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創作童話

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書いた創作童話をまとめました。
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創作童話『雨上がりの日に』

創作童話『雨上がりの日に』

「花が散ってしまうのは、悲しいね。」
足元に広がる無数の花びらを見て、ナナは言いました。
昨日降った雨で、せっかく咲いた白木蓮の花もほとんどが散ってしまっていました。
雨上がりの街はまだどこか生暖かい湿った空気が残っていて、まとわりつくようでした。
「そう?風情があって、これはこれでいいと思うけど。」
「風情って、なに?」
ヒカルはどう説明しようかしばらく悩んで、言いました。
「こういう儚いものの

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創作童話『海辺』

創作童話『海辺』

車から降りたユウマは、思っていたよりはるかに強い日差しに面食らいました。
「うわぁ、眩しいなぁ。」
駐車場に車はほとんどなく、混む時期を避けて当たりだったな、とお父さんは嬉しそうに言いました。
家族みんなで海に来るのは久しぶりでした。
テレビで海の特集を観ていたときに、お父さんが、今年こそは海に行こう、とほとんど思いつきで提案したのです。

両親はせっせと車から荷物を下ろし、その間にユウマと妹のミ

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創作童話『聖なる贈り物』

創作童話『聖なる贈り物』

「兄さん、お願いだから食べてちょうだい。」
アルマはそう言うと、盗んできたパンを差し出しました。
ロベールは静かに首を横に振ります。
「ここに来てから、何も食べてないじゃない。」
「お前だって、パンを食べないじゃないか。」
「兄さんが食べないんだもの。」
屋根裏部屋の隅では、カラカラになったパンが転がっていました。
アルマは泣き出しました。
「このままじゃ、兄さんが死んでしまうわ。」

ロベールと

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創作童話『床下の世界』

創作童話『床下の世界』

とある王国のお話です。
王様の住む宮殿の大広間には、天井まで届く長い長い螺旋階段がありました。
その階段を登り切ると、屋上にある天文台に行けるのでした。

さて、天文台に辿り着く手前、103段目の階段は、金色に塗られていました。
おまけに、外側の手すりはその階段の部分だけ外されていて、飛び降りられるような仕様になっています。
というのも、その螺旋階段の103段目からまっすぐ床に飛び降りると、別の世

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創作童話『素敵なブティック』

創作童話『素敵なブティック』

その街は一年中寒くって、広がる灰色の空の下、れんが造りの家々や道は明るく塗装されていたものの、そのアンバランスさが余計に人々を寒々しい気持ちにさせました。

キリンのマドルは、そんな街でブティックを営んでいました。
ブティックは落ち着いていて、いつもおしゃれな音楽が流れていました。
お客さんから相談されたときには、マドルは一緒にコーディネートを考えるのでした。

ファッションデザイナーでもあるマド

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創作童話『円』

創作童話『円』

ある朝目覚めると、一つの球体が僕の部屋にふわふわと浮いていた。

ベッドから少し離れた、部屋の隅にある本棚を覆い隠すようにして、その丸は静かに浮いていた。
狭い部屋なもんで、身体を起こすとちょうどその丸で視界がいっぱいになるほどの近さだった。

僕は特段、驚きもしなかった。

とてつもなく大きなその丸は、白くてツヤツヤと輝き、ボールとも風船とも言えない、奇妙な気配がした。

「おはよう。」

もし

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創作童話『不思議な車』

創作童話『不思議な車』

ライオンのレオンはその日、お母さんのお手伝いで、家の外を箒で掃除していました。
すると、一台の車がスーッと、レオンの家の前で止まりました。
運転していたのは、クマのマイケルでした。

「ドライブに行こう」
マイケルはレオンに言いました。
ふたりは親友です。
マイケルの車は、ピカピカの黄色いオープンカーでした。

「この車、どうしたんだい?」
レオンは車を眺めながら言いました。
「この間買ったのさ。

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創作童話『灰色の空』

創作童話『灰色の空』

太陽が照り輝き、青い海は静かに揺れています。
町にある高台からは、ミカンやレモンの木々が見下ろせます。
その高台にある新しい家に、ユミたち家族は引っ越してきました。

ピカピカの家はとても広く、ユミと三歳下の妹にはそれぞれの部屋が与えられました。
前の家では妹と同じ部屋だったので、一人部屋ができて嬉しい反面、妹と離れた寂しさもありました。

庭に出ると、あたたかい風がユミを包みます。
雪国で育った

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創作童話『星を見つけて』

創作童話『星を見つけて』

「星を取りに行こう!」
チェスターは部屋のドアを勢いよく開け放つと同時に言いました。
「星だって?」
もう眠りにつこうとしていたルイスは、目をこすりながら尋ねました。
「星なんて、どうやって取りに行くのさ」
「こっちへきて!」
チェスターはルイスの手を引き、外へ連れ出しました。

家の外に出ると、そこには一台の自転車が置いてありました。
二人乗りで、真っ白な羽がついています。
「お父さんに内緒で、

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創作童話『ねぇねぇ、あのね』

創作童話『ねぇねぇ、あのね』

うさぎのマルは、内緒話が大好き。
隣に住むリアーと、いつもコショコショと内緒話をします。

「ねぇねぇ、あのね」
マルはいつものようにリアーに言いました。
「うんうん、なぁに?」
リアーは大きな耳をマルの方へ傾けて、耳を澄ませます。

「台所にあったおまんじゅうを、つまみ食いしちゃったんだ」
「ダメじゃないか、そんなことしちゃ」
「美味しかったから、きみにも持ってきたよ」
マルはそう言っておまんじ

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創作童話『評判の良いお医者様』

創作童話『評判の良いお医者様』

緑が生い茂る季節のことでした。
町に新しいお医者様がやってきて、小さなクリニックを開きました。
なんでも、このお医者様はどんな体の不調も治してしまう名医だと言います。

町には、コタロウという青年が住んでおりました。
コタロウは、幾日か前から鼻水が止まらず困っていました。
お医者様の話を耳にしたコタロウは、明日、さっそくクリニックへ行ってみようと、その日は早く眠りました。 

翌日、コタロウは診察

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創作童話『どこまでも一緒』

創作童話『どこまでも一緒』

シーズー犬のマイムは、その日もいつものように散歩をしていました。
マイムは、ふと訪れた教会の長い階段のふもとにある広場で、1匹のアリクイと出会いました。
アリクイは、ギターを弾きながら歌っています。
マイムには、アリクイの言葉が分かりませんでしたが、アリクイの鳴らすギターと歌を聴いていると、なんだか心がふわふわとしてくるのでした。

マイムは恐る恐るアリクイの隣に座りました。
アリクイは歌うのをや

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創作童話『ガーガの冒険』

創作童話『ガーガの冒険』

黄色い足を忙しなくパタパタとさせ、アヒルのガーガは今日も出かけます。
冒険好きのガーガは、なにか面白いことはないかと、よく探しにいくのです。

ガーガが歩いていると、お猿のおじいさん、ゴンタが道の真ん中で困っているようでした。
草の根を掻き分け、何かを探している様子です。
「ゴンタさん、こんにちは!」
「はいはい、こんにちは」
ゴンタは面倒くさそうに返事をしました。
「こんなところで、どうしたの?

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創作童話『おやすみなさい』

創作童話『おやすみなさい』

ちらちらと星が瞬く夜。
カズヤとマミは屋根裏部屋でお喋りしていました。

「ねぇねぇ、生まれ変わるんなら何になりたい?」
マミがカズヤに尋ねました。
「僕は大男になって、みんなをびっくりさせたいなぁ。いつも、ちんちくりんていじめられるんだもの」
カズヤはごろんと寝転がると、
「きみは?」
と尋ねました。
「私は鳥がいいなぁ。きっと、今より自由だから」
「そうかいそうかい」

やがて二人は、年老いて

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