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神経発達症

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ASD、ADHD、その他発達障害について書いています。
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学歴に潜む生きづらさ

学歴に潜む生きづらさ

今日は神経発達症(ASD/ADHD)の方のWAIS(ウェイス:知能検査)に関して、最近続けて見かけたとある共通点についてお伝えしていこうと思います。

※WAISは発達障害かどうかが分かる検査ではありません。検査の詳しい内容については過去の記事にも書かせていただきましたので、ご存知ない方はそちらも良ければご覧ください。
※事例紹介は個人が特定されないよう、主旨がずれない範囲で情報を変更、限定させて

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ASDの方と話す際に一番に配慮したいこと~私の失敗談から

ASDの方と話す際に一番に配慮したいこと~私の失敗談から

こんにちは、精神科医のはぐりんです。精神科医のリアルな日常とホンネをお届けしています。
※2分で読めます。

普段ASDの方と関わる機会をお持ちの方も少なくないかと思います。お子様や友人、家族や職場の同僚、あるいはご自身がASDという方もいるかと思います。 ※ASD:自閉スペクトラム症

ASDを公言している方もいれば、「あの人ASDかも」という人まで、周囲に思い当たる方がいるかと思います。一昔前

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発達障害は不器用なのか〜疲れやすさとの関連も

発達障害は不器用なのか〜疲れやすさとの関連も

こんにちは、精神科医のはぐりんです。精神科医のリアルな日常とホンネをお届けしています。
※3分で読めます。

発達障害の方で、字が上手く書けなかったり車の運転が苦手だったり、あるいは家事や料理が要領よく出来なかったり、姿勢保持がうまくいかない、といった方が少なくないかと思います。

発達障害(神経発達症)といえば、ASD、ADHD、LD(学習障害)の3つがもはや定番ですが、

先日、DCDという精

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ASDの方の無職率80%は本当なのか調べてみた

ASDの方の無職率80%は本当なのか調べてみた

こんにちは精神科医のはぐりんです。
※この投稿は3.4分で読めます、最後までご覧いただけたら嬉しいです。

今回はSNSで、ASDの方の無職率が8割、というかなり衝撃的な情報を目にしたので、私なりに調べ考察してみました。

調べてみると、2019年のアメリカの就労支援に関するコラムの中で、『世界全体で推定7000万人とも言われるASDを抱える人々のうち、約8割が無職もしくは著しく能力以下の仕事に従

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「私って発達障害ですか?」〜とある研修医とのやり取り

「私って発達障害ですか?」〜とある研修医とのやり取り

こんにちは、精神科医のはぐりんです。精神科医のリアルな日常とホンネをお届けしています。
※3分で読めます。

私の勤務する病院には、毎月1人ずつ県内各地の病院から初期研修医が回ってきます。

初期研修医とは、大学の医学部を卒業して最初の2年間の研修期間のことを指しますが、2年間のうち最低4週間の精神科での研修が厚生労働省により義務付けられているのです。

先日、研修医のとある先生(内科医志望)が唐

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神経発達症やHSPの方にもオススメのヨガ

神経発達症やHSPの方にもオススメのヨガ

先日数週間ぶりにヨガに行ってきました。
最近は忙しくて中々行けていなかったのですが、

『やっぱりヨガ🧘はイイ』

改めてそう思わされました。ヨガについては過去の記事にも何度か書かせていただきましたが、今回はまた違った気づきがあったのでご紹介しようと思います。

某大手ホットヨガのスタジオ、部屋は薄暗く、会話も禁止、久しぶりに入ると外界の喧騒から離れた異空間のよう。スマホをロッカーに置いてあるの

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ASDに愛着障害が重なるとどうなるのか

ASDに愛着障害が重なるとどうなるのか

こんにちは、精神科医のはぐりんです。

今回は、特性の濃いASD(自閉スペクトラム症)に愛着障害が重なるとどうなるのか、というテーマで実際のケースをご紹介しつつお伝えしていこうと思います。※3.4分で読めます。少しお時間いただき、最後までお読みいただけたら嬉しいです。

ASDに関しては色々と言われてはいますが、個人的にはスペクトラムだと思っていて、特性が濃い方がいれば薄い方もいます。

「グレー

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大人の発達障害グレーゾーンと境界知能の併存例

大人の発達障害グレーゾーンと境界知能の併存例

こんにちは、精神科医のはぐりんです。
※4分で全部読めます。お時間がない方は末尾のまとめだけでもご覧いただけたら嬉しいです。

今回は大人の発達障害グレーゾーン、正確には「大人になってから発覚した」発達障害グレーゾーンの実際のケースをご紹介したいと思います。

先日、とある40代の女性が、発達障害かどうか診てほしいと一人で来院されました。診察した限りではそこまで特性は気にはなりませんでしたが、小学

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ASDの方の責任能力について

ASDの方の責任能力について

こんにちは、精神科医のはぐりんです。
※この投稿は2分で読めます。少しお時間いただき最後までお読みいただけたら嬉しいです。

以前、入院中のASD/ADHD併存の方(Aさん)が、無抵抗の他患(Bさん)を何発も殴ってしまうということがありました。

Aさんは、日頃から病棟内でBさんからちょっかいを出されており、ある日溜まりに溜まった怒りがついに爆発し、無抵抗のBさんを何発も殴ってしまったのです。

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論文紹介〜1800人のASD/ADHDの方のWAISの結果を分析し出てきたとある傾向

論文紹介〜1800人のASD/ADHDの方のWAISの結果を分析し出てきたとある傾向

こんにちは、精神科医のはぐりんです。
※この投稿は3分で読めます。ぜひ最後までお読みいただけたら嬉しいです。

今日はイギリスのニューキャッスル大学発の、WAISのデータ解析をした論文をご紹介したいと思います。

発達障害の検査というと真っ先に思い浮かぶのは知能検査、すなわちWAIS(ウェイス、子供の場合はWISC:ウィスク)だと思うのですが、WAISの点数パターンがこうだから発達障害、こうでない

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孤立型ASD~いわゆる不思議ちゃんの方のWAISを検討してみました

孤立型ASD~いわゆる不思議ちゃんの方のWAISを検討してみました

こんにちは、精神科医のはぐりんです。

※この投稿は3分で読めます。また個人情報保護のため多少内容を変更しております。最後までお読みいただければ嬉しいです。

今回は実際に私が初診で診察した孤立型ASDの方のWAIS(ウェイス、知能検査)の結果をご紹介したいと思います。

WAISについては以前の投稿でも詳しく触れていますので、そちらも良ければご覧ください(初めて聞いた方には内容的に少し難しく感じ

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とにかく低姿勢なASD〜意外に多い大仰型ASDとは?

とにかく低姿勢なASD〜意外に多い大仰型ASDとは?

こんにちは、精神科医のはぐりんです。
※この投稿は3分で読めます。最後までお読みいただけたら嬉しいです。

今回は大仰型(おおぎょうがた)ASDと呼ばれるタイプのASDに関して、具体例を出しながら少しでもイメージしやすいようにお伝えしていけたらと思います。

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ASDのタイプに関しては以前もご紹介させていただきましたが、積極奇異型、受動型、孤立型、尊

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WAISの結果と実際の特性が割と一致したASDの方

WAISの結果と実際の特性が割と一致したASDの方

こんにちは。精神科医のはぐりんです。今日は少し専門的な内容になりますm(_ _)m

今回は元々診察だけでASDの診断がついた方なのですが、その後心理検査(WAIS、PARS、AQ)を行ったところ、診断をさらに裏付ける結果となったパターンをご紹介したいと思います。
※プライバシー保護のため、情報は一部改変、限定して書いていきます。

学校の単位がとれず、発達障害の診断がつけば学校側から配慮をすると

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発達障害の現在地とこれから〜ASDとADHDは統合される!?

発達障害の現在地とこれから〜ASDとADHDは統合される!?

こんにちは、精神科医のはぐりんです。

今回は発達障害(ASD,ADHD,LD)の変遷、現在地、また今後の展望についても個人的な憶測と願望込みで予想してみました。
※この投稿は3分で読めます。最後までご覧いただければ嬉しいです。

発達障害は比較的新しい概念で、1990年代に知的障害を伴わない発達障害の概念が知れ渡り、その後医療機関や行政において次々と取り組みが開始されました。2007年に文部科学

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