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Amazon Kindleで電子書籍が発売されました!文学フリマで販売した、「半透明な世界の向こう側」です。どうぞよろしくお願いします!
https://www.amazon.co.jp/dp/B0CQLTC19T/ref=mp_s_a_1_1?crid=3GXYMCGOUFROP&keywords=%E8%BE%BB%E6%9D%91%E3%81%84%E3%81%A1&qid=1702983642&s=books&sprefix=%E8%BE%BB%E6%9D%91%E3%81%84%E3%81%A1%2Caps%2C210&sr=1-1
【ショートストーリー】さよならは自分から【1600字】
こつん、と信也の左肩に頭を寄せた。
何度も嗅いだ柔軟剤の匂い。見上げると、出会った時よりも緩やかになった頬のラインが目に入る。その柔らかな曲線を人差し指の腹でそっとなぞる。
「…何?」
怪訝そうな声が降ってきた。信也は自身の体型の変化を誰よりも気にしている。私は別にそれを指摘したかったわけじゃないけれど、彼はそう捉えたのかもしれない。
「別にぃ」
私の呑気な声に、何だよそれ、と呆れながら、
【小説】目に見える祝福
人の言葉が、物質となって見えるようになった。
そんなことを言うと、頭がおかしくなったと思われるに決まっている。だから絶対に私はそれを人に言うまいと決意を固めた。生まれてこの方、意志薄弱を絵に描いたような生き方をしてきた私でも、流石に最低限の思慮分別は身に着けている。恐らくは。
他人からどうやっても理解されそうにないが、それは同時に確かに事実なのだからしょうがない。
『人の言葉が物質となって見
Amazon Kindleで電子書籍を出版してみました【半透明な世界の向こう側】
Amazon Kindleで、電子書籍を出版しました。文学フリマ東京で出店したものと同作品です。価格も文学フリマと同じ200円。
ただし、もしKindle Unlimited(Amazonの電子書籍定額読み放題サービス)に加入している方は無料で読めちゃいます!
あらすじ引きこもり気味の女子高生 麻美は、とあるきっかけで、近所に住む小学生 萌と、中学生の頃担任だった高原と再会する。
高原は、受
Amazon Kindleで電子書籍が発売されました!文学フリマで販売した、「半透明な世界の向こう側」です。どうぞよろしくお願いします!
https://www.amazon.co.jp/dp/B0CQLTC19T/ref=mp_s_a_1_1?crid=3GXYMCGOUFROP&keywords=%E8%BE%BB%E6%9D%91%E3%81%84%E3%81%A1&qid=1702983642&s=books&sprefix=%E8%BE%BB%E6%9D%91%E3%81%84%E3%81%A1%2Caps%2C210&sr=1-1
10月の文学フリマ@福岡、11月の文学フリマ@東京に参加予定です。死ぬ気で書いています。来年の目標はホワイト進行です・・・!(まだ原稿が終わっていない)
【連続短編小説】男子高校生が女子中学生に激詰めされる話~120分の復讐⑥~【noteクリエイターフェス】
前回のお話はこちら
また、電車のドアが開く。さっきよりも乗客が増えた。空の色も明るくなっている。
花巻が自分のすぐ近くに中年男性が座ってきたせいか、さっきよりも拳一つ分、俺の方に距離を詰めた。制服の長袖を、人差し指と親指で丹念に引っ張っている。
「さっきの話だけどさ」
俺が切り出すと、花巻は少し緊張した面持ちで顔を俺の方に傾けた。白い頬のラインに沿って、花巻の髪がまた揺れる。
「いきなり
【連続短編小説】男子高校生が女子中学生に激詰めされる話~120分の復讐⑤~【noteクリエイターフェス】
前回のお話はこちら
有紗は昔から大人しい、というよりも存在を消すのが上手かった。
両親が大喧嘩を始めた時も、姉がヒステリーで泣き喚くときも、有紗はじっと耐えているように見えた。海の底を静かに泳ぐ魚みたいだ、と俺は我が妹のことながら、その動じない姿に感嘆したものだった。
いつのことだったか、母さんが父さんに皿を投げつけ、それに怒った父さんが椅子を投げ返したことがある。
今思えば、年端もいかな
【連続短編小説】男子高校生が女子中学生に激詰めされる話~120分の復讐④~【noteクリエイターフェス】
前回のお話はこちら
うちの家族は5人家族だ。父親、母親、8つ上の姉ちゃん、俺、妹の有紗。
家族構成こそありきたりだが、確かに花巻が言うとおり、「サイテー」な家族であることは否定できない。
「有紗ちゃん、前言ってた。お父さんは家族に興味がないし、お母さんはカレシのことしか考えてないし、お姉ちゃんは学歴コンプレックスこじらせた挙句に、自己中心的な主張ばっかりするから超うざいって」
「いじめられ
【連続短編小説】男子高校生が女子中学生に激詰めされる話~120分の復讐③~【noteクリエイターフェス】
前回のお話はこちら
「とりあえず、座ったら?」
俺が促すと、女子中学生は俯きながらもそれに従った。拳3つ分ぐらいの距離を取りながらも、俺の左横に腰掛ける。
目の前に立っていた人間がいなくなったことで、俺は窓の外の景色が少し変わっている様を見ることができた。
夜更け前の藍色が、鈍いグレーの色合いに変わっている。ここから陽が昇るまでがたまらなく好きだ。天気予報だと今日は快晴らしい。きっと最寄駅
【連続短編小説】男子高校生が女子中学生に激詰めされる話~120分の復讐②~【noteクリエイターフェス】
前回のお話はこちら
俺の妹にいじめられている。
目の前の女子中学生が放った言葉を反芻したが、しっくりこない。よりにもよって、『いじめられている』。
「えーっと……」
どう反応していいか分からず、視線が彷徨う。そうなると当然、女子中学生の背格好やら持ち物やらといった情報に興味がそそられる。
黒々とした髪に、意思の強そうな眉毛。自分で整えた経験がまだ無さそうな素朴な感じは、持っているバッグに
【連続短編小説】男子高校生が女子中学生に激詰めされる話~120分の復讐①~【noteクリエイターフェス】
毎朝2時間かけて通学している。
俺がそう言うと、皆「それは大変だ。もっと近い高校あっただろうに」だの、「一人暮らしは?寮は?」だの、皆決まった問いを投げかける。
もうすっかり慣れっこになってしまった俺の口はすらすらとそれらを綺麗に返してしまう。
「ずっと行きたかった高校なんで。全然嫌じゃないですね」
「家から通うの、そこまで苦痛じゃないし。まあ、だるいなーって思うけど。単語帳とか本とか読め
【3分エンタメ小説】おれが手に入れた自由【1000字】
背徳の時間は真夜中だけとは限らない。
狭いボロアパートの一角で、おれはケーキのフィルムもヨーグルトの蓋の裏側も丹念に舐める。どんなにどぎつい色をした駄菓子だって、貪るように食らう。
子どもの頃、同じことをしようものなら途端に罵声を浴びせられた。だが今は誰も俺を咎めるものはない。昔できなかったことを一つずつ叶えることができる喜びを常に噛み締める。
今住んでいるアパートも良い具合だ。実家の物置よ
同人誌も作ったことがない人間が文学フリマに初参加するまで②【当日覚えた感動、誰かに読んでもらえるということ】
前回の記事はこちらです
2023年5月21日(日)に行わる文学フリマに初参加しました。
初めて印刷所さんにお願いして本を作ったのですが、その出来映え…!!本好きな人は一回何でもいいから書いてみて、印刷所さんにお願いしてほしい。
『生きててよかった』とすらきっと思うはず。
そして、イベントに参加しないと味わえなかった感動が、終わってから2週間経ってもずっと私の中に響き続けています。
『これ