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春になったら、会いに行くよ
ようやくあの子の家に電話した。
十年以上会っていないのに、名前を言ったら覚えてくれた。
「昨日ちょうどナツお姉ちゃんと一緒に写った写真を飾ったところなの」
ああ、そっか。
教えてくれたのかもしれないね。
踏ん切りつかない私がいるってことに。
聞けば、癌になってあっという間に亡くなったらしい。
亡くなって半年。
遺骨は、まだ手元にあるとか。
「まあ、母も納骨したの十年以上経ってから
令和2年に、彼らを置いていく
電波があって、
光があって、
どこでも繋がれると思っていた。
でも、世界は広くて、どこでも命がこぼれ落ちていて。
そのこぼれた命の中に自分の知る人がいたなんて、知るのはずっと後。
家族電話をしたら、父から小学校の時の恩師と年下の幼馴染みの訃報を知った。
恩師はまだ50代半ばで、幼馴染みに至ってはまだ24だった。
思い出が駆け巡る。
遠い昔の、優しい記憶。
ああ、こんな年の瀬に聞い