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論理的・批判的思考

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ロジカルシンキングやクリティカルシンキングに関する自分の考え方をまとめています。
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記事一覧

抽象と具象の関係にふと気付いた話

抽象と具象の関係にふと気付いた話

日経を見ていたら、言葉の力というコラムがあり、そこに抽象について書いてあった。

すがたを漢字で書くと、姿の他に象(すがた)がある。象は、単体では動物の象という意味にしかならないが、象るといえば「かたどる」という意味になり、確かにかたどればすがたをなすのだろう。

抽とは、引き出すことだ。抽出などはまさにひきだすことであり、ひきだしは抽斗と書く。

抽と象を合わせると「象を引き出すこと」になる。抽

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洞察するときにはクリティカルシンキングを使う

洞察するときにはクリティカルシンキングを使う

今回は、クリティカルシンキングと洞察について書きたい。

他者の意図を洞察せよということは多いがやり方が分からない人も多いだろう。

例えば、オフィスで上司から「今日、暑くない?」と言われたら、どんなことを考えるだろうか。

1つ目は、「なぜ」である。「なぜ、自分に向けてそんなメッセージが発信されているのか」。これを自問自答する。そうすると、「特に意味はない単なる世間話」「共感を求めている」「暑さ

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日本人向けのロジカルシンキング

日本人向けのロジカルシンキング

ロジカルシンキングは何をするにしてもベースとなるスキルのため、人に教えられる程度には勉強している。

ただ、ロジカルシンキングはどうも海外からの輸入品な感じがある。

親世代や学生、研修のない会社の社員、一部のパフォーマンスに成長余地が大きい人たちの中に共通して話が通じない現象が見られる。稀に、有名企業でも数名の参加者にとても理解しがたい理屈で噛みつかれることもある。

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先日、丸の内の丸善

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筈(はず)について

筈(はず)について

職場近くにつのはずという天ぷら屋がある。天ぷらのつな八が経営しているようだ。

つなはちを東北っぽく発音してつのはずなのかと聞くと、古い町名に角筈というところがあったという。西新宿や歌舞伎町のあたりが該当し、角筈と柏木が合わさって淀橋となった(ヨドバシカメラは新宿駅の前なのでわかりやすい)。

筈という漢字が地名に使われるのは珍しい。

筈は「提出したはず」の最後の「はず」。「そんなはずはないさ」

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意識に関する雑な話

意識に関する雑な話

「知覚」に興味を持って色々と調べていた時期があった。

思考活動は知覚、認知、判断の順に進むが、そこに意識が介在することがある。無意識が判断に影響することはあるし、意識せず自動思考が起こることもある。また、直観や、中動態のような近接する概念が多々あって、難易度が高い。

その過程で「意識」を考えることは避けられなかった。意識とは何か。なかなか説明は難しい。

無意識、バイアス、意識改革、、、さまざ

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マジカルバナナでの連想

90年代にマジカル頭脳パワーという番組があり、そこでマジカルバナナというミニゲームをやっていた。

マジカルバナナ以前にも類似のゲームはあったが、すっかりこれに塗り替えられてしまった気がする。

マジカルバナナとは僕はこの番組を見たことがないが、ゲームは有名で、飲み会でよくやられていた記憶がある。ゲームの内容は、連想ゲームで、瞬時に発散的思考をすることが求められる。

リンク先にもあるように、「バ

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情報を整理して表現するには

情報を整理して表現するには

InfoMap法という手法を知った。

InfoMap法の原則は以下で、情報整理でよく使うものが綺麗にリスト化されている。

グループ化してひとまとまりにし、似た情報を同じチャンク(塊)に入れる、そしてラベルをつける。これは基本だ。ロジカルシンキング研修ではここをやることが多い。

次に、一貫性確保だ。用語などのゆらぎや表記を揃えることだ。僕の場合はビジネスライティング研修で触れている。

視覚寄

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倫理と論理-倫理観をどう育むか(5)-

倫理と論理-倫理観をどう育むか(5)-

これまで、倫理観をどう育むかということで、4回にわたって書いた。

前回の話はこちら。

ただ、これまで、倫理という言葉について書き漏れていたので、それを考えたい。

考えるための素材に、字形の似ている「論理」も合わせて、「倫理と論理」でこのシリーズを締めくくりたい。

倫理という授業が高校の頃にあって、論理と似た形をしているなと思った。似ているものには何らかの関係があることが多く、その差を理解す

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noteの話をまとめて講義を作る-ロジカルシンキング研修-

noteの話をまとめて講義を作る-ロジカルシンキング研修-

noteにネタを結構な数書いたので、それをまとめて研修の構成ができるかを考えてみた。

あと少し見えないものがある。

ロジカルとはまず、ロジカルとは何かから考える。よくわかる言葉ほど曖昧なものだ。ロジカルシンキングは論理的思考力だというのは説明にならない。

ロジカルも論理も筋道が通っていることであり、筋道が通っていれば、結果としてわかる。

筋道が通っているとは、主張に澱みがないことでもある。

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ロジカル/ロジスティクス/ログハウスの共通点とは?

ロジカル/ロジスティクス/ログハウスの共通点とは?

ロジカルって何と質問すると論理的という回答をもらって、あうあうすることがある。

ロジカル(logical)の意味を知るには語根であるlogの意味を正しく知るとよい。異言語の語根を知る際にはいくつかの英単語を題材に比較して考えて見るとすっきりわかることがある。

今回は、ロジスティクス、ログ、ログハウス、ダイアログ、-ロジーの5語から考えてみたい。

ロジスティクス物流と覚えている人が多いと思うが

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論理とはつながりの種類だという話

論理とはつながりの種類だという話

論理的とは筋が通っていることだという話を書いた。

あらゆるものを要素と要素の関係として見る世界観がある。論理思考もシステム思考もその一つだろう。要素に重きを置くか、関係に重きを置くかの違いはあれど、構成するものはさほど変わらない。

論理チェックとは論理チェックという言葉をよく使う。論理チェックとは、文章であれば、前の文と後ろの文、前の単語と後ろの単語などが正しい関係でつながっているか。そして単

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空雨傘と雲雨傘

空雨傘と雲雨傘

#ロジカルシンキング でよく使われる空雨傘。たまに雲雨傘と表現する人もいる。

空雨傘はマッキンゼー発のフレームワークとかいわれるけれど、出所がやや怪しげで日本のマッキンゼーでは使われるが、グローバルでは使われないとか、いやはや使われるとか諸説あるけれども、そんなところにいたことがないのでわかるわけがない。

雲雨傘はほとんど聞いたことがなく、あることを知っていたくらい。誤用な気すらするんだけれど

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分解は万能ではない

分解は万能ではない

手がつけられないなと思ったとき、分解することで手がつけやすくなることがある。かのデカルトも「困難は分割せよ」と言ったとか言わないとか。

分割することで、フォーカスが変わり、手が打ちやすくなる。要素分解とか要素還元は重要なスキルだが、分解することがゴールではない。

分解とは小さくすることだから、分解すればするほど小さい粒になる。つまり、マイノリティを生む。

例えば、かつては男女とか白黒で分けて

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直観から熟慮へ-思考力改善ドリル-

直観から熟慮へ-思考力改善ドリル-

一昨日、問題解決の研修で登壇し、ふとした気づきがあった。これまでにあらわれたことはなかったのだが、いわゆる「システム1」的な思考様式が顕著に現れる場に居合わせた。システム1は言わずとしれた直観型の思考様式で問題解決の研修の意図はいうなればシステム2へのシフトだ。こういうと難しく聞こえるが、簡単にいうと、思いつきではなく考えて結論を出すことに目を向けることである。

先日、「思考力改善ドリル」という

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