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好きな一冊:j.pウィトキンインタビュー


昔々から気になる存在、アメリカの写真家、ジョエル・ピーター・ウィトキンについて語りたい日です。
前向きな内容ではあるのですが、
“死”に関連する写真家であり、わたしのテーマもその事に関する内容となっている事をご了承の上読んでいただけると嬉しいです。


前提として



わたしの好きな作家ではあるのですが、“好き”は少し語弊があります。
彼の内面にとても興味があり、何故その表現を必要としたのか、と分析する対象としてとても好きなのです。
作品自体を好んでいる訳ではありません。
作品には“出会ってしまった”のですが、目を背けることが出来ませんでした。
なぜ引きつけられるのか、なぜそばに置いておきたいのか、ずっと考え続けている存在でした。

j.pウィトキンについて

ジョエル・ピーター・ウィトキン“Joel-Peter Witkin”( 1939年9月13日 -)は遺体や身体に障がいがある方を主な被写体としている写真家です。
メキシコに住んでおり、遺体安置所から許可を得て引き取った遺体を、自身の世界観の中に写し込みます。モノクロでバロック調の装飾、静寂で乾いた雰囲気が漂っています。
あくまで私見なのですが、写真の中の彼らは、手の届かない、尊厳が守られた尊い存在のように感じられるのです。
直接的な性表現もあり、“興味”を持たれる作家であり、解釈は人それぞれなのですが。

わたしが惹かれる理由は、根源が“死”への恐怖と克服、生への渇望だから、だと思っています。

▪️もっと詳しく:
雑誌のインタビューがとっても良かったのです。

▪️もっと詳しく:Wikipedia

出会い

出会いとは、不思議なものです。
昔から、自分が欲さなくても勝手に情報が入ってくる、どんどん情報が新たな情報に繋がっていく、という不思議な現象がよくあります。運が良いのか何なのか不明ですが、精神的な波長やトーンが同じかも知れない、と感じています。

ウィトキンについては、当時好きだった作家が彼を題材にしており、興味を持ったためでした。
小学校高学年の時に知り、中学生頃に日本橋丸善の洋書や美術書の並ぶコーナーで写真集を購入しました。かなり猟奇的な表紙なので母も困惑したと思います。

“共通点”を感じているところ


彼が初めて“死”と出会ったのは物心つかない幼い頃、車の事故の現場に居合わせた時です。
同じ年頃のこどもの“死”に理解せぬまま出会ったのは、彼に大きなこころの傷を与えたのではないかと感じます。

わたしが、小学校3年の頃大好きなおじいちゃんが立て続けに3人亡くなりました(2人は祖父で、1人は友達)。3人とも老衰で、天寿を全うしましたが。大切な存在の命が途絶え、話しかけても応えてはくれない事、二度と生きた状態では会えない事、抱えきれない大きな喪失感はわたしに大きな衝撃を与えました。その時から“死”に囚われ、恐怖とそれを理解するための死への執着、そして克服の旅のようなものが始まりました。
死を理解しようとしていた時期には、医学書や猟奇的なものも含めて読み調べ漁り、心理学などもかじっていました。
最終的にたどり着いた結論は
「死は平等にやってくる事であり、死に執着する必要も、とらわれる必要も無く、ただ現在の生にのみ集中し、人生を謳歌する」ということです。


わたし自身が、死に関するものを繰り返し見て理解しようとしていたのはある意味トラウマの副反応(反復行動)だったのではないかと考えています。
そして、ウィトキンの写真を撮る行為もトラウマの副反応なのではないかと思い至ったのです。
彼の作品は、静かで穏やかな時間が流れていて、興味本位やインパクトを狙った、死者を凌辱した行為などと感じたことはありません。本人の意識・無意識に関わらず、かつての光景を反復する事で“死”を理解し、慈しみ、自分を癒しているのかも知れないと思ったのです。

トラウマへの副反応
大きく以下のような反応が起きると言われています(素人がかじった知識なのでご参考までに!)

・他者への攻撃(自己防衛)
・現実から内面への逃避(自己防衛)
・反復行動
・自己破壊(自傷行為など)
・現実感の喪失
・無関心(自己防衛)

▪️もっと詳しく:文科省-外傷体験とは
わりと詳しく説明されていたので、興味のある方はぜひ。


あとがき


誰にでも平等にくるけれど、普段意識などしない“死”に、唐突に近づいてしまった時、その恐怖や喪失感は自身の存在をも揺るがしてしまう大きな衝撃だと思います。精神的なケアなど、周りに専門的な知識を持った人がいない限り、すぐに受けられるものではありません。
理解したいがため近づき囚われ、知らないうちに大きく空いた、こころの穴に落ちてしまう危険性もあります。死を理解することが、それに近づく事ではなく、生きる喜びに気付くきっかけになる事を切に望みます。

今回は(も?)なかなか人に話しづらい内容だったのですが…、拙い文章でうまく伝わるか不明ですが…、生きることに喜びを見出す楽しさ、今出会えている人々が今日も元気なのは、本当は奇跡的な事なのよね、という気持ちを共有出来たら嬉しいです。

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます!とっても嬉しいです!

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