大学入学資格検定

戦略的モラトリアム【大学生活編⑦】

日時・天候

8月・夏季休業・毎日晴れで毎晩熱帯夜

大学生初の試験は終わりを告げた。そのまま夏休みだが、どうもすっきりとしない。終業式なるものがあるわけでなく、なんとなく休みにフェードインしてしまうので、気持ちの切り替えができないのだ。それはそれで中・高と違ってよいのだが、何となく腑に落ちない気分だ。試験の出来はよく分からないが、自分なりにベストを尽くしたと思う。今となってはどう足掻いても後の祭

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戦略的モラトリアム【大学生活編⑥】

日付 7月中旬  試験終わり次第各自夏季休業!

曇り空の日曜日。鉄塔は相変わらず天を衝くような高さでキャンパスの横に鎮座されている。どんよりとした曇り空と街中の雑多。妙に静まり返ったキャンパス。部活動だろうか、数人のユニフォームが歩いている。講義はないので、日曜の大学は日ごろの雑多とは比べ物にならないほどのがらんどう。

シンと静まり返った大学図書館は自習室には10人くらいの学生が見える。流石に

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戦略的モラトリアム【大学生活編⑤】

7月初旬 ジリジリと焼けつく太陽と共に陰気なココロ

見知らぬ天井

エヴァンゲリオンのタイトルのような無機質な白。
壁には雑多にプリントが貼り付けられ、天井はのし掛かるような白の空間に僕はいた。カウンセリングルームである。情けない話だが、不眠症になりつつあり、不安感が拭えない。空間を埋めるように敷き詰めた時間割が試験前になって自分を苦しめていた。高校の定期試験以来の緊張感、いや、あの頃とは

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戦略的モラトリアム【大学生活編④】

日付 6月某日 梅雨はどこへ?

常夏の楽園ベイベー

東北では感じたことのないような暑さが僕を襲った。ジリジリと照りつける太陽とネトッと絡み付く湿気。そして、時折やって来るゲリラ豪雨。

大学の初体験の他にもこんなにも未体験があったとは……。それはそれで楽しいことなのだが。ごった返すような大人数の講義、教室移動で軽い運動と、耳にはお気に入りの音楽で毎日を埋めていった。そして、こんな社会不適

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戦略的モラトリアム【大学生活編③】

5月初旬 鬱陶しい花粉症と蒸し暑さの足音。

葉桜からの木漏れ日が、ギラギラした大学生活をレジャー気分に変える。カリキュラムが始まった。前期試験が7月から始まる。このことを念頭に入れ毎日を綱渡りのように生きるか、いや、もしくは部活やサークル、はたまた合コンやら飲み会やら、そんな世俗にかぶれた大学生の日常に埋もれるか。

集団生活なんて本当に久しぶり。あの鬱陶しかった高校生活や中学生活のように周りの

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戦略的モラトリアム㉘*完結

合格発表の日、僕は掲示板を見に、大学に向かった。受験番号と掲示板の睨めっこになれてない僕はドキドキと慟哭を刻みながら、早足で歩いていたと思う。
 大学に着くと、すぐに掲示板の場所が分かるように立て札が立っていた。僕は夕方に行ったためか、誰もいなかった。閑散としたキャンパスは耳鳴りがするぐらい静か、とても静かだった。胸の高鳴りは……不思議となかった。いや、全くなかったといえば嘘になる。いくらかの不安

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戦略的モラトリアム㉗

二〇〇〇年 一一月 受験日    天気 晴れ  舞台 専門学校の寮 
     精神状態 普通

 早朝。僕は部屋の電気を消すと、静かに寮を後にした。足取りは速く、軽快なリズムを刻んでいた。駅に着き、電車に乗り込むと、休日であるためか、人はまばらだった。都会の喧騒が目覚めるほんの少しの時間。それが今だ。吐く息は白く、景色は透明度を増す。ビル群はただ地球に刺さったまま動かない。電車の中から眺める都会

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戦略的モラトリアム㉖

翌日、専門学校に行くと、僕は彼に筆舌に尽くしがたいほどの感謝の気持ちを伝えた。それが彼との最後の会話となることを無意識で予見していたかのように……。彼は専門学校を休みがちであったが、その日から完全に来なくなり、どうなったのか分からない。ただ、
 「じゃあな。いい旅を祈る!お互いな(笑)。」
 とメールで送ってきたのを最後に携帯電話を解約していた。僕はきっと海外に行ったのだと信じることにした。

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戦略的モラトリアム㉕

二〇〇〇年  一〇月上旬  天気 晴れ   場所 都内の専門学校
    精神状態 妙な高揚感

いつものようにせわしない毎日を送っている。大検取得から一年というのに、僕はあのときのとめどなく溢れる恐怖をまだ覚えている。
流れるいわし雲。まだ少し暑い日があるというのに、空はすっかりと秋の装い。僕はそれがとてつもなく怖かったんだ。
行雲流水とはいうけれど、僕は澱の中に生きる人間。静止しているわけでは

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戦略的モラトリアム㉔

数日後、僕はまたバイトをしていた。深夜バイトは金がいい代わりに次の日がキツイっていう欠点もあった。
今日は二人一組の仕事。誰が僕のパートナーになるのか現場に行くまで分からない。一体誰だろう。現場に行くと所謂好青年の象徴がそこにいた。
「どうも、はじめまして。」
初顔合わせの新人らしい。一緒に仕事をしていく上で、別にルックスは関係ないがちょっとした敗北感が僕の中にあったことは言うまでもない。
数時間

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