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峠の中華(3)
※第一話 https://note.mu/tori7810/n/n6b1873657189 ※第二話 https://note.mu/tori7810/n/nc1ea7e23e01f デッキブラシでコンクリートのたたきを擦りながら、受話器…
峠の中華(2)
※第一話 https://note.mu/tori7810/n/n6b1873657189 五時半に合わせた目覚ましよりも早く目が覚めてしまい、高瀬は固い布団の上で長いため息を吐いた。 昨夜、半年…
峠の中華(3)
※第一話 https://note.mu/tori7810/n/n6b1873657189
※第二話 https://note.mu/tori7810/n/nc1ea7e23e01f
デッキブラシでコンクリートのたたきを擦りながら、受話器を片手にはしゃぐ原町の不愉快な声をやり過ごす。
いや、原町の声が不愉快なのではない。まだここを離れていない自分に腹が立っているのだ。どうして昨夜のうちに、こ
死ぬのを待ってる志木の家(第一回)
「もう、本っ当に、何もしたくない」
池袋北口の珈琲専門館・伯爵で水を飲みながら、鯵村マユミはその晩二十一回目の何もしたくない宣言を発した。向かいに座っているのはさっき近くのバーで初めて会った若い女だ。名前も素性もまだ知らない。
女は深夜二時だというのにドリアセットをもぐもぐ食べながら、鯵村の宣言におごそかに頷いた。これも二十一回目。
鯵村は今日付けで派遣の契約が継続されず無職になった。つい
峠の中華(2)
※第一話 https://note.mu/tori7810/n/n6b1873657189
五時半に合わせた目覚ましよりも早く目が覚めてしまい、高瀬は固い布団の上で長いため息を吐いた。
昨夜、半年以上ぶりに夢を見た。ひどい夢だった。淫夢というにはあまりに残虐な、後味の悪い嫌な夢だ。昨夜の男――コウを、手ひどく痛めつけながら犯していた。
あの男に関わってはいけないと、頭の中で警報が鳴る。あれ
動かじのメランコリア
「じゃまでしょう、俺」
それが佐伯の口癖だった。そして実際佐伯は邪魔だった。187センチ102キロの肉体は18平方メートルのアパートに置いておくにはでかすぎて、便所に入らない限り部屋のどこに居ても視界をジャックし続ける。
白いTシャツの背中にマンガみたいな筋肉を浮かび上がらせながら、佐伯は俺の部屋で岩のようにじっとしていた。いつまでいんだよ、とは俺は言わなかった。佐伯は邪魔だったけど、邪魔な
潮騒のドッペルゲンガー
自分と同じ顔をした人間を目撃すると、数日後に死んでしまうという伝説がある。子供の頃に何かで読んで、それからずっと覚えていた。
「びっくりしたわ、妹さん。遺影とそっくりなんだもん」
玄関で私の頭に塩を振りながら、母が言った。
「だね。驚いた」
「え、あんた今まで会ったことなかったの」
「学年違うし。ていうか矢崎さんともそんなに仲良くなかったし」
「そういうこと言うもんじゃないよ」
何がそうい
ただいま紹介にあずかりました自己です
自己紹介的なエントリがあったほうがいいかな? と思ったので書いてみます。
筆名、酉七八十(とりなはと)と申します。職業は文筆業です。商業ルートでは主に王谷晶(おうたにあきら)名義で活動しています。ゲームのシナリオやノベライズ、オリジナル・企画小説、紹介記事など、ジャンルもレイティングもNGなし、ギャラさえいただければ無記名変名別名仮名なんでもウェルカムで手広くやらせてもらっとります。
で、ここ
one(人、物、ひとつ、ひとつである、1)
僕にとって永山くんは憧れの人だった。
騒がしいこの男子校生活の中、同い年とは思えないくらい落ち着いていて、真面目だけどおっとりしている永山くんの存在は僕の「安らぎ」だった。
クラス、いや学年でも常にトップの成績を誇っていた彼。それを自慢したりはしなかったけれど、テストの順位が出る度にちょっとはにかんだように笑うその仕草は、どちらかというと体育会系なノリの学内ではけっこう浮いて見えた。そんな
とりあえずアカウントを取ってみたぞ。ボツ原稿とか短編小説とかの放流場所にしたいなあ。