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文化財の醤油 (かめびし株式会社さん) [#推したい会社]

創業1753年(宝暦3年)、現在では日本で唯一の「むしろ麹」の蔵元、かめびし株式会社さんは、店舗や醤油蔵等18棟の建造物が、2003年に国の登録有形文化財に指定され、創業以来守り続けた、関西以南、特に香川県の醤油伝統製法「むしろ麹」が、「讃岐の醤油醸造技術」として、2021年に国の登録無形民俗文化財に指定されました。

「むしろ麹製法」とは、特殊な構造を持つ木造2階建ての室内で、竹を藁で編み繋いだ「簀(す)」、藁やい草等の草で編んだ1畳ほどの敷物である「筵(むしろ)」、「蒸した大豆 + 炒って砕いた小麦 + 麹菌」である「麹」の順に、10~14段に重ねて、4日間かけて麹を育てる方法で、筵が適度な湿度を保ち、「酵素の力の強い、ふくよかな味わい」の醤油を作ることができますが、かなりの重労働で、筵180枚全部を使用しても機械法の半分くらいの生産量だそうです。

4日目に麹を部屋から出して、塩水を加えてもろみ蔵の桶に入れますが、1日目の盛り込みから4日目の出麹までの期間は、職人さんが泊まりがけで温度管理、つまり、寝ずの番で、窓や戸を閉めて温めたり、窓や戸を開けて冷たい外気を入れたり、生き物として愛情をかけて育てるそうです。

築後数百年以上経つ醸造蔵の杉桶に仕込み、うすくち醤油は1年半以上、こいくち醤油は2年・3年・5年・10年・20年以上の歳月をかけて熟成させるそうです。

昭和初期の香川県醤油醸造協同組合の発足を契機に、同40年頃には機械による効率化が進み、ほとんどの醤油メーカーが、自動製麹(せいぎく)装置によって造られた麹や火入れをしていない醤油である生揚げ(きあげ)を組合等から購入するようになったそうですが、かめびし株式会社さんは、「機械ではかめびしの深い味わいを出せない」と伝統製法を守ったそうです。

歴史的価値や味だけではありません、安全性にもこだわりがあり、無添加・遺伝子組換え大豆不使用・国産丸大豆100%、地元香川県産の小麦を中心に国産小麦100%、オーストラリア産天日干し原塩に国産天然にがりを加えて使用とのこと。

また、築約100年の古民家を改修したゲストハウスの「かめびし邸」・蔵内軽食店の「かめびし茶屋」・一角にあるピザ店の「風の館」・展示室や喫茶室・ゲストルームがあり、醤油作りやピザ作りも体験できるそうです。

かめびし株式会社さんの「にがり入りこいくち醤油」と出会って、11年になります。

鋭角的で、香り高く、旨味やコクがあり、大豆の味のする、とにかく美味しい醤油、芸術的な醤油、浸した時には何でも、「かめびし色」に染めてしまう、個性的で面白い醤油です。

煮物の味付けや洋食の隠し味にしても勿論美味しいのですが、浸して食べた時の美味しさは格別で、癖になります。

我が家では毎晩、温泉卵か茹で卵に、「にがり入りこいくち醤油」をかけて食べています。

他の醤油では絶対に嫌というくらい、お気に入りです。

まず、安全性の高い醤油ということで、自然食品系のお店で知り、その上、「とても美味しい」ということで愛用し、最近になってから、その伝統製法や建造物が文化財だということを知りました。

私は文化財めぐりを好きなので、かめびし屋さんにも、そのうち、ぜひ訪れてみたいと思っています。

かめびし株式会社さんには、この先何代も末永く続いてほしいです。

貴重な会社だと思います。


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