよ

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新しいテクノロジーが変えるメディアのかたちと体験 -柳瀬博一さんの講義から-

新しいテクノロジーが変えるメディアのかたちと体験 -柳瀬博一さんの講義から-

「これからのメディアを考えるとき、私は紙の本が一番いいと考えています」
3月半ば、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院でメディア論の教授をする柳瀬博一さんが主催したイベント「メディアの話をパワポも映像も使わずにやる夕べ」に参加した。
出版物の販売額は1996年あたりから減少を描き始め、2019年頃から電子出版のおかげでやや持ち直しているが、依然低水準にあることは変わりない。
しかし柳瀬さんは紙の本

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大人なりの夢

大人なりの夢

「大人なりの私の夢」というテーマで、夢について考えてみた。

子どものころは、はっきりとした夢があったような気がする。
消防士、警察官、〇〇レンジャー、などと言っていたのを覚えている。

しかし、割と早い段階から夢より、現実的にものごとを見ていたかもしれない。

中学時代にギターを始め、バンドを組んだが、プロになりたいとか音楽の道に進みたいと思ったことはまったくなかった。
身近なバンドマンの大人が

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私の執筆スタイル紹介

私の執筆スタイル紹介

とにかく、書く。

自信をもってそう言えればいいのだが、ものごとはそう簡単ではない。

いや、書くには書くのだ。文字数だけでいえば、規定を下回ることはほぼない。
つらつらと流れに沿って書いていく。

書きながら、「あ、これはあとで使えそうなフレーズや内容だな」と思ったら、段落を思いっきりあけて、下の方に書いておく。

文章の前後関係がおかしくても、とりあえず書く。誤字脱字はおろか、てにをは・修飾関

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「タイパ」の先

「タイパ」の先

昨年からよく考えていることがある。
それは、効率と無駄についてだ。

タイムパフォーマンス=「タイパ」という言葉をよく聞くようになった。
かけた時間に対してどれだけのリターンが得られるかという指標で、目的を達成するために時間短縮できればそれがいい、ということだ。
倍速で映画を視聴すれば、半分の時間で映画のストーリーを知ることができる。電子レンジを使って料理を時短するみたいに。
曲のギターソロを飛ば

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来年は「静か」に

来年は「静か」に

今年も残すところ1週間。
大掃除は終わらせた。あとやるべきは、今年の振り返りと来年のことだ。
ちょっと備忘録的に今年を振り返ってみることにした。

・前半(1~7月)

宣伝会議の編集者・ライター養成講座に通った。
ほぼ毎週土曜日。午後イチから夕方までの講座とアフターの飲み会まで含めると、土曜日が丸々つぶれる。
週6日仕事をしているような感覚だ。

それでも、不思議と大変だと感じることはなかった。

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ほうとう

ほうとう

先日、とあるツアーに参加して山梨県芦川(あしがわ)町を訪れた。
芦川町は富士五湖と甲府盆地の間の山あいにある人口300人ほどの小さな村だ。
村の中にある、ほうとうづくり体験の施設で、ほうとうを手打ちした。

ほうとうは山梨県の郷土料理だ。
小麦粉でできた麺をさまざまな野菜とともに煮込んでいただく。

作り方は、まず小麦粉に少しずつ水を加え、ひたすら練っていく。

粘り気が出て、小麦の玉がなくなるま

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最近のこと -山にこもる-

最近のこと -山にこもる-

先月なかば、4日間にわたり山にこもった。
こもったと言ってもキャンプではなく、埼玉県の山中にあるコテージに滞在していた。

思えば今年は年始から走り続けていて、自分の時間をとることもままならなかった。
なので、一人きりで自然の中に行き、オフラインの時間を楽しもうと思ったのだ。

コテージがある施設は、スマホの電波が入らない。
Wi-Fiは使えるが、せっかくなので4日間スマホを断つことにした。
スマ

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RUSH

RUSH

いま振り返れば、無茶なことをしたと思う。
大学2年生のとき、mixiで知り合った見ず知らずの大人たちと、RUSH(ラッシュ)のコンサートを観るためにアメリカへ行った。

RUSHはカナダの3人組ロックバンド。
初めて彼らを聴いたのは、高校1年生のときだった。

そもそも、私の音楽歴は周りの同級生とはちょっと違っていた。
小学生のとき、みんながモーニング娘。や嵐を聴いている中で、長渕剛や海援隊を好ん

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続けた先に、見えるもの -ブラシ一筋の職人が生み出した、新製品のアイデア-

続けた先に、見えるもの -ブラシ一筋の職人が生み出した、新製品のアイデア-

ブラシ職人・中山正三さん

普段は着ないスーツに身を包み、カメラに向けて視線を送る。

「なにか、とんでもないことになっている」

東大阪市長から賞状と盾を受け取り、記念撮影に応じる中山正三(なかやま・しょうぞう)さん(57)はそう感じていた。

東大阪の町工場でつくられる、100%自然素材の歯ブラシ「turalist(チュラリスト)」。家具製造の際に出る端材のブナの木と食肉用に育てられた豚と馬の

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「いまが一番幸せ」 -75歳の女性職人が40年間向き合ってきた仕事-

「いまが一番幸せ」 -75歳の女性職人が40年間向き合ってきた仕事-

植毛職人・西本隆子さん

大阪府東大阪市に、自然素材だけで歯ブラシをつくる町工場がある。持ち手には家具をつくる際に出たブナの木の端材、ブラシには食用の馬と豚の毛を再利用するアップサイクル製品だ。加工は職人が一本一本手作業で行うため、月に生産できるのは150本ほど。2021年に完成したこの歯ブラシ「turalist(チュラリスト)」はこれまでに1,800本以上を販売してきた。2023年には大阪府から

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ライター講座を終えて

ライター講座を終えて

今年1~7月の半年間、宣伝会議の編集・ライター養成講座に通った。

小さいころから、文章を書くのは嫌いではなかった。
小学生の作文は、どんなテーマでも書くのに困ったことはなかった。
中高6年間のうち3回、年一回あるクラス代表選出の弁論大会で演説した。
全校生徒1,200人を前にして話す内容は、自分で考える。弁論よりも原稿を考えている方が楽しかった。
大学の卒業論文は、4万字目安のところを7万字ほど

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歯ブラシ一本、小さな一歩 -プラスチック工場の社長がつくるモノと価値-

歯ブラシ一本、小さな一歩 -プラスチック工場の社長がつくるモノと価値-

「自然素材で歯ブラシをつくるなんて、どんなリスクがあるかしれたもんじゃない。そんなことしなくても、これまでどおりにプラスチックの仕事をしてればええんや」

同業者の否定的な声に、村中克(むらなか・かつ)さん(54)は奮起した。
大阪府東大阪市にあるプラスチック製品を製造する工場、新進化学。村中さんはこの工場の社長である。製造しているのは歯ブラシや櫛、ファンデーションケースなどのプラスチック製品だ。

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夏の思い出

夏の思い出

毎年お盆には、山梨にある祖父母の家に泊まりに行くのが我が家の習慣だった。
祖父母は桃農家をしていた。
夏場には朝暗いうちから畑に行き、暗くなってから帰ってくる。
「桃の季節は、戦争よ」
祖母はよくそう言っていた。
実際に戦地に赴いたことがある祖父は、その言葉をどう聞いていただろうか。
口下手で多くを語ることがなかった祖父だが、生きるか死ぬかの戦場と同じくらいの大変さを、農家として感じていたのかもし

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