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イスラム国家バングラディシュでホームステイしてみた⑤後編

バングラディシュの地方都市の家に住む無職。

前編はこちら。

人口40万人程の地方都市クミッラ。
2023年夏。
ABBは日本の仙台市でバングラデシュカレー屋「HALAL HUB」のオーナーのマムンさんの実家に居候している。
この国でガイドを務めているのはその弟のイクラムだ。

ABB(写真中央部)は過酷なアジア旅で日焼けしすぎてバングラデシュ人並みに黒い。
女性は家の中ではヒジャブ(髪を隠すスカーフ)はしないんだけど
男であるABBが家にいるから着用しているとのこと。
なんかすまん。

イクラム「おーいABB。おはよう。お昼にチキンのカレー食べる?」
ABB「おお。ええやん。おねがい!」
イクラム「おけー。」

???「キェーっ!ギャス!くわぁくわあ!!!」※断末魔


美味しくいただきました。



午後はイクラムとクミッラを観光しつつバングラディシュの若者の行動様式について根掘り葉掘り聞いてみたのでその様子をお届けする。

クミッラの観光の目玉「モエナモティ遺跡」
目玉というか観光地は多分ここ位しか無い。
そして何一つとして映えない。

バングラディシュの若者の恋愛観。

この遺跡では数組の若いカップルがデートをしていた。
気温は多分35度位あるのに。

ABB「そういえばさー。イスラム教の人って婚前交渉しないって言うやん。この国でデートしてるカップルっぽい人達初めて見たんやけど。」

イクラム「この遺跡は死角が多いから良いんだよね。」

ABB「!」

イクラム「変な意味じゃないよ笑。街中をおおっぴらにカップルで歩くと良く思われないことがあるから。」

ABB「なるほど。じゃあさー。この国のナウなヤング達はどうやってボーイミーツガールするの。お見合い?」

イクラム「Facebookだね」

ABB「!!」

イクラム「一昔前は結婚相手は親が決めることが多かったよ。でも最近は色々と自由になってきているかな。少しづつだけどね。」

ここはバングラディシュの地方都市。
ロサンゼルスや東京、ロンドン、パリではない。
宗教や道徳・文化すらも超越し変革するGAFA恐るべしである。

ABB「お見合いは昔は日本でもあったよ。最近はほとんど無いと思うけど。
バングラデシュにはカースト制度はあるの?ここから車で1時間位でインドとの国境だよね?それで結婚相手が決まったりする?」

イクラム「俺たちはムスリムだからカースト制度は否定しているよ。イスラム教の教えに反するからね。良くない制度だと思う。」

ABB「なるほど。本当にインドとは全然違うんだね。」

イクラム「ところでさ、俺の奥さんとおじさんに会ってみない?去年生まれた息子と彼女の実家にいるんだけどさ。ここからバイクで30分位。」

ABB「おけー。ほないこか。」

バイクを2ケツして奥さんの実家に向かう一行。

ABB「バングラデシュの男は浮気したりするの?」

イクラム「俺はしないよ。」

ABB「昨日君の男友達が君のことをめっちゃモテる男だって言ってたよね」

イクラム「くぁwせdrftgyふじこlp」

道中。この国でユッケ食べたら即死。


そんなこんなで着きました。
イクラムの奥さん※以下Nahida「はじめまして!はじめて日本の人と話せてうれしい!ようこそバングラデシュへ!」

ABB「こちらこそ!おじさんもはじめまして!」

イクラムの妻Nahidaはとても綺麗な英語を話す。
愛嬌があり、とても可愛らしい素敵な女性だ。

歓迎を受けるABB
頭がでかくてイスラムの帽子みたいなやつが入ってない。
左(イクラム)上(Nahida) 右(おじさん)
頭がでかくてイスラムの帽子みたいなやつがh(略

おじさん「本当に良く来てくれました。私達バングラディシュ国民は日本の方々を心から尊敬しています。ようこそクミッラへ。」

バングラディシュは親日国を通り越して「敬日国」って言われているらしいけど、どうやら本当のことらしい。
日本と国旗も似てるよね。

※このおじさん本当にきさくで良い方で帰国後もたまにビデオ通話してます。

ABB「ありがとうございます!私もこの国に来て皆さんのことが大好きになりました。」

おじさん「ABBさんは日本では何の仕事を?」

ABB「無職です!」

一同「……。」

ABB「冗談です笑。いや冗談では無くて本当なんですけど、これまでハンデのある人達を支援する仕事をしていて、これから自分で事業をしようと思っています。10年以上務めた会社を辞めて、時間ができたので旅をしています。」

おじさん「それは素晴らしいことです。イスラム教には旅人を歓迎しなさい。と言う教えがあります。ゆっくりしていって下さい。」

ABB「ありがとうございます。自分の住んでいる所は東京ではなくて、クミッラみたいな地方の街なんですけど、そこに住む子供達や若者達に世界って楽しいんだよ。バングラデシュてすごく良い所なんだよってことをこれから伝えて行きたいなと思っています。そのために旅をしています。」

彼らはいつ何時も激甘スイーツを繰り出してくる。

Nahida「ABBは旅人なんだね。韓国に行ったことある?」

ABB「あるよー。ソウルと釜山に行ったよ。」

Nahida「すごい!私の姉がダッカでITエンジニアをしているんだけどBTSが大好きなの笑」

GAFAに引き続き恐るべし韓国コンテンツである。

ABB「あなたのお姉さんはARMYなんだね笑」

Nahida「そうARMY笑。日本と韓国は近い?」
※ARMYはBTSのファンの呼称。

ABB「飛行機で2時間位かなー。」

Nahida「日本と韓国は違う?」

ABB「うん違う国だよ。言葉も違うから英語を使わないと会話ができないよ。似ている所もたくさんあるけどね。」

Nahida「そうなんだ!私も来年息子を連れて日本に引っ越すからいつか姉と韓国にも行ってみたいと思ってるの。日本語は難しい?」

ABB「うん。ベンガル語とは何も似てないから難しいと思う。でも君は英語をとても上手に話せるし、まだ若いから大丈夫だよ。」

Nahida「ありがとう。」

後日彼女から日本語に対する苦情が入ったことは言うまでも無い。
technicで何とかなる問題では無いのだ。

ABB「あなたのお姉さんはITの仕事をしていると言っていたけど街中で働いている女性をあまり見ないんだよね。」

Nahida「ここ10年で女性も外で働くようになったのよ。特にITの仕事は昔の古い考えの人が少ないから女性も多くいるよ。」

ABB「なるほどな~。そういえば髪の毛茶髪だけど染めてるの?元は黒髪だよね?」

Nahida「染めてるよ!最近は染めてる人も多いよ。外だと皆隠してるからわからないもんね笑」

ABB「若い人はできる範囲でおしゃれを楽しんでるんだね。」

Nahida「ところであなたは結婚しているの?子供は?」

ABB「してないよ。(したことはあるけど)子供もいないよ。」

Nahida「Why?」(※冗談ぽくじゃなくて、え、マジで?的な風)

日本で初対面の人に真剣になぜ未婚なのか問われることは無いと思う。
これだから旅は面白い。

ABB「日本では一生一度も結婚しない人が30%いるよ。日本では結婚しない(できない)人がすごく増えてる。バングラデシュは若い時に結婚するのが普通?」

Nahida「私は今25歳だけど友達も皆結婚して子供がいるよ。」

ABB「そうなんだ。でもこれからチャレンジ(起業)をするからしばらくは無理だな~」

Nahida「そんな時こそ女性の支えが必要じゃない?」

ABB「!!!」

なるほど。
その発想は無かった。
日本でなぜ経済的な理由で結婚しない人が増えているのか説明しても腑に落ちていないご様子。

イクラムのせがれ
多分仙台の小学校に入るから10年後は日本語ペラペラ。

Nahida「この国は貧しいし、この家はいつも停電するよ。でも子供はすくすく育つし幸せだよ。」

イクラム「お金も仕事もこの国では期待できないけど、妻と子供がいる。いつも仲間とバイクを乗り回して遊んで俺も幸せだな。」

異国を旅していると本当に気づかされることがたくさんある。

今がとても幸せと自信をもって言える日本人はどれだけいるのだろうか。
仕事、役職、学歴、収入、容姿、年齢。
不平、不満、愚痴。
人と比べてばっかりな気がする。
俺も含めて日本人は。
本当に大事な物は既にあるのに。

皆で近くの湖で船に乗った。
バングラデシュは何にも無いけど全てがある。
船から望む夕日。今日はエモい日だった。

おじさん「私は君のことを息子のように思っている。ビジネスを成功させてまたいつか遊びに来なさい。」

ABB「おじさんありがとう。必ず来ます。」

バングラディシュの父。

ちなみにABBは一銭たりともお金は払っていない。

病は気からとは良く言うけれども、人生もマインド一つできっと好転する。
人に親切に。
家族や友達を大切に。
これだから旅は辞められないんだ。


最後までお読みいだたきありがとうございました。
次回はバングラディシュのビジネス、産業、雇用などについて迫りたいと思います。
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今後ともどうぞ宜しくお願いします。

ABB











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