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人工知能の見る夢は AIショートショート集

人工知能の見る夢は AIショートショート集

読了。

現代の技術的観点からSF小説を集めるという、少し珍しい切り口のオムニバス。
わりと粒揃いな印象かしらん。

しかしもはやSFと現実はかなりクロスオーバーしてきてるなあ。
1行感想いきます。

・即答ツール 若木未生
 いかにもなショートSF、ライト(軽)

・発話機能 忍澤勉
 センチメンタルでウェット

・夜間飛行 宮内悠介
 暗転、会話劇なのだがしかし自分の脳ではうまく再現できず。

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時砂の王 小川一水

時砂の王 小川一水

読了

小川一水は今時珍しい?ハードなSFを書く人というイメージだけど
これもいかにもSFなSF
ふと思うに今の10代は「SF」という概念というか手触りはわかるのだろうか
現代はもはやSFを追い越しつつある今日だからなあ

時を遡りながら絶望的な戦いをし続ける、というシチュエーションが正にSF。これもうどうしようもないやんけ的絶望感の描写もなかなか素晴らしい。良い意味でも悪い意味でも大河ドラマ風な

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ふむふむ―おしえて、お仕事!  三浦 しをん

読了
これ、もともとyomyomで連載していたやつなのね
ということで再読です。
内容はほとんど忘れているので新鮮に読めてしまうのが切ない。

少し珍しい仕事をしている方々(女性)に著者がインタビューをしていく本
こういう「知らない世界のディティール」というのは面白い。

ふわっとした仕事論とかは大嫌いなのだがディティールを持っている
仕事話は面白く聞けてしまうのはなぜだろう。
語り手の意識が自分

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有害無罪玩具 / 詩野 うら

有害無罪玩具 / 詩野 うら

すごいねえ。榎本俊二の「ムーたち」を彷彿とさせるような漫画。

小説や漫画は主に「人間を描くもの」とそれ以外になるのだけど(この言い方卑怯かしらん?)
物語というのは基本的にはSFだろうが時代劇だろうがギャグ漫画だろうが
人間を描くものだし、人間が描かれていない物語はやはり退屈なのである。

ただこの漫画は正に後者というか、思考実験的世界がひたすらに描かれている。出てくる人間は人としての個性はあま

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インザヘブン 新井素子

インザヘブン 新井素子

読了。

新井素子の文章は力強く、THE口語でがしがしと読ませる。
読ませるんだけどいかんせん話の内容に救いが無さすぎるものが多くてしんどい。

しんどいよー。
弱っているときに読んではなりません。

ただあとがき何かを読むに、今はこういう話を書かなくてはいけない時期なのでしょう。
話を綴ることによって再生するということもあるのです。きっと。

物を作り続けるには名作と佳作ばかりでなく、迷作や実験

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5分間SF / 草上仁

5分間SF / 草上仁

読了。

まさにオールドスクールな香りのする一冊。
四角いロボットとか、巨大電算機が出てきそうな
なかなかこれはこれで良い。

僕は1980年生まれだけど。
息子はどのようなSFを読むのだろうか。

小説、というものは多分まだしばらくは無くならないと思うけど
SFで描かれる世界をもう現代はかなり追い越しにかかっているくらいだからなあ。

「人類に残されたフロンティアはもうないのではないか。」
とい

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優雅で感傷的な日本野球 / 高橋源一郎

優雅で感傷的な日本野球 / 高橋源一郎

読了。

筒井康隆のエッセイにて勧められていて読みました。
面白い、、、といえば面白い?
メタ的なユーモアでくくられている本だと思うんだけど
自分にはちょいとハードだったかなあ。

もうちょっと教養がある人ならば、より面白く読めそうなカンジ。
知的なユーモアというかパロディはやっぱり前提の知識が要るようでして。

内容は完全ナンセンスなお話でもあり
ぞっとするような未来の話のようでもあり
「野球と

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FACT FULLNESS ハンス ロリング

FACT FULLNESS ハンス ロリング

読了

面白かった。
ただ、この本に描かれていることが「ファクト」なのかは少し冷静に見る必要もありそう。

作者のハンス・ロスリングの絶著(という言葉はあるのだろうか)
こういう「楽観的に物事を心配する」態度の人間は実に良い。というか好きだ。
問題を見据えつつも底に楽観が流れているタイプの大人というのは
憧れる対象である、かっこいい。

本の主題としては
・世界は皆の努力により確実に良くなってきて

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筒井康隆 / 創作の極意と掟

読了。
筒井康隆が何を思いつつ文章をこさえているのか、という体で書かれた本。

(今より)うまい文章を書きたいという思いは自分には全くないので
単に筒井康隆の本を読みたくて購入。

しかしながらいろいろと、ほへーと思う箇所はあったり。
色々と著者のおすすめの本なんかもしれて良かった。
「嵐のピクニック」と「優雅で感傷的な日本野球」はこの本を読んで知りました。幸せー。この世界は退屈のようで未知に溢れ

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諦める力

読了

為末大はツイッターで面白い(興味深い)ことをよく言っているイメージ

こういう本はなんと言えばよいのだろうか、エッセー本?
いわゆる飲み食いしながらつらつらと話しているようなことを書いてあるので
つるりと読みやすいし、飲みながらなかなか面白い話したなあ感が味わえる。

ただ、つるりと読めすぎて小説を読んだ時のようながっつり感はないので
なんだろうか、Webで読むと濃いけど本として読むと薄く

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コンビニ人間【読了】

コンビニ人間【読了】

すごかった。

ジャンルは何かと言われるとどうにも定義が難しい
ハッピーエンドともバッドエンドとも取れない終わり

読後感がいいとも悪いとも言えないが
なにかズンとしたものが居心地わるく残る感覚

いわゆるサイコパス気質な一人称視点で見る世界が新鮮
そのせいで主人公にもうまく感情移入できないし
多くの人が一番近しく感じられるのは白羽なんじゃないだろうか

「世間から責められるやりかたを全力で否定し

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メランコリア(道満 晴明)

メランコリア(道満 晴明)

読了

上下巻の2冊

いやはや、すごい。良かった。

この作者のことは知らなかったのだけど
有名な人なのかしらん。無名ってことは無いと思うけど。

話のジャンルとしてはSF(スコシ・フシギ)系
短編?連編?短編が繋がりつつ話が進んでいきます。

絵は今っぽいとえばいいのだろうか。
綺麗だけど好き嫌いはありそう
ドライで外連味のある感じ、微エロ要素ありますけど
星新一でのエロ要素くらい?もうちょっ

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ヨハネスブルグの天使たち

ヨハネスブルグの天使たち

読了。

Why?
Why?Why?
Why?Why?Why?

何故なのだ〜
宮内悠介といえば盤上の夜が素晴らしく、かなりショックを受けた記憶がある。

言葉にできないけど描いて欲しかった世界がここにあるではないか、というようなうれしくやしい衝撃を受けたのです。

しかしルクセンブルクの天使たちは自分には全然だったな〜

そもそもが自分の読解力の問題もあると思いますが
内戦もの(戦記物?)は読ん

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