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パートナーのふるさと石垣島の、海から二分の部屋で暮らしています。 作ったり、創ったり、…

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パートナーのふるさと石垣島の、海から二分の部屋で暮らしています。 作ったり、創ったり、書いたり、描いたりの日々。 創作活動や日々の出来事、自分に伝えたいことを言葉にしています。

記事一覧

青風 ③

海にしか興味のなかったターラだったが、ある日、思っても見ないことが起こった。  いつものように海から戻ったターラのところに、若い娘が訪ねてきたのだ。 「あんたがタ…

beniiro
21時間前
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青風 ②

 アオカジは、さほど大きくはないが、この辺の海ではとんと見かけない、珍しい魚だった。  漁師たちは、こぞってアオカジを釣り上げようとした。しかし、どんなに仕掛け…

beniiro
6日前
7

「失敗も成功も宝物のような時間になった」。心震える演技者、宇野昌磨くんの引退会見の記事の見出し。そう思えたことが、本当に素晴らしいし、嬉しい🥹。彼の生きる時間は、これからもきっと全部宝物💎✨✨

beniiro
7日前
6

  青風

(おことわり…この小説は、第二回海洋文学賞童話部門大賞作品の『太郎の海の青い風』を一部修正加筆したものです。受賞作品であることを明記した上での掲載ということで許…

beniiro
7日前
12

ひっそりとそこにある物語たち

 物語を描き始めたのは、東京で最初の結婚をしているときだった。  児童文学の講座で勉強した後、そこで出会った仲間たちとサークルを作り、書き続けた。  その間に長女…

beniiro
2週間前
10

共感

一年生のKくんと散歩している時、石に躓いて転びそうになった。 「ちゃんと下見てあるかないと!」 とKくん。 「本当だねー。ついつい空見ながら歩いちゃうからさ」 「なん…

beniiro
3週間前
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うちの畑

beniiro
1か月前
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津波警報

今、石垣島に津波警報発令されている サイレンが鳴り響き、かなりものものしい雰囲気に包まれている。 職場からは自宅待機の連絡が来たけれど、うちは海から3分なので、避…

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1か月前
7

人生の旅

元夫の訃報が届いた。 突然の心停止。年齢的にも早すぎる死だった。 けしていい別れ方はではなかった。10数年経っても、私の中に未処理の感情がしこりのように残っていた…

beniiro
2か月前
12

天職

長いこと子供に関わる仕事をしてきて「天職だね😇」と何度か言われた。 それは違う、と思っていた。 天職は、やっていて楽しいこと、好きなことだと思っていたから。 やり…

beniiro
3か月前
15

今日の夕日は豹柄です笑笑

beniiro
3か月前
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春が来た

昨日の朝、窓を開けたら春を感じた。 子供の頃にいた岩手でも 東京にいた時も 「あ!今日から春だ!」 と思う朝があった。 岩手の春と沖縄の春は、景色も気温も全然違う…

beniiro
3か月前
6

冬の思い出〜雪解け〜

岩手県で育った。 今は偉大な大谷さんのおかげで日の目を見ているけれど、昔は「日本のチベット」と言われている時代もあったし、一番暗い県民性ランキングで一位を取った…

beniiro
3か月前
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夜明け

beniiro
4か月前
13

人生の目的

年末から、世界が動いてるのを臨場感たっぷりに感じていた。 私が動いているというより、まるで周りの景色が動いている感じ。 まさにビックリハウス使用。 これはいい兆し…

beniiro
4か月前
13

時間

時は,待ってくれない。 私が恋に憧れ始めた少女だった頃、恋の歌を歌っていた人の何人かが、今年この世界から旅立って行かれた。 私が旅立つ日がいつなのかは分からない…

beniiro
4か月前
10
青風 ③

青風 ③

海にしか興味のなかったターラだったが、ある日、思っても見ないことが起こった。
 いつものように海から戻ったターラのところに、若い娘が訪ねてきたのだ。
「あんたがターラ?」
 娘はターラの前にすくっと立つとそう尋ねた。ターラは驚いて、目を丸くしながら頷いた。何しろ島の娘たちは、荒くれ者のターラを怖がり、声をかけたりしなかったからだ。
「あんた、海のことならなんでもわかるんでしょう?この中で、食べられ

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青風 ②

青風 ②

 アオカジは、さほど大きくはないが、この辺の海ではとんと見かけない、珍しい魚だった。
 漁師たちは、こぞってアオカジを釣り上げようとした。しかし、どんなに仕掛けを工夫しても、アオカジを仕留めることはできなかった。
それどころか、アオカジはたいそういたずら好きで、餌だけを巧みに食べた後、釣り針をサンゴの枝にひっかけて、漁師たちをからかったりするのだった。

 ターラも、何度もアオカジを銛で突こうと追

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「失敗も成功も宝物のような時間になった」。心震える演技者、宇野昌磨くんの引退会見の記事の見出し。そう思えたことが、本当に素晴らしいし、嬉しい🥹。彼の生きる時間は、これからもきっと全部宝物💎✨✨

  青風

  青風

(おことわり…この小説は、第二回海洋文学賞童話部門大賞作品の『太郎の海の青い風』を一部修正加筆したものです。受賞作品であることを明記した上での掲載ということで許可をいただいております)

 1

 九州よりも、沖縄本島よりも、もっとずっと南の小さな島に、ターラ(太郎)と言う若い漁師がいた。体は島の誰よりも大きく逞しいが、まだ、十八にもなっていなかった。

 九つの時、父親を嵐の海で亡くしてから、タ

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ひっそりとそこにある物語たち

ひっそりとそこにある物語たち

 物語を描き始めたのは、東京で最初の結婚をしているときだった。
 児童文学の講座で勉強した後、そこで出会った仲間たちとサークルを作り、書き続けた。
 その間に長女が生まれた。
 首が座っていない長女を両足の間に挟んで、ワープロ(時代!)を打った。サークルに参加するために、長女を抱っこして夜の中央線に乗った。紺色の抱っこ紐からぶらんと出ている長女のぷくぷくの白い足が、今も目に浮かぶ。

 それから2

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共感

共感

一年生のKくんと散歩している時、石に躓いて転びそうになった。
「ちゃんと下見てあるかないと!」
とKくん。
「本当だねー。ついつい空見ながら歩いちゃうからさ」
「なんでー?なんにもないのに!」
「だって、きれいじゃない?」
私の言葉に、Kくんは、空を見上げた。

「…本当だ。海みたい」

胸が詰まる
ひたひたと嬉しさが来る

私がきれいだと思うものを、他の誰かもきれいだと思ってくれる

たったそれ

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津波警報

津波警報

今、石垣島に津波警報発令されている
サイレンが鳴り響き、かなりものものしい雰囲気に包まれている。

職場からは自宅待機の連絡が来たけれど、うちは海から3分なので、避難がてら出勤。

お弁当を作っている途中だったので、お昼を買おうとしたけれどコンビニもスーパーもパン屋もclose…これはかなり本気の避難体制。
道路もあちこち渋滞している。もし最大級の津波が来たら、やはり車での避難はヤバいかも💦など

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人生の旅

人生の旅

元夫の訃報が届いた。
突然の心停止。年齢的にも早すぎる死だった。

けしていい別れ方はではなかった。10数年経っても、私の中に未処理の感情がしこりのように残っていた。

心がざわついて眠れず、カードに答えを求めた。
今起きていることに、意味づけが欲しかった。

カードにまず言われたのは
「人間ではなく魂の視点で観なさい」
と言うこと。
続いてメッセージが降りてきた。

「何も無い。全ては学びのため

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天職

天職

長いこと子供に関わる仕事をしてきて「天職だね😇」と何度か言われた。

それは違う、と思っていた。
天職は、やっていて楽しいこと、好きなことだと思っていたから。
やりたいことも、好きなことも、本当は別にあったはずだった。

今年になって、また子供の仕事についた。
ある人に出会ったことで、もう一度、ちゃんと子供に向き合って仕事をしてみたい、と思えたから。

今度は今までより少し大きい子供たち。

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春が来た

春が来た

昨日の朝、窓を開けたら春を感じた。

子供の頃にいた岩手でも
東京にいた時も
「あ!今日から春だ!」
と思う朝があった。

岩手の春と沖縄の春は、景色も気温も全然違う。
でも風が一緒。

北でも南でも
都会でも田舎でも

春が来た日の風は、とても新しい。
なにか始まっている、そんな感じがする。

今日はお休みだったので,久しぶりに海に行った。
アーサで緑に染まった浜をお散歩。
足を海につけたら、海

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冬の思い出〜雪解け〜

冬の思い出〜雪解け〜

岩手県で育った。

今は偉大な大谷さんのおかげで日の目を見ているけれど、昔は「日本のチベット」と言われている時代もあったし、一番暗い県民性ランキングで一位を取ったこともある(私はそのどちらも誇らしい!と感じていたけれど)。

家が小学校から3キロ離れていたので、冬が辛かった❄️。しかも、雪のため夏の通学路が使えず、冬はプラス1キロだった。
親が早起きして雪かきしてくれた道を歩いて通った。
吹雪の中

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人生の目的

人生の目的

年末から、世界が動いてるのを臨場感たっぷりに感じていた。
私が動いているというより、まるで周りの景色が動いている感じ。
まさにビックリハウス使用。

これはいい兆し…と内心期待していたら、なかなかエグい世界に連れて行かれた。

これ、大丈夫?間違えてない?

と、一瞬思ったけど、間違えるも何も
全部私の内側の写し鏡だった。

すでに愛している自分だけを集めて、美しくて安心な世界を見続ける、それも選

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時間

時間

時は,待ってくれない。
私が恋に憧れ始めた少女だった頃、恋の歌を歌っていた人の何人かが、今年この世界から旅立って行かれた。

私が旅立つ日がいつなのかは分からない。
でも、それをリアルに考えられるくらい、その日は近づいていると思う。

だから生きよう。
やがて、やってこようとしている新しい年を
与えられた場所で、与えられた役割を
精一杯。

そして愛そう。

縁あって出会った人、出会った場所
そし

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