11代目伝蔵

11代目です。書評家になりたい

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最近の記事

【書評】教えて!タリバンのこと 世界の見かたが変わる緊急講座 (内藤正典 著 ミシマ社)\

11代目伝蔵 書評100本勝負 50本目  昨年からパレスチナガザ地区を巡って戦闘が続いている。ガザ地区を支配している?過激派組織ハスマー(ハスマ)のロケットミサイル攻撃にイスラエルが反撃を加えているというのが僕の理解だが、歴史的経緯もあってそれほど単純な問題ではないようだ。中東の紛争は複雑怪奇でよくわからんというのが僕の本音でもある。  いつものように?京都駅に降り立ったら烏丸中央改札を通って駅ビル地下にある大垣書店のミシマ社のコーナに向かう。そして最初に目に飛び込んでき

    • 【書評】世界史と地理は同時に学べ(山崎圭一 著SBクリエティブ株式会社)

      11代目伝蔵書評100本勝負49本目  本を読む方だとは思う。しかしながら、読むスピードは決して速くはない。そして買うことの方が得意だから書棚には未読の本が並んでいる。、というより散乱している。今年の4月還暦を迎えるから残りの人生を考えるとそれらを全て読み終えることはないだろう。だからという訳でもないが、書斎を整理するのは半分諦めている。大き聞こえでは言えないが、もう1冊も本を買う必要はないのだ。でもそうは問屋が卸さないのが人生だ、多分。  著者は公立高校(福岡県)の社会科

      • 【書評】女二人のニューギニア(有吉佐和子 著 河出文庫)

         11代目伝蔵 書評100本勝負 48本目 書店で本書が目に飛び込んできた時、手を伸ばしのたは特別理由があったわけではありません。そもそも有吉佐和子の小説を一冊も読んだことがなかったんですから。ただ随分前に急逝して忘れられた作家(少なくとも僕にとっては)であるのに再び再文庫化していることに興味をもったからです。  彼女の小説を一冊も読んだことがないのに強い印象を持っているのは出演したテレビ番組の影響です。ご存知の方も少なくないと思いますが平日昼間に放送されていた番組ワンコーナ

        • 【書評】アクロイドを殺したのはだれか(ピエール・バイヤール著 大浦康介訳 筑摩書房)

          11代目伝蔵 書評100本勝負47本目  以前書評に取り上げた「読んでない本について堂々と語る方法」を読み終え、訳者のあとがきをパラパラめくっていたら、随分前に読んだ「アクロイドを殺したのはだれか」の著者もまたピエール・バイヤールであることを知り、俄然興味が湧きました。「面白かった」という記憶はあるものの、その内容については一ミリも思い出すことができず忘却の彼方にあったこともかえって再読意欲を刺激しました。問題は僕の書斎にぎっしりと本が詰め込んでいる書棚から件の本を探し出すこ

        【書評】教えて!タリバンのこと 世界の見かたが変わる緊急講座 (内藤正典 著 ミシマ社)\

          検証ナチスは「良いこと」もしたのか(小野寺拓也、田野大輔 著 岩波ブックレット)

          11代目伝蔵 書評100本勝負 46本目  念願?であった京都の誠光社へ行ってきました。予想通り素敵な本屋でした。品揃いは独立系の書店の中でも多いとはいえません。しかしながら限られたスペースの中で書棚は個性的で本好きの心をくすぐります。隣のカフェ、アイタルカボンも素晴らしい。買った本を豊富な種類のエスプレッソ共に。至福の時間となることでしょう。  岩波ブクレットを揃える書店は少なくないと思いますが、限られたスペースだからこそ目立ち手を伸ばしました。表紙が見えるように配置され

          検証ナチスは「良いこと」もしたのか(小野寺拓也、田野大輔 著 岩波ブックレット)

          読んでいない本について堂々と語る方法(ピエール・バイヤール ちくま学芸文庫

          11代目伝蔵 書評100本勝負 45本目  唐突ですが、僕は元来夢想家です。だから何か次のような夢想を半分本気で夢見たりします。それはどこか名の知らぬ無人島に1ヶ月ほど逃避してしかもその島はなぜか電気はもちろん下水道が完備されていて食材その他も完璧なので、毎日料理を作りながら、昼間から(或いは朝から)ビールを飲にながら本を読み耽るです。取り敢えず謝っておきます。ごめんなさい。  持ち込む本は100冊程度で既読、未読に関わらず選択したいと思いますが、その1冊として既に既読ながら

          読んでいない本について堂々と語る方法(ピエール・バイヤール ちくま学芸文庫

          【書評】タコの心身問題

          (ピーター・コドフリー=スミス著 みすず書房) 11代伝蔵 書評100本勝負 44本目 本書も熊本の長崎書店で購入しました。多分この本屋でなければ目に止まらなかったと思われます。やっぱり長崎書店hは魅力的な本屋さんですね。  ところでやや唐突ですが、グットクッカーであった母のおかげで好き嫌いがありません。しかしながら好物と聞かれれば断然お寿司です。その中でもタコが一番のお気に入り。タコに関してはシャリのある握りよりも桜煮の方が好き。仕込みが大変なのか提供するお店が少ないの

          【書評】タコの心身問題

          【書評】ウー、うまい!(高峰 秀子 著 河出文庫)

          11代伝蔵 書評100本勝負 43本目  長崎書店では興奮のあまり、予算オーバーにも関わらずカゴに本を入れてしまい、リュックがパンパンでした。ですから兄弟店である長崎次郎書店へ足を運ぶのはためらわれましたが(多分また買ってしまうから)折角熊本へ来たんだから(折角主義)と思い、市内電車で移動しました。  長崎次郎書店の住所は「熊本市中央区」となっていますから、中心部に位置しているんでしょうけれど、長崎書店ほどにはおそらく立地がいいわけではなく、電停そばにあるのでアクセスは悪くけ

          【書評】ウー、うまい!(高峰 秀子 著 河出文庫)

          【書評】錆と人間(ジョナサン・ウェルドマン著   築地書館) 

          11代目伝蔵 書評100本勝負42本目 「善き書店員」を読み、紹介されていた本屋で一番心惹かれた熊本の長崎書店に行ってきました。興味を興味を持った理由は社長の「地域一番の本屋を目指す」という心意気と店の広さが100 m2で僕にとっては相性のよい?規模だったからです。長崎書店は市内中心部のアーケード街の一角にあり、おそらく市民にとって便利なところにあります。  予想通り、魅力に溢れた書店でした。広いとは言えない規模ですが、書棚を工夫して配置することで一定数の量を確保すると同時に

          【書評】錆と人間(ジョナサン・ウェルドマン著   築地書館) 

          【書評】善き書店員(木村俊介 著 ミシマ社)

          11代目伝蔵 書評100本勝負 41本目 まずはこの本を買った経緯から。  この本は先月、新刊書店で買いましたが、出版は2013年です。つまり10年前に出版された本です。10年前に出版された本を新刊書店で買うことは滅多にないことだと思われます。買ったのは愛する大垣書店京都ポルタ店。ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、京都駅地下街B1にあります。駅に隣接した店舗なので?売り場面積はおそらく30坪に満たない程度。しかもメインの購入層は観光客だから京都観光案内本や関連本は欠かせ

          【書評】善き書店員(木村俊介 著 ミシマ社)

          【書評】シン・共産党宣言(松竹伸幸 著 文春新書)

          11代目伝蔵書評100本勝負40本目 著者である松竹伸幸氏が本書の出版を理由に共産党から除名処分(本人からの異議申し立て中)を受けたというニュースから興味を持ち手に取りました(僕自身は党員ではないし、共産党に投票したことはない)。 結論から言えば、本書が除名の理由ならば本書を読んでいないか、日本語を解しない人であると思われます。著者は共産党員であることに誇りを持ち、共産党愛に溢れる人物であることが一読すればわかるからです。本書の内容が「分派活動」とするならやっぱり共産党内には

          【書評】シン・共産党宣言(松竹伸幸 著 文春新書)

          【書評】日本共産党(中北浩爾 著 中公新書)

          11代伝蔵の書評100本勝負 39本目  本書は新聞の書評欄に紹介されていたので、手に取ってみました。新書サイズにしては対ぶな本で、読むのに時間がかかりました。  日本共産党については随分昔に「日本共産党の研究」(立花隆 著)を読みました。内容はほとんど覚えていないのですが、共産党の負の部分に光を当てた著作であると記憶しています。直近の参議院選挙や衆議院選挙で立憲民主党を中心にした野党勢力との連合が模索されています。その可能性を探るためにも本書を読んでみようと思ったわけです

          【書評】日本共産党(中北浩爾 著 中公新書)

          【書評】アトミック・ボックス(池澤 夏樹 角川文庫)

          歳をとってから小説を読まなくなりました。僕にとって長く「本を読む」とは「小説を読むこと」を意味していましたから要するに小説を読まなくなったのではなく、本そのものを読まなくなったということなのでしょう。そして昨年辺りから、小説を再び手に取るようになり、読書の習慣が復活しつつあります。  池澤夏樹は好きな小説家ですと言いながら、読んだのは1冊だけで「花を運ぶ妹」(文春文庫)です。バリで犯罪に巻き込まれた兄とその兄を救出する妹の物語で二人の視点から文体を変えての語り口が印象に残

          【書評】アトミック・ボックス(池澤 夏樹 角川文庫)

          【書評】原子力時代における哲学(國分 功一郎著 晶文社)

          11代伝蔵の書評100本勝負 37本目 本書は昨年9月福井県の敦賀駅前にオープンした複合施設の本屋「ちえなみき」で購入しました。「ちえなみき」は編集工学研究所監修の本屋ですから書棚はかなり個性的です。原発銀座と称されることもある(有り難くない名称でしょうけど)福井県には15基の原子力発電所があります(そのうち3基は40年経過)から本書が目立つ場所に平積みしてあるのは当然かもしれません。 本書の著者 國分功一郎は御多分に洩れず(?)2011年福島での原発事故に強い衝撃を受けま

          【書評】原子力時代における哲学(國分 功一郎著 晶文社)

          【書評】眼の誕生(アンドリュー・パーカー著 草思社)

          11代目伝蔵 書評100本勝負36本目 イケシャーシャー [副]《「いけ」は接頭語》憎らしいほど平然としているさま。「あんなにしかられたのに―としている」(デジタル大辞泉)  だいぶ間が開いたよなぁとは思っていましたが、何と3ヶ月ぶりの投稿で、もうびっくりなんですけどぉ。100本の書評が密かな目標(去年の)だったので要するに目標不達成ですが年も明けたことですし、上記の言葉と共に再開ですわ。  昨年の10月別件で福井に行くことが2回ありました。敦賀は京都から特急で1時間余

          【書評】眼の誕生(アンドリュー・パーカー著 草思社)

          【書評】日本人の戦争ー作家の日記を読む(ドナルド・キーン著 文春学藝ライブラリー)

          11代目伝蔵書評100本勝負35本目 少し前のことになりますが、7月に神奈川近代文学館でドナルド・キーンの回顧展があり、行ってみました。彼の著作はほぼ読んだことがなかったけど講演会を一度聞いたことがあります。印象的な講演会でしたので、今更ながらですが、その人となりを少しでも知ることができればと思い、足を運びました。良い展覧会で、ドナルド・キーンという人が質量共に圧倒的な仕事をした人であることがわかりました。ドナルド・キーンには膨大な著作がありますが、そのキャリアは米軍の日本語

          【書評】日本人の戦争ー作家の日記を読む(ドナルド・キーン著 文春学藝ライブラリー)