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Night Walker(短歌8首)
「かばん2018年12月号」に掲載の8首を転載する(もともとそれまでに発表した歌の中から抜粋して再校正したものになる)。
Night Walker あまね そう
自らの体の形を感じおりぬるき豪雨に打たれ続けて
※体=たい
生ぬるき夜の湿り気 信号は音も立てずに青へと変わる
街灯の多き街なり我の影幾重に伸びて雨に濡れおり
県道の警官模型の黒目から飛び出すカール・オルフの音符
川沿い
歌集の電子書籍出版についての考察
2013年、歌集『2月31日の空』をキンドル版のみで出版した。当時まだメジャーとはいえなかった電子書籍での出版には不安も多かった。おおむね好意的に受け入れてもらえたが、一方で「歌集とは認められない」という風潮もあり、戸惑ったことを覚えている。
以下、「かばん2013年12月号」の本歌集の特集に寄せた「記録」を掲載する。あれからすでに6年が過ぎており状況は変わりつつあるが、一つの冒険の記録として提
【書評】ねむらない樹vol.1
現代短歌の現在を知るためには最良のムックである『ねむらない樹』。その書評を「かばん2018年11月号」より、以下転載する。
「短歌ヴァーサス」から「ねむらない樹」へ
「短歌ヴァーサス」を思い出した人も多いのではないか、と思う。「短歌ヴァーサス」とは、荻原裕幸責任編集で刊行されていたムックである(風媒社より季刊にて全11号刊行)。既刊の総合誌とは一線を画す内容で、創刊号の特集が「枡野浩一の短歌
歌集『2月31日の空』より自選20首
noteを作成して初の記事になります。自己紹介として、kindle版歌集『2月31日の空』から、かばん2013年12月号に掲載した自選20首を掲載します。
■ 2月31日の空(抄録)
てつぼうに手のとどかない子のために広がっている青空がある
二十秒ごとに「ね」という先生の「ね」のリズムにて解く化学式
フロイトとユングの違い説く友の首から生える一本のヒゲ
日本史のノートに線をひく少女よ君に