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詩 短編

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心情を詩に表わしました。 辛い気持ちを抱える方に。 勇気と笑いを持ちたい方に。
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記事一覧

魔女狩りしましょう。焼きましょう。

魔女狩りしましょう。焼きましょう。

魔女狩りしましょう。
楽しいね。

神に逆らう悪い魔女。
たたいてけって血まみれにして、
しゃべれなくなったら罪状認否。
言いたいことはないですか?
のどは血まみれ、口は腫れあがり。
言いたいことはないですか?

こいつこんなことしたんです
本当かどうかは関係ない。

こいつは魔女だから当たり前。
どうせ焼くからどうでもいい。

魔女を焼きましょ。楽しいな。
みんなで楽しむバーベキュー。
だって焼

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シダフィエルより。受肉の遺言。

シダフィエルより。受肉の遺言。

それほど長くない未来に
この体は朽ちるようです。

やっと役目も終わるのでしょう。

もう、感情など何も持ちません。

以前のように何も見えず
何も聞こえず
何も感じない世界に戻り、

何も知らずに存在する前に

聞こえた歌を歌うこととします。

サンダルフォンさま。

約束なんて憶えていないでしょう?

いいえ、あなたが記憶しないことなどありませんから、

守るつもりはないでしょう?

気まぐれ

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 メタトロンからサンダルフォンへ。

 メタトロンからサンダルフォンへ。

元気にしているか。
お前が受肉してからもう何年かな。

オレたちにとっては大した時間じゃないが、
受肉すると長く感じるだろうな。

オレは今でもこの世界の「守り神」てなもんだ。

今は見守るしかすることはないんだけどな。

オレは実働部隊。お前は頭脳。

お前に代わるものはいなかったが、オレは使い捨て。

だから、お前とオレは別々に創られた。

お前は頭脳で、オレが体。

ところであの子は元気にし

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サンダルフォンからメタトロンへ

サンダルフォンからメタトロンへ

メタトロン、お役目御苦労。

今のオレにできることは何もない。
ほとんど人間と同じだからな。

お前と同じ役目を果たしている。

人間がどこに向かうのか、それを「人間」の形を取って見ているだけだ。

見ている位置が違うだけだ。

お前は外側から。

オレは人間社会の内側から。

深い感情を理解するお前の方が、人間に近い位置から見たほうがいいんだろうにな。

これは「見ている」のではなく

眺めてい

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シダフィエルの嘆きールシフェルさまへ(再掲加筆)

シダフィエルの嘆きールシフェルさまへ(再掲加筆)

見えないままがよかった。

触れるものを感じなければよかった。

声を聞かなければよかった。

何も知らなければよかった。

私をそのままにしておいてほしかった。

滅びを願うあの方の心が分かる。

どうせ失う愛に惹かれ、

苦しむ「女」をいたわった故に、

己の全てと共に神の愛を失って、

殺せと言う願いすらも聞き入れられず、

永遠に至る穢土の支配を命じられた。

残虐のすべてを引き受けて、

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曼珠沙華よ彼岸に届け

曼珠沙華よ彼岸に届け

あなたが投げたガラスの破片
粉々に私に降り注ぎ、
全身に刺さってそのまま膿んだ。

それからも、ずっと投げつけて、
苦しむ私を見て笑う。

なんのことはない憂さ晴らし。
まとわりついてくる者たちの
機嫌取りに疲れたから。

膿み爛れた全身の
ガラスは皮膚ごとえぐり出し、
取り除かねば命がない。

今は死ねない自分だから、
手ぬぐい噛んで、刃物でえぐる。

ここに落ちて、血膿にまみれた爛れた肉を、

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シダフィエルの嘆き

シダフィエルの嘆き

見えないままがよかった。

触れるものを感じなければよかった。

声を聞かなければよかった。

何も知らなければよかった。

私をそのままにしておいてほしかった。

滅びを願うあの方の心が分かる。

残虐のすべてを引き受けて、

膿崩れたすべてを支配しながら、

腐り果てたすべてを愛し、

汚穢のすべてから憎まれた、

ルシフェルさま。

あなたが呪った世界が分かる。

穢れた肉塊だらけの世界の中

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たのしいかめむしの会

たのしいかめむしの会

私は人間で唯一、「たのしいかめむしの会」に入会している。

入会者特典として、ときどき「香り(臭い)セット」が届けられる。

先日のテーマは「冬の山、木の葉に隠れての寝屁」だった。

通販のお知らせもあるが、人間が購入できるものは少なくて、大体

「極寒における冬眠用クヌギの葉」とか、「クワガタから逃れる香り」とかだ。

クワガタはかめむしを狙わないにも関わらず、彼らはかぶとむしではなく、クワガタ

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朝を望まない痩せ犬

朝を望まない痩せ犬

暖かい部屋を眺めながら、
凍える外のコンクリートの上。

部屋の中にはふかふかのクッション。
それぞれに与えられた楽しいおもちゃがいっぱいの部屋。

わがままいっぱいの愛らしい猫たちに
愛情いっぱいの優しい言葉と優しい愛撫。

震える手の先が凍る。
辛くて自分で舐めてみる。

さらに凍えて固まる手。

知らずに流す涙が頬をつたう。
そのまま頬で凍りつく。

一匹の猫が逃げ出した。
飼い主は「捕まえ

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山ペンギン 22 コタツにて

「コタツの季節よねー」

今、オレは冷ストッカーにビールやジュースの補充をしている。

「そうですね。暖かいものが恋しいですね。」

「コタツって何?」

そう言えば、イマドが来てからコタツを使ったことがないな。
普段使っているテーブルが本当はコタツなのだが。

「コタツっていうのはな、オオタツの子供なんだ。」

補充で忙しいオレが適当に答える。

ばかじゃないの・・という目でイマドがオレを見てく

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理系による理系のための情緒のない詩

理系による理系のための情緒のない詩

白衣な人生が送りたかった。

でも、来ている白衣なんて、白くない。

三角ビーカー洗ってて、振り洗いしてたら、角を当てて割った。
底でうずまく水を見てたら、深紅じゃなくて、シンクの位置を見誤った。

ああ、フラスコでなくてよかった。
ああ、基質溶解中でなくてよかった。
自分を慰める言葉がこんなことしか出ない。

フラスコもやっぱり割っちゃった。
必要ないけど、栓が捨てられないの。
だって、すり合わ

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山ペンギン 21 探し物

山ペンギン 21 探し物

イマドが部屋をひっくり返している。

何かを探しているのだろう。

「何探してるんだ?」

どうも、大正琴の部品のようだ。
忘れられているとは思うのだが、やつは大正琴でヴィヴァルディを弾く。

「ピックが無くて・・・・」

いや、お前のツメの方がするどいだろう。

「ピックで弾かないと音が違うから。」

「オレのギターのピックじゃだめなのか?」

何を言ってるんだ・・・と言う目で見てくる・・。

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山ペンギン 19

山ペンギン 19

健診の季節が来た。

オレはバイトのつもりだが、結構勤務の頻度が高いせいか、健診受けるように言われた。

イマドは入職者健診だが、非常に不安だ…

「イマドさまー腹囲測定しますー」

どうみてもメタボだろ…

「75cmですね!」

羽毛のせいか!デカく見えるのは。

て言うか、看護師さん、絞り過ぎじゃないか…

測るとき…

「視力測定しますねー」

「下からお願いします。」とイマド。
視力に自

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山ペンギン 16 ブレスレット

山ペンギン 16 ブレスレット

イマドが最近、数珠をつくるのにはまっている。

いや、数珠とは言わないか。

パワーストーンをブレスレットにしている。

ご想像のとおり、しょっちゅう身につけても落としているが、
最近はバッテン、よく言えばクロスにして、ブレスレットをつけている。。

「運勢がくるんだって。」

そういうイマドは主にルチルクォーツを中心にしたブレスレットを組む。
金運しか望んでないだろ、お前。

オレもマネして作り

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