のらねこ

読書記録やつぶやき。まずは1000回書いてみる。

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マガジン

  • 本、読んだで。

    読んだ本の記録です。浅く軽く、書き残しております。

  • 20世紀末・北海道自転車1周記

    1990年代、自転車で北海道を1周しました。当時の記録を見ながら、今の記憶と合わせて、旅行のエピソードを書きます。

記事一覧

【807回】姫野桂「ルポ高学歴発達障害」

例えば、「空気を読めない」「マルチタスクが難しい」「言葉をそのまま受け止める」「思いついたら考えるより動いてしまう」「考え込む結果、人の話を聞いていない」「覚え…

のらねこ
2日前
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【806回】阿部恭子「高学歴難民」

「東大、京大、阪大、名大、北大、九州大…なんて頭いいんだろう」 20世紀末、高校生だった僕にとっては、手の届かない狭き門。 ああ、有名大学に進んだ人たちには、エリ…

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3日前
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【805回】藤原正範「罪を犯した人々を支える」

例えば、相模原障害者施設殺傷事件のような大変な被害を及ぼした殺人事件の裁判報告は、報告されていると思う。 この本は、小さな小さな裁判の様子を丁寧に描写した本であ…

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4日前
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【804回】安部公房「カンガルー・ノート」

僕が大好きな漫画に、ジョジョの奇妙な冒険がある。 合計120巻を超えるストーリーの壮大さ。そのような中で、生物の体に植物が関わってくる場面も登場する。 第4部の猫は、…

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5日前
3

【803回】春こそ新年

朝6時。 洗濯物を干すために外に出る。朝の光と温度が、一日の始まりの香り。今日も生きている!命の確認をする僕を包み込んでくれる。 鳥が、急にこちらへ飛んできた。ピ…

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6日前

【802回】「日本全国 地元パン」から社会の授業を空想して…

以下の地元パンについて、「製造地」「製品の特色」「価格」「北海道で買う方法」について調べよ。 1)クリームボックス 2)頭脳パン 3)サラダパン 4)マンハッタン …

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7日前

【801回】甲斐みのり「日本全国 地元パン」

表紙を見るだけで、口腔が刺激される。腹減った。 2024年の時代でも、これほど、各地域にしかも何か懐かしさを漂わせるようなパンが存在していることに、僕は敬意を表する…

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8日前
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【800回】勝田茅生「ヴィクトール・フランクル それでも人生には意味がある」

第2次世界対戦での、ドイツが行った歴史上最悪行為の虐殺が行われた「絶滅収容所」の体験を記した「夜と霧」の作者、精神科医・心理学者の「ヴィクトール・フランクル」 何…

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11日前
2

【799回】細見均「絵心がない先生のための図工指導の教科書」

本書を手にしたのは、出版社のページで目次を確認したからだ。 つまり、「図工の評価について知ろう」と「不安解消用具指導のポイント」である。 特に、「作品の評価の仕…

のらねこ
12日前

【798回】バスティアン・ハイン、若林美佐知「ナチ親衛隊(SS)」

ナチスの親衛隊の誕生、拡大、実験や虐殺、戦後の裁判、ドイツ社会への復帰まで。 偏った考え方を持つカリスマを称える群衆が、日本でナチ親衛隊のようにならないように。…

のらねこ
13日前
1

【797回】高松美咲「スキップとローファー 10巻」

前巻から、友人を連れて主人公の故郷に行くエピソードが描かれていた。 本巻は、その続きである。 主人公の故郷が、能登半島ではないか?と気になってはいた。その通りだっ…

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2週間前
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【796回】渡辺和子「置かれた場所で咲きなさい」

うつ状態では決して開けない。 置かれた場所で、何をどう咲かせろというのか。怒りが湧いてくる。 そして、咲かす気がない、力もない自分を責める。 でも、変わってきた。…

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2週間前
3

【795回】沼田和也「牧師、閉鎖病棟に入る」

牧師が、精神科の閉鎖病棟に入院する? 牧師、精神科、閉鎖病棟というあまりつながらないように見えるキーワードで構成された本。 著者と自分の共通点が身に沁みる。 す…

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2週間前
5

【794回】上村真也「愛をばらまけ 大阪・西成 けったいな牧師とその信徒たち」

再読なのだが…初めて読むかのようにスルスル読んでしまう。 大阪・西成。釜ヶ崎のそばにある信徒20名程度の小さな教会の誕生と日常のドキュメント。 ホームレス。酒に…

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2週間前
2

【793回】堀川惠子「教誨師」

再読。ページを捲る手が止まらない、という本ではない。教誨は「受刑者に対して行う育成を目的とする教育活動」である。それを行う教誨師の相手は、死刑囚だ。社会復帰を望…

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2週間前
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【792回】最首悟「能力で人を分けなくなる日」

最首悟と3人の中高生の対談。 人は能力によって、価値が決まるのか。生き死にを決められるのか。 人は…自分という一人ではない。相手とともに作られていく。 この「あ…

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2週間前
【807回】姫野桂「ルポ高学歴発達障害」

【807回】姫野桂「ルポ高学歴発達障害」

例えば、「空気を読めない」「マルチタスクが難しい」「言葉をそのまま受け止める」「思いついたら考えるより動いてしまう」「考え込む結果、人の話を聞いていない」「覚えるのが苦手」などの様々な行動特性は発達障害がある人が有している特性として考えられる。

本書では、そのような生きにくさを抱えながらも、有名大学から社会に出た人たちのルポだ。すべからく、社会人になって苦労している。

本書は、当事者のルポ、発

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【806回】阿部恭子「高学歴難民」

【806回】阿部恭子「高学歴難民」

「東大、京大、阪大、名大、北大、九州大…なんて頭いいんだろう」

20世紀末、高校生だった僕にとっては、手の届かない狭き門。
ああ、有名大学に進んだ人たちには、エリートコースが約束されているんだな。
僕には縁のない世界だな。

時は流れ、「高学歴」の人たちが社会の中で苦しむ本が登場した。
エリートだから、世の中を進みやすいはずでは?いや、そんなことはない。
勉強は得意でも、社会に出て、会社で働く生

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【805回】藤原正範「罪を犯した人々を支える」

【805回】藤原正範「罪を犯した人々を支える」

例えば、相模原障害者施設殺傷事件のような大変な被害を及ぼした殺人事件の裁判報告は、報告されていると思う。
この本は、小さな小さな裁判の様子を丁寧に描写した本である。「覚醒剤、窃盗、詐欺」といった目立たない小さな事件の裁判傍聴記録が提示される。

というのが、この本の趣旨である。

第四章「社会福祉士が刑事裁判の支援する」とあるように、読み終えて、司法には福祉が関わってきていることを確認した。
犯罪

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【804回】安部公房「カンガルー・ノート」

【804回】安部公房「カンガルー・ノート」

僕が大好きな漫画に、ジョジョの奇妙な冒険がある。
合計120巻を超えるストーリーの壮大さ。そのような中で、生物の体に植物が関わってくる場面も登場する。
第4部の猫は、植物と同一化する。
第6部の主人公は、体から植物が生えてくる。

そういえば、手塚治虫「ブラックジャック」でも、体から芽が吹き出してくる少年の物語があったな。

何にせよ、体から植物が生えてくるという表現は異質である。恐怖がある。

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【803回】春こそ新年

【803回】春こそ新年

朝6時。
洗濯物を干すために外に出る。朝の光と温度が、一日の始まりの香り。今日も生きている!命の確認をする僕を包み込んでくれる。
鳥が、急にこちらへ飛んできた。ピピピピピ。
鳴いている。
僕の方を向いて、ピピピピピ。
まるで手が届くような位置で、電線の上で、鳴いている。
僕もピピピピピと返したらいいのか?
言葉での返答が思いつかず、笑顔を返す。
鳥は首を傾げて去っていく。

朝はいい。毎日が新たな

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【802回】「日本全国 地元パン」から社会の授業を空想して…

【802回】「日本全国 地元パン」から社会の授業を空想して…

以下の地元パンについて、「製造地」「製品の特色」「価格」「北海道で買う方法」について調べよ。

1)クリームボックス
2)頭脳パン
3)サラダパン
4)マンハッタン
5)食パン「むろらん」
6)学生調理
7)チョコブリッコ

学びのゴールと、学びの方法が具体的に示す必要があるだろうな。
調べた結果をどういうまとめ方をするのか。
調べる方法には何があるのか。

などと空想して遊ぶ。

社会科の学習指

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【801回】甲斐みのり「日本全国 地元パン」

【801回】甲斐みのり「日本全国 地元パン」

表紙を見るだけで、口腔が刺激される。腹減った。

2024年の時代でも、これほど、各地域にしかも何か懐かしさを漂わせるようなパンが存在していることに、僕は敬意を表するッ!

本書で記載されたパンの中で、特に手に取りたいパンを5つに限定して書いてみる。

1)福島県の「クリームボックス」

2)石川県の「頭脳パン」

3)滋賀県の「サラダパン」

4)広島県の「メロンパン」

5)福岡県の「マンハッ

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【800回】勝田茅生「ヴィクトール・フランクル それでも人生には意味がある」

【800回】勝田茅生「ヴィクトール・フランクル それでも人生には意味がある」

第2次世界対戦での、ドイツが行った歴史上最悪行為の虐殺が行われた「絶滅収容所」の体験を記した「夜と霧」の作者、精神科医・心理学者の「ヴィクトール・フランクル」
何度か、本を開いてみたが、どうしてもすっきり理解できない言葉がある。理解できないというより、忘れてしまう言葉。

「人生が私たちから何を期待しているのか」

自分の人生に何の意味があるのか。
自分の中へ中へ降りていって考えてしまう。答えはも

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【799回】細見均「絵心がない先生のための図工指導の教科書」

【799回】細見均「絵心がない先生のための図工指導の教科書」

本書を手にしたのは、出版社のページで目次を確認したからだ。
つまり、「図工の評価について知ろう」と「不安解消用具指導のポイント」である。

特に、「作品の評価の仕方」の項は、強く唇を噛んでしまった。
どれだけ、今まで、「本人が楽しそうだからいっか」「一生懸命やっていたなあ」「思い思いの作品を作っていた」と感覚で評価していたか。

おそらく生徒は、自由に作った、楽しかった。けれど、これが何の勉強にな

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【798回】バスティアン・ハイン、若林美佐知「ナチ親衛隊(SS)」

【798回】バスティアン・ハイン、若林美佐知「ナチ親衛隊(SS)」

ナチスの親衛隊の誕生、拡大、実験や虐殺、戦後の裁判、ドイツ社会への復帰まで。

偏った考え方を持つカリスマを称える群衆が、日本でナチ親衛隊のようにならないように。

ところで、ナチ親衛隊は、国民の密告を受けてユダヤ人を見つけ捕らえていた。特に日本のように閉塞性が高い社会———右に倣えといえば、右に倣うような社会―———カリスマの有無は問わないか。空気が醸成してしてしまう。差別せよ、見つけろ、訴えろ

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【797回】高松美咲「スキップとローファー 10巻」

【797回】高松美咲「スキップとローファー 10巻」

前巻から、友人を連れて主人公の故郷に行くエピソードが描かれていた。
本巻は、その続きである。
主人公の故郷が、能登半島ではないか?と気になってはいた。その通りだった。
巻末に著者の思いが書かれていた。
著者の親族も地震に巻き込まれたこと。
著者が描いていた景色は消えてしまったこと。
この漫画の世界の能登は、地震もなく、同じ景色が続いていくと思う。
自身の大事な故郷を漫画で描いていたのに、現実では崩

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【796回】渡辺和子「置かれた場所で咲きなさい」

【796回】渡辺和子「置かれた場所で咲きなさい」

うつ状態では決して開けない。
置かれた場所で、何をどう咲かせろというのか。怒りが湧いてくる。
そして、咲かす気がない、力もない自分を責める。

でも、変わってきた。
咲かす咲かさないはどちらでもいい。
咲かせなければならないとも思わない。
自然と咲いてくれるでしょう。
やっと、渡辺和子の言葉と向き合えた。

今を苦しむ子どもたちが目の前にいたら、今をまず楽しんでほしいと願う。そのために何ができるか

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【795回】沼田和也「牧師、閉鎖病棟に入る」

【795回】沼田和也「牧師、閉鎖病棟に入る」

牧師が、精神科の閉鎖病棟に入院する?
牧師、精神科、閉鎖病棟というあまりつながらないように見えるキーワードで構成された本。

著者と自分の共通点が身に沁みる。

すなわち、

という姿勢。もう20年以上前になる学生時代の自分。今は逆に、「他者」ではなく「ありのままの理想の自分に到達できない自分」を断罪し続けているのだ。

責める方向が他者か自分か。責めながら生き続けてしまっている。
仕事がうまくい

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【794回】上村真也「愛をばらまけ 大阪・西成 けったいな牧師とその信徒たち」

【794回】上村真也「愛をばらまけ 大阪・西成 けったいな牧師とその信徒たち」

再読なのだが…初めて読むかのようにスルスル読んでしまう。

大阪・西成。釜ヶ崎のそばにある信徒20名程度の小さな教会の誕生と日常のドキュメント。

ホームレス。酒に溺れる者。お金を持って消える者。犯罪経験者など。社会からはじかれてしまった人たちが信徒となり、牧師西田好子のもとに集まる。

まったくほのぼのとしたものとは対極にある。

ところが、真剣に人に向き合い続ける世界は、嫉妬さえ感じる。

西

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【793回】堀川惠子「教誨師」

【793回】堀川惠子「教誨師」

再読。ページを捲る手が止まらない、という本ではない。教誨は「受刑者に対して行う育成を目的とする教育活動」である。それを行う教誨師の相手は、死刑囚だ。社会復帰を望めない、死ぬために生かされている者たちに何ができるのか。ページが重い。

死刑囚の心を救う。
ところが、そこに奢りを感じた教誨師は、死刑囚の声をただ聴く、そして死刑囚の横にただ在るようになる。
自分自身の弱みもさらして。

この世に存在して

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【792回】最首悟「能力で人を分けなくなる日」

【792回】最首悟「能力で人を分けなくなる日」

最首悟と3人の中高生の対談。
人は能力によって、価値が決まるのか。生き死にを決められるのか。

人は…自分という一人ではない。相手とともに作られていく。

この「あなた」は私にとってどんな能力や価値があろうとも関係ない。
恋人や家族のような濃厚な関係とも限らない。

僕が、同僚A先生を頼り、A先生が僕に仕事を依頼する。
僕がB先生に悩みを語り、B先生が僕に愚痴を吐く。

同僚性を出せば、それぞれの

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