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読書感想文

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「愛の絵」著・中野京子 読書感想文

「愛の絵」著・中野京子 読書感想文

「怖い絵」シリーズでおなじみ中野京子さんによるわかりやすい絵画の解説文です。
今回のテーマは「愛」。
ギリシャ神話の神様や有名な画家の自由な愛、それに因む絵が紹介されています。

私は絵心もなく、特段知識もありません。
今まで絵を見て感動したのは藤城清治さんの影絵だけです。
それなのになぜこの本を読むに至ったかというと、文学と歴史が好きだからです。
歴史が好きな人ってたぶんミーハーだと思います。

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「ハロルドとモード」コリン・ヒギンズ著 読書感想文

「ハロルドとモード」コリン・ヒギンズ著 読書感想文

自殺の真似事を繰り返す19歳の青年ハロルドは、他人の葬儀に出席する事が趣味の1つ。
ある葬儀で、自分と同じ様に故人と無関係の老女モードと出会う。無邪気に盗んだバイクや車で走り出す79歳のモードと過ごすうち、その天衣無縫ぶりに魅了されるハロルド。

モードの話す言葉はいつも自由で優雅。
凡人の素朴な疑問に地球レベルで返す奇抜な言動にハッとさせられたり笑ってしまったり。
創作の中にいるアウトサイダーは

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「女装する女」著・湯山玲子 読書感想文

「女装する女」著・湯山玲子 読書感想文

テレビのコメンテーターとして活躍していた湯山玲子さんを久しぶりに見かけたのはこの動画。

テレビのコメンテーターをしている時よりよくおしゃべりをされていてすごいなー、頭の回転早いんだなーと感心し、そういえば話題になった著書があったなと思いこの本を読むことにしました。

テンポの良い文章にありがちな一文が短いものではなく、長めのわかりやすい造りが全体的になされています。
気になったのは、引き合いに出

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「確実にお金を増やして、自由な私を生きる!元外資系金融エリートが語る価値のあるお金の増やし方」著・肉乃小路ニクヨ 読書感想文

「確実にお金を増やして、自由な私を生きる!元外資系金融エリートが語る価値のあるお金の増やし方」著・肉乃小路ニクヨ 読書感想文

私は基本的にこの手の本は読まないのです。
本になった時点で古い情報だと思うから。
ビジネス系の文章は主に週刊誌で読みます。
似たようなものですけど、やや鮮度は高めです。

それでは何でこの本を読んだかというと、肉乃小路ニクヨさんのファンだからです。
付き合い長めの方はご存じだと思いますが、私は男性の女装、女性の男装、ビジュアル系、黒柳徹子、などちょっとわかりにくくてとても化粧が濃い人たちに惹かれる

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「続・窓際のトットちゃん」著・黒柳徹子 読書感想文

「続・窓際のトットちゃん」著・黒柳徹子 読書感想文

〈 私はいまでも、シェパードが道を歩いていると、つい小さい声で「ロッキー!」と呼んでしまう。 〉

「続・窓際のトットちゃん」の1行目はこうして始まる。
ロッキーとは、作者である黒柳徹子さん(トットちゃん)が子供の頃に飼っていた犬の名前である。確か、ロッキーはトットちゃんが外出中にいなくなってしまった。軍用犬として戦争に連れていかれたのだ。
私はこの1行目を読んだだけで胸が痛くなった。
私も15年

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小説「仮縫」著・有吉佐和子 読書感想文

小説「仮縫」著・有吉佐和子 読書感想文

大好きな肉乃小路ニクヨさんのYouTubeで紹介されているのを見て読み始めた。

有吉佐和子さんの作品は今まで映像でしか見たことがなく。
「和宮様御留」、「悪女について」、「不信のとき」など。
「仮縫」という作品は、以前に舞台化されていたことを知っていたのみ。

読み始めてまもなく会話の小気味良さに舞台にはぴったりの作品なのだと納得。

洋裁学校へ通う清家隆子は、学校の先生からオートクチュールデザ

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小説「水の中の八月」著・関川夏央 読書感想文

小説「水の中の八月」著・関川夏央 読書感想文

ある女優さんのことを調べているうちにこの本に出合いました。
かつて、表題作である「水の中の八月」はドラマ化されていたようです。
乱用されがちな「透明感」という言葉が良く似合う題名が残暑のお供にふさわしいと思い、手を出しました。

表題作を含めて7つの短編が収められている一冊。
この本にはある特徴があります。
すべての作品に在日朝鮮人、在日韓国人、韓国に住む韓国人など韓国に関わりのある人が必ず登場す

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小説「狼の幸せ」著・パオロ・コニェッティ 読書感想文

小説「狼の幸せ」著・パオロ・コニェッティ 読書感想文

あまりに暑いので、雪山が舞台の本を読んでしまいました。
ちなみに私は山より海派です。
どちらかというと、山は苦手。
見るだけで、人生の壁を感じてしまうのです。
「これより向こうへは行けませんよ」
と言われている気がして。

主人公であるイタリア人ファウストは、フォンターナ・フレッダという山にあるレストランで料理人の真似事をしている。
山へ来る前は都会で小説家として活動をしていた。
ロマンチストで傷

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「親不孝介護」著・山中浩之 川内潤 読書感想文

「親不孝介護」著・山中浩之 川内潤 読書感想文

編集者である山中氏の遠距離介護経験談とNPO法人となりのかいご代表である川内氏の解説によって作られた一冊。

実は、この山中氏の文章のリズムが私にしっくりこなかったのと、母と息子という対娘とのそれとは全く違う関係性への違和感が何とも心地があまり良くなくて、途中で読むのを放棄していました。

先月くらいにラジオをつけたら、山中氏か川内氏のどちらかが出演しており、親と同居している子供が介護が辛くて家を

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「書く力」 加藤周一の名文に学ぶ 著・鷲巣力 読書感想文

「書く力」 加藤周一の名文に学ぶ 著・鷲巣力 読書感想文

思想家・加藤周一の名文を編集著述業である鷲巣力が紐解いた一冊。

出だしは加藤周一の文章を意識した小気味良い短文が続く。
加藤周一の文章を一つ上げては、内容の運び方を説明するパターンが繰り返されていた。

近年ビジネス雑誌などで「良い文章」として紹介される結果を先に置いて内容を明かしていく「PREP法」を始め、加藤周一の作品で取られている様々な文章の書き方が紹介される。

鷲巣力によってどんどん解

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「明治・大正・昭和 不良少女伝 -莫連女と少女ギャング団」著・平山亜佐子 読書感想文

「明治・大正・昭和 不良少女伝 -莫連女と少女ギャング団」著・平山亜佐子 読書感想文

内容は題名の通りで、出だしはまるで大学の卒論のようだった。
本の最後に主要参考文献の羅列があるのだが、それの多いこと。
スマホで読んでいたので、量が多く感じたのかもしれないが、卒論感が最後まで色濃く出ている。

ひとつに不良少女といえど、やはり分類化はされているようで、興味深かったのは中間層にそれはいなくて、富裕層と貧困層に多いということ。
特にこの本では富裕層出身の少女たちの悪事が連ねられていた

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雑誌PRESIDENT「頭のいい文章バカな文章」 2023年4.14号感想文

雑誌PRESIDENT「頭のいい文章バカな文章」 2023年4.14号感想文

皆様よくご存じだろうが、やはり結論から書く文章が良いとされている模様でこの雑誌でも出だしがそうなっているものが多い。ああ、この文章もまさにそれ。

一方、ひきつける文章はそれとは逆に結論が見えないのが特徴とのこと。用途によるのだろうが、こちらに魅力を感じる。
そのほか、ネット記事副業やChatGPTについてのページも。
ネット記事の作業はChatGPTがそのうち全部やってくれそう。
読書感想文もし

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仏小説「青いパステル画の男」著・アントワーヌ・ローラン 読書感想文

仏小説「青いパステル画の男」著・アントワーヌ・ローラン 読書感想文

パリの弁護士ショーモンは古美術コレクター。オークション会場でもお馴染みの顔だ。その散財を妻であるシャルロットに咎められているが、古美術愛は止まらない。
ある日、ショーモンは自分にそっくりな男が描かれている青いパステル画と出合う。どうしても手に入れたいショーモンはオークションにて高額で競り落とす。
青いパステル画の中の男が自分にそっくりであるというのに、周りの人間は誰一人気づかない。腑に落ちないショ

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今回ご紹介するのはジュノ・ディアス作「こうしてお前は彼女にフラれる」です。「あのー」が多くてすんません。久しぶりの録音で緊張したわー。