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メンタルヘルス全般

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対人関係、毒親問題、フェミニズム、共依存、箱庭療法、食い尽くし系、その他諸々について書いています。
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記事一覧

大谷選手に学ぶセルフ精神療法

大谷選手に学ぶセルフ精神療法

先日、ご結婚を発表された大谷翔平選手。

自分自身のことをよく把握されていて、物事を達観されていて、それでいて周囲への優しさや気配りも欠かさない、まさに非の打ち所がないような方に思えます。

今回は僭越ながら、そんな大谷選手の特に気になった発言を2つ取り上げさせてもらい、個人的な感想を述べさせて頂きたいと思います。

「心が平穏なのが何よりも良いことかなと思うので、私生活はそうありたいなと思います

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「食い尽くし系」は無意識のマウント!?

「食い尽くし系」は無意識のマウント!?

こんにちは、精神科医のはぐりんです。
※3分で読めます。

先月、講談社さまから「食い尽くし系」について書いてほしいとご依頼をいただき「現代ビジネス」に執筆させていただきました。

「食い尽くし系」とは、家族などとの会食の場で、他人の分まで無遠慮にたくさん食べてしまう人たちのことを指します。

私の過去記事(食い尽くし系が気になりすぎて〜精神科医が考察してみた)や現代ビジネスに、詳しく書かせていた

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相手の言動を被害的に捉えてしまう〜認知のゆがみとその改善策

相手の言動を被害的に捉えてしまう〜認知のゆがみとその改善策

こんにちは、精神科医のはぐりんです。
※4分で読めます。

今回は主に対人場面において、相手の言動を被害的に捉えてしまう方の認知の特徴とその改善策をお伝えしていきたいと思います。

相手の言動を被害的に捉えてしまう方は、表情や身振り、言葉などを通して得た情報をゆがめて捉えてしまう、いわゆる「認知のゆがみ」が原因と考えられています(社会的認知障害とも言います)。

認知のゆがみに関して、具体的には結

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つらい過去を乗り越える〜自分自身を認めてあげるということ

つらい過去を乗り越える〜自分自身を認めてあげるということ

※この記事は3分で読めます。最後までお読みいただけたら嬉しいです。
※ご自身のつらい体験を想起してしまう可能性のある表現を含みます。今現在治療中の方、症状がすぐれない方は読むのをお控えください。

「自分に自信が持てない」

先日とある20代の男性患者さん(Aさん)がそう言って来院されました。

聞けば、幼少期より父親から繰り返し暴言・暴力を受け続け、10歳頃に兄妹含め、みな保護のため別々の家に預

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フェミニズムについて〜誤解を恐れずに書いてみる

フェミニズムについて〜誤解を恐れずに書いてみる

こんにちは精神科医のはぐりんです。
※この記事は全て読むのに5分ほどかかります。お時間がない方は太字の要点だけでも読んでいただけたら嬉しいです。

先日、『上野先生、フェミニズムについてゼロから教えてください!』という本を読みました。

フェミニズムに関しては個人的に以前から興味を持っていた分野で、入門書を探していた中で最も読みやすそうで、かつ読者レビューの評価も高かったこの本を選びました。

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毒親からは離れるしかない

毒親からは離れるしかない

最初に前回記事の補足です(フォロワー様からご指摘いただきました)。

前回は毒親に関して価値観の違い、主に世代間ギャップによる観点から「毒親は変わらない」という話をさせていただきました。

加えて毒親の問題には神経発達症(ASD,ADHD)の問題が絡んでいる場合が少なくありません。それも親子双方に発達の問題が絡んでいるケースです。

そうなると親による価値観の押し付けに、より拍車がかかり(ASDの

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毒親は変わらない

毒親は変わらない

今回は毒親について書いていこうと思います。

「毒親」という言葉は、1999年に刊行されたスーザン・フォワード著の「毒になる親」という本から生まれました。その後2012年頃からテレビなどで一気に広まりました。

響きが強い分この言葉を使うこと自体に賛否両論はあるかと思います。親を非難したところで憎しみを表現するだけで事態は変わらない、といった専門家の意見もよく聞かれますが、

個人的には「毒親」と

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対人関係のパターンは変えられる〜なぜDV夫を選んでしまうのか

対人関係のパターンは変えられる〜なぜDV夫を選んでしまうのか

こんにちは、精神科医のはぐりんです。
※じっくり読むと4分ほどかかります。お時間ない方は要点だけでもお読みいただけたら嬉しいです。

今回はなぜDV夫を選んでしまうのか、というテーマで実際のケースも交えながらお伝えしていこうと思います(個人の特定に繋がらないよう、詳細は伏せてお伝えしていきます)。

とある通院中のAさん。旦那さんのDVが原因で離婚し、その後別の相手と再婚したものの、その再婚相手も

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8050問題〜発達障害や毒親も背景に!?

8050問題〜発達障害や毒親も背景に!?

こんにちは、精神科医のはぐりんです。
※3.4分で読めます。ざっと要点だけでもお読みいただけたら嬉しいです。

8050(はちまるごーまる)問題、ご存知の方も多いかと思います。80代の高齢の親が、長年引きこもる50代の子供を経済的にも精神的にも支えて生活している、という社会問題です。

調べてみると2015年頃から提唱された問題で、親は年齢的に団塊の世代、子供は団塊ジュニア~就職氷河期世代に該当し

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発想力と創造性を引き出す方法

発想力と創造性を引き出す方法

こんにちは、精神科医のはぐりんです。

今回は発想力と創造性を引き出すためにはどうすれば良いのか、私が最近読んでいる本から心理学者や脳科学者の知見を参考にお伝えしていこうと思います。※3分で読めます。最後までお読みいただければ嬉しいです。

突然ですが今回の記事のサムネイル画像、何の画像かお分かりでしょうか?もしかしたら鋭い方ならお気づきかもしれませんが、これはフロイトによって開発された自由連想法

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緘黙症の子に箱庭療法をやってもらいました〜不登校支援にも

緘黙症の子に箱庭療法をやってもらいました〜不登校支援にも

※この投稿は3分で全て読めます。最後までお読みいただけたら嬉しいです。

箱庭療法というのを聞いたことがあるでしょうか?

文字どおり砂を敷き詰めた大きめの箱(縦 57cm・横 72cm・高さ 7cm)を用意し、別におもちゃを大量に用意して、それを箱の中に自由に配置してもらうというだけのものです。

箱の内側は、底と壁ともに青色に塗られており、空や海に使うことができます。診察室でカウンセラーと二人

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食い尽くし系が気になりすぎて〜精神科医が考察してみた

食い尽くし系が気になりすぎて〜精神科医が考察してみた

こんにちは、精神科医のはぐりんです。
※この投稿は3分で読めます。最後までご覧いただけたら嬉しいです。

最近また「食い尽くし系」という言葉がSNSでよく聞かれるようになりました。何だかワードチョイスが絶妙で、リアルな様子をよく表していて頭から離れなくなってしまったので、せっかくなので色々と考察してみました。

どういう人たちのことを言うかと言うと、中華料理などを取り分けて食べる際に人数分以上に度

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救える命/防げる自殺〜後悔しないためにも声かけを

救える命/防げる自殺〜後悔しないためにも声かけを

こんにちは、精神科医のはぐりんです。

この話題に触れる際、どういった形でお伝えするのがいいのかとても悩みましたが、少しでも自殺で亡くなる方が減ってほしいとの思いで書くことにしました。

ただセンシティブな内容にはなりますので、今現在精神科治療を受けられていて調子の悪い方は、閲覧をお控えください。

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日本における自殺の問題、特に若年者の自殺率は深刻

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共依存に代わる望ましい関係性〜心理学者の言葉から考えてみた

共依存に代わる望ましい関係性〜心理学者の言葉から考えてみた

私が最近読んでいる本に、エーリッヒ・フロムという精神分析家の紹介がありました。

フロムの有名な著書に「愛する技法」という本があって、それによると

「本当に親密な関係になるには、発達した2つの自我、生産的な2つの自我が結びつかなければならない」そう。

さらには、人は孤独を克服しようと愛を求めるけれども、「(逆説的だが)孤独でいられる力こそが愛する力の必須条件」だそう。

共依存というと、お互い

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