けいりん

Radiotalk自主企画「#お題で創作」で朗読した作品などを発表しています。朗読等二…

けいりん

Radiotalk自主企画「#お題で創作」で朗読した作品などを発表しています。朗読等二次利用については、出典を明記していただければご自由にしてくださって構いません。報告は必須ではないですが、してもらえると喜びます。アイコンはシンガーでイラストも描いているNeneNoneさん。

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もくじ(題字・NeneNone)

短い小説をメインに発表しているけいりんのページですが、それらを種別にまとめてインデックスを作ることにしました。 どの種別もジャンルは多種多様で、基本的には互いに…

けいりん
1年前
5

春は名のみの……

 重く澱んだ空。ホームを冷たい風が吹きすぎて、ユカは身を震わせた。  暖かくなってきた、そう思っていたけれど、朝はまだこんなに寒い。  テレビのニュースによれば、…

けいりん
8日前
3

プロローグ(声劇台本)

【登場人物】  マミ♀(20)  ユカ♀(20) ※括弧内のシチュエーションは、状況をイメージしやすくするために付加したもので、効果音等を指示するものではありません。もち…

けいりん
8日前
2

はかない響き

 枯葉の散る音が聞こえる。  秋風が吹いたほんの一瞬、木漏れ日が目を刺し、思わず瞼を閉じた。その闇の中で、儚げな音は耳の奥をくすぐり、心を疼かせた。  目を開け…

けいりん
1か月前
3

【声劇台本】雪景

登場人物  順也♂  琴美♀ ※年齢は「成人、同年代」という制限内で自由に解釈可。 上演時間  10分弱 【本編】 順也:琴美……? 琴美:あっちゃー。見つかったか。…

けいりん
2か月前
5

牛フィレのパリ風メーテルドテルバター添え

「テキトー言ってやがるんじゃねえだろうなあのジジイ」  三度目の正直とはならず、車で屋敷の門を出た俺は吐き捨てるように言った。  となりで助手のマイト君が首を傾げ…

けいりん
3か月前
3

晴れた日のきなこ

「お昼、お餅焼くだけでいい?」 「いいよ。海苔、あったっけ」 「あるある。あとごまと、欲しかったら大根おろしも」 「いいね」 「それときなこ」 「あー」 「あれ? 嫌…

けいりん
3か月前
2

モテる部活

「部活決まった?」 「いや、まだ」 「全員入れって言われても困るよな。正直やりてえこともないし」 「だよな。中学も帰宅部だったし」 「あ、俺も俺も」 「あー。ぽいわ…

けいりん
3か月前
3

昨夜公開した声劇台本『夏祭りの待ち合わせ』ですが、テキストをコピペしたら場面転換部分の改行が消えちゃってたのに気が付いて、修正しました。

けいりん
3か月前
1

【声劇台本】夏祭りの待ち合わせ

登場人物  雄平(18)♂  礼子(16)♀  礼子(28)♀ ※礼子(16)と礼子(28)は同一キャストでOK 上演時間:50分程度 ※()内の状況説明は演者がイメージしやすいように付…

けいりん
3か月前
3

水ー族ー館

 水族館が嫌いだ。  別に嫌な思い出があるわけではない。というより水族館に行ったという記憶そのものがない。  正確には、幼い頃の記憶だろうか、朧げに、巨大な水槽の…

けいりん
3か月前
4

産みの苦しみ

 チェーンのスーパーマーケットやファストフード店に混じって個人経営のお好み焼き屋やラーメン屋、雑貨屋などが立ち並ぶ郊外の商店街を抜けた先、小さな公園の脇にいささ…

けいりん
3か月前
11

あの日渡せなかった言葉

 シャワーから出て部屋着を着ると、ちょうどスマホが通知音をならした。見るとあゆかからメッセージが届いている。 『家、帰ったよー』  俺は早速返信した。 『おかえり…

けいりん
3か月前
6

TRICK? OR TREAT?

「トリック・オア・トリート!」  あたしが開口一番そう言うと、ユウキは笑った。 「なんだよ、挨拶みてえに」 「なんだよノリ悪いなあ。雰囲気でしょ」 「いや、わかるけ…

けいりん
3か月前
3

やっと涼しくなった

 海沿いを走る列車の窓からぼんやりと外を眺める。高い空につられたように明るい硬質な光を放つ海は、夏の間のギラギラした輝きとはまるで違って見える。  もっとも、今…

けいりん
3か月前
3

大好きなあなたへ 〜声のお便り〜

あなたには、とびっきり素敵なお手紙を書いた人を知っていて。 そうでなくても、たくさんの人があなたに気持ちを届けているのも、間違いないだろうし。 だから、僕なんかが…

けいりん
3か月前
1
もくじ(題字・NeneNone)

もくじ(題字・NeneNone)

短い小説をメインに発表しているけいりんのページですが、それらを種別にまとめてインデックスを作ることにしました。

どの種別もジャンルは多種多様で、基本的には互いに関連もないので、発表順、或いは気の向いたところからテキトーに読んでいただいても問題はありませんが。

ついでに作品ページにはない、それぞれのお題の記載もしておきます。

マメにはやらないと思うけど時々追加していきます。

毎週ショートショ

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春は名のみの……

 重く澱んだ空。ホームを冷たい風が吹きすぎて、ユカは身を震わせた。
 暖かくなってきた、そう思っていたけれど、朝はまだこんなに寒い。
 テレビのニュースによれば、これから向かう先は暑いくらいの気温で、桜が満開らしいけど。
「冗談みたい」
 ついそんな言葉が口をついて出る。
 簡単には信じがたい。
 そんな場所があることが、ではない。自分が今から、まさにそこへ向かおうとしていること、数時間後にはその

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プロローグ(声劇台本)

プロローグ(声劇台本)

【登場人物】
 マミ♀(20)
 ユカ♀(20)

※括弧内のシチュエーションは、状況をイメージしやすくするために付加したもので、効果音等を指示するものではありません。もちろん効果音を入れてくださっても構いません。

※語尾、相槌などは、演じやすいように変更していただいて構いません。

【本編】

(羽田空港到着ロビー)

ユカ:あ、いたいた! ごめんね。電車、遅れちゃってさ。待った?

マミ:う

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はかない響き

はかない響き

 枯葉の散る音が聞こえる。

 秋風が吹いたほんの一瞬、木漏れ日が目を刺し、思わず瞼を閉じた。その闇の中で、儚げな音は耳の奥をくすぐり、心を疼かせた。
 目を開ける。舞い散る落ち葉。弱々しいけれども硬質で透明な光。午後の公園。
「どうしたの?」
 彼女は言う。僕は答える。
「いや。ただ、木漏れ日が眩しくて」
「止まらなくてもいいじゃん」
「危ないでしょ、見えないまま進んだら」
「手、繋いでるでしょ

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【声劇台本】雪景

【声劇台本】雪景

登場人物
 順也♂
 琴美♀
※年齢は「成人、同年代」という制限内で自由に解釈可。

上演時間
 10分弱

【本編】

順也:琴美……?

琴美:あっちゃー。見つかったか。

順也:お前、なんでこんなところに。

琴美:ちょっとね、雪が、見たくなって。

順也:雪、って。

琴美:すごいよねー、改めて見ると。
琴美:真っ白でさ。すっごい綺麗。
琴美:何年ぶりだろ。

順也:嫌いだ、って言ってたじ

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牛フィレのパリ風メーテルドテルバター添え

「テキトー言ってやがるんじゃねえだろうなあのジジイ」
 三度目の正直とはならず、車で屋敷の門を出た俺は吐き捨てるように言った。
 となりで助手のマイト君が首を傾げる。
「だったら端っからありもしないテキトーな料理名言えばいいと思うんですよね」
 俺は舌打ちする。
「テキトーに言ったのかもしれんぞ。その、なんちゃらバターが」
「メーテルドテルバター」
「そう、それが実在したのだって、偶然かもしれない

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晴れた日のきなこ

「お昼、お餅焼くだけでいい?」
「いいよ。海苔、あったっけ」
「あるある。あとごまと、欲しかったら大根おろしも」
「いいね」
「それときなこ」
「あー」
「あれ? 嫌い?」
「うん、食べられない」
「そうだっけ。前は食べてなかった?」
「そうなんだよね。去年から、急に、受け付けなくなって」
「アレルギー?」
「って感じじゃないな。他の大豆製品平気だし。ただ、ちょっとだけ、鼻がむず痒いような気はする

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モテる部活

「部活決まった?」
「いや、まだ」
「全員入れって言われても困るよな。正直やりてえこともないし」
「だよな。中学も帰宅部だったし」
「あ、俺も俺も」
「あー。ぽいわ(笑)」
「わかる?(笑)」
「見学にはいった?」
「うん。まずサッカー部だろ」
「なんだよ、やる気ない割には気合の入ったとこ見に行くじゃん」
「それな(笑) いや、どうせ入るならさ、モテる部活がいいなと思って」
「わかる(笑)それ重要

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昨夜公開した声劇台本『夏祭りの待ち合わせ』ですが、テキストをコピペしたら場面転換部分の改行が消えちゃってたのに気が付いて、修正しました。

【声劇台本】夏祭りの待ち合わせ

登場人物
 雄平(18)♂
 礼子(16)♀
 礼子(28)♀
※礼子(16)と礼子(28)は同一キャストでOK

上演時間:50分程度

※()内の状況説明は演者がイメージしやすいように付加したもので、必ずしも音を補う必要はありません。

※※フリー台本です。上演はご自由に。上演後であってもご連絡いただけると踊って喜びます。

【本編】

雄平・礼子(タイトルコール):「夏祭りの待ち合わせ」

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水ー族ー館

 水族館が嫌いだ。
 別に嫌な思い出があるわけではない。というより水族館に行ったという記憶そのものがない。
 正確には、幼い頃の記憶だろうか、朧げに、巨大な水槽の中をさまざまな魚が泳ぐ映像が脳裏に浮かぶことはあるのだが、いかにも曖昧で、テレビかなにかで見た記憶だと言われればそうかもしれないと頷くしかない程度のものだ。
 そんな記憶でさえ、ざわざわと肌が泡立つような生理的嫌悪を俺の中に引き起こす。ま

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産みの苦しみ

 チェーンのスーパーマーケットやファストフード店に混じって個人経営のお好み焼き屋やラーメン屋、雑貨屋などが立ち並ぶ郊外の商店街を抜けた先、小さな公園の脇にいささか唐突に、そのマンションは立っていた。タワーマンションというほどの高さがあるわけではないが、他に目立つ建物のないこの場所では十分塔のようである。私はエントランスに入り、インターホンを操作した。
 程なく、低い声が聞こえる。
「はい」
「あ、

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あの日渡せなかった言葉

 シャワーから出て部屋着を着ると、ちょうどスマホが通知音をならした。見るとあゆかからメッセージが届いている。
『家、帰ったよー』
 俺は早速返信した。
『おかえり』
『なにそれ』
『だって帰ってきたんでしょ』
『ここにいない人が言うのおかしいでしょ』
 最近お気に入りのアニメキャラが驚愕しているスタンプを挟み、さらに返信。
『いや、でも俺の家なんだし』
『それでも。今いないじゃん』
『そこ重要?』

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TRICK? OR TREAT?

「トリック・オア・トリート!」
 あたしが開口一番そう言うと、ユウキは笑った。
「なんだよ、挨拶みてえに」
「なんだよノリ悪いなあ。雰囲気でしょ」
「いや、わかるけど」
 なんて言いながらなにかをこちらに差し出す。あたしはほとんど反射的にそれを受け取った。ハロウィン風の包み紙にくるまった、飴玉か何か。
「なにこれ」
 思わずクスッと笑う。
「なんだかんだ言って準備してるし」
「ねだられそうだなって

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やっと涼しくなった

 海沿いを走る列車の窓からぼんやりと外を眺める。高い空につられたように明るい硬質な光を放つ海は、夏の間のギラギラした輝きとはまるで違って見える。
 もっとも、今年の夏は、海なんか少しも見ていないんだけどな。
 俺はあいつのことを思い出す。

「ね、明日どっか行こうよ。海とか」
 クーラーの効いた部屋のベッドで思いきり汗をかいた後の気だるい闇の中、あいつは言った。
「え? 海?」
 気乗りしない気持

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大好きなあなたへ 〜声のお便り〜

大好きなあなたへ 〜声のお便り〜

あなたには、とびっきり素敵なお手紙を書いた人を知っていて。
そうでなくても、たくさんの人があなたに気持ちを届けているのも、間違いないだろうし。
だから、僕なんかがこうしてお手紙を綴るのは、ひょっとしたら、余計なことかもしれません。
でも、やっぱり一度は、書いておきたい、伝えておきたいって思ったんです。

あなたとは本当に長い付き合いになります。
いつ出会ったのか正確なことはわからないけど、ひょっと

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