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小説「真夜中に目が覚めた」

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「真夜中に目が覚めた」で始まる、結婚とは、夫婦とは、家族とは、幸せとはを綴った短編連作。
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#チーズケーキ

【第九夜】探し物

【第九夜】探し物

 真夜中に目が覚めた。

 また夢を見た。行きつけの喫茶店を飛び出し、開かないドアをただ見つめて立ち尽くす自分。叶わない想い。届かない気持ち。あの時から、俺は立ち尽くしたままなのかもしれない。

「なんかあったら、まあなんもなくてもさ、あいつの代わりに手貸すから、いつでも連絡してこいよ」

 佐知子の告別式の時、俺は美幸ちゃんにえらそうにそう言ったけど、本当は人の心配をしている場合では

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【第十夜】原動力

【第十夜】原動力

 真夜中に目が覚めた。

 ふとん争奪戦で敗北した結果、寒さに目を覚ましてしまう。他人だった二人が一緒に暮らし出すといろんな発見があるものだ。美優がこんなに寝相が悪いとは知らなかった。

 結婚する前、よく一緒に旅行にいっていたけど、ホテルの予約は必ず美優がしてくれて、段取りいいやつだなと思っていたけど、思えばいつもツインルームだった。

 もちろん結婚して新居に引っ越す際、布団を敷いて別

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【第十一夜】半分こ

【第十一夜】半分こ

 真夜中に目が覚めた。

 暗闇で寝返りを打つと、ふとんから追い出されて少し冷たくなってしまった喬の手の平が指先にふれた。ぎゅっと掴むと寝ているはずの手が握り返してきて、思わず顔がにやける。寝相の悪さで丸めとってしまったふとんを元に戻して、喬の肩にかけ直した。

「いってきまーす」

「いってらっしゃい」

 まだ半分眠ったままの頭で喬を送り出すと、私は湯呑に注がれたばかりのあ

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【第十四夜】幸せの温度

【第十四夜】幸せの温度

真夜中に目が覚めた。

暗闇の中で、ママの手を探してぎゅってしたら、ママがぎゅって握り返してくれた。ママは体温が低い。いつも触られるとヒヤッとする。サチコは体温が高いから、冬はいつもママがサチコにくっついてあったまって、夏はサチコがママでひんやりする。サチコとママの手のひらの体温が一緒になる頃にはまた眠りについていた。

「いってきます!今日は絶対7時には帰るからね!」

ママはいつもお仕事が忙し

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【第十五夜】涙の理由

【第十五夜】涙の理由

真夜中に目が覚めた。

夢を見ていた。佐知子に振られて、開かないドアの前に立ち尽くす若い頃の自分。

一瞬、現実に意識が戻り、夢うつつを彷徨いながら、再び眠りに落ちると、今度は家路につく途中、美幸ちゃんとさっちゃんに会って、一緒にスーパーに買い物に行く年老いた今の自分がいた。

目が覚めたとき、また泣いていた。年をとると涙もろくなる。

昨日も勝手に涙が溢れてきた。4年ぶりに食べたマイキーのチーズ

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