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“わたし”が紡ぐ虚の物語

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わたしという存在の片鱗。 ちょっとした余白にメモする感覚で書いています。 【タイトル変更履歴】 『嘘つきは作家のはじまり』⇒『わたし世界』⇒今
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#日記

今。

今。

◆好みの変化 たぶん、五月くらいから。文体とか表現の仕方とか、いろいろとしっくり来なくなってきてた。その状態で闇雲に書き続けるのが嫌で、しばらく表現することをお休みしてた。特に、日常的な発信を。
 人生に大きく影響を及ぼすような体験からささやかな日常まで、記録しておきたいことは溜まっていくけど、いざ表現しようとしたら、一から百まで説明するような形になってしまって辟易した。
 味覚が変わって、くどい

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表から見たら白、裏から見たら黒

表から見たら白、裏から見たら黒

 調子がいい時の母は、私のことを自慢の娘だと言う。
 心のバランスを崩している時の母は、私の些細な言動に反応して「あなたは人でなし」「最低だ」と言う。

 どちらも同じ私で、やっていることや感じていることは何も変わらないのに、母にとっては最高の娘になったり最低の娘になったりする。

 そのことに気づいたら、以前よりも動揺しにくくなった。

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我が家に糀ちゃんがやってきた

我が家に糀ちゃんがやってきた

 年明け早々、知人から借り受ける古民家の下見に行くという北くんに同行させてもらって、奈良県・山添村を訪ねたてきた。
 そこで二泊ほどさせてもらったのだが、途中、伊賀上野のあたりを散策した時に立ち寄った『中村糀店(ナカムラコウジテン)』で、はじめて生の米糀を見た。

 差し出された木箱の中には真っ白な綿の花。儚げで、華憐で、顔を近づけることすら躊躇ってしまう。

 米に花で「糀」と書く意味を知った。

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「神社」を発信ツールに!そして、評価と関わりのない世界へ

「神社」を発信ツールに!そして、評価と関わりのない世界へ

2018年をふり返って 2018年は私にとって大変動期で、毎月のように自分を更新し続けていた気がする。新しい人や土地との出会いも多く、生きているという実感が強く持てた年だった。

 その一方で、勇気を必要とされる場面や、心を揺さぶられる場面も多く経験したように思う。『快適な環境を確保するために思っていることを口に出す』とか、『直接の繋がりがない人の家に泊めてもらう』とか、きっと他人から見れば些細な

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またひとつ、大きなものを手放して。

またひとつ、大きなものを手放して。

「何をしている人ですか」と聞かれたら、作家だと名乗ることにしている。日に日に作家という言葉が肌に馴染まなくなってきているのだけれど、今の自分を正確に伝える表現が思いつかないので、惰性でそう名乗り続けている。

 作家と言っても出版社を通して本を出しているわけではないし、ネット界の売れっ子作家というわけでもないので、よく人から「どうやって生活しているの?」と訊ねられる。
 いつもその時の気分で適当に

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その時、世界は一瞬にして灰色に変わった

その時、世界は一瞬にして灰色に変わった

 先月から、友だちと一緒にオンラインコミュニティを作って遊んでいる。私は運営部の一員として、参加したい時にだけ会議に参加して、好き勝手にアイディアを出したり、告知文を書いたりしていた。
 コミュニティを本格始動させる直前、作戦本部である友人宅に泊まり込んで、「何だか仕事っぽいことをしているぞ!」と謎の興奮に震えてみたりもして。

 ところが、コミュニティがスタートして、いよいよこれからというタイミ

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心なんて本来、自然と整っていくものなんじゃないかと思う

心なんて本来、自然と整っていくものなんじゃないかと思う

 最近、高校時代の同級生がやっている整体院に通い始めた。気功やエネルギーワークのようなものを使った特殊な施術に興味を持ったのもあるけど、一番は、子ども時代から続いている身体の違和感を解消したいという思いからだった。

 通院ペースは週に一回、今で二回通ったところなのだけど、施術してもらう度に思うのは、「人の想いや感情って、本当にただ受け止めるだけでいいのだな」ということ。

 その整体院では、毎回

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ささやかな吐露

ささやかな吐露

 とても静か。
 何もしなくていい、という心地よい放棄。
 ここ最近わたしのことを突き動かしていた衝動もなりをひそめて。

 誰かの声が聴きたくて、だけど、具体的に誰の声を求めているのかはよくわからなくて、代わりに音楽なんぞ聴いている。

 誰かの声が聴きたいと言っておきながら人との会話は飽和気味。
 考えることにも少し疲れた。
 たぶん、睡眠リズムが狂っているせい。
 今夜は早めに眠って、明日か

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氷を抜けない理由

氷を抜けない理由

 喫茶店に入ってマスカットジャスミンティーを頼む。
「ホットとアイスどちらにされますか」と訊ねられる。
 アイスで、と答えたあとに、少し迷って「氷を抜いてもらってもいいですか」とお願いした。
「氷を、ですか」
 白いフリルブラウスと黒のスカートに身を包んだ店員が、目を丸くして戸惑った表情を見せた。
「あ、無理なら大丈夫です」
 喫茶店の飲み物は氷でかさ増ししている、という裏話を思い出して申し訳なく

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正しさという名の悪夢から目覚めて

「あ、いま正しいことを書こうとしてるけど、別に正しいことなんて書かなくていいんだった。書きたいことを書きたように書いたら、それが自分にとっての正解なんだ」

 さっきそうやって意識が切り替わる瞬間を感じた。頭の中には、なぜか漫画家の蛭子能収さんと大暴走ガール(って、勝手に思ってる)おすず(宮崎鈴子)ちゃんの顔が浮かんでいた。

 何らかの衝撃(多くの場合それは、自由に生きている人たちの言葉に触れる

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夜の特急列車でふたり遭難

 夜の松山空港で、わたしは彼氏とタクシー乗り場を探していた。時刻は八時を少し回ったところ。このまま四十二分発の特急列車に乗って、宇和島まで移動する予定だった。

 せっかちなわたしは一人で走ってタクシーに乗り込み、気のよさそうなおじいちゃん運転手さんに向かって勢いよく「JRの松山駅をお願いします」と伝えた。が、急に不安になって、「あの、JRの特急が出るのってJRの駅ですよね? 合ってますよね?」と

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言葉に対する無責任のすすめ

 ここ数日でわかってきたことがある。それは、人から誤解されることを怖れていては、何も話せないし何も書けないということ。

 わたしが無口になるとき、あるいは気軽に文を書けなくなるときは、「誤解されたらどうしよう」「こんな人間だと思われたらどうしよう」という恐怖が根底にある。

 動画配信(書くエネルギーを確保するために停止しています)を始める前に悩んだ理由もここだった。

 自分のことを誤解される

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無鉄砲サプリ

 あそこへ行きたい、と思い立った瞬間に、家を飛び出せるフットワークがほしい。切実に。
 瞬時はさすがに無理でも、三十分後、いや、せめて一時間後にはさくっと出かけたいのだ。

 けれど実際の私は出不精もいいところで、家を出ないための言い訳は尽きない。

「今日は雨が降りそうだから」
「今週は暑すぎるから」
「今月は予定が入りすぎだから」
「夏は紫外線が怖いから」
「ここは駅まで遠すぎるから」
「今か

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午前五時半の住人

午前五時半の住人

 久しぶりの早起きに成功した、午前五時半。
 ここ一週間は、登校する子どもたちの声が聞こえてくる時間帯に起きていたから、窓の外でまだ朝が息をひそめている感じが懐かしかった。
 まるで、その時間帯にはその時間帯の住人が存在するみたい。
「ただいま、戻ってきたよ」という気分で、再び夢の中に落ちた私は、結局、九時前に目を覚ましたのでした。

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