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【バトンリレー企画参加2022】ー社長へ直訴しましたー エッセイ~心に残るエピソードをあなたへ~

チェーンナーさん企画の<心に残るあのエピソード>リレーの
バトンをCofumiさんから受け取りました。

本稿では以下の企画に参加して、
「心に残るあのエピソード」をかきます。
「言葉の魔術師 詩人のCofumi」さんからバトンを
いただき、少し緊張しています。
果たして 企画趣旨にあった内容になって
いるかわかりませんが、お読みいただければ
嬉しいです。
少し昔の 自分のエピソードをお伝えしたいとおもいます。

チェーンナーさんの企画詳細記事はコチラ👇

Cofumiさんの記事は以下をご覧ください

🐶🐶🐶🐶🐶🐶🐱🐱🐱🐱🐱🐱🐰🐰🐰🐰🐰

題「社長に直訴しました」

発症の予兆:

私の父は小さな会社のエンジニアとして働いていました。 
父が59歳の冬、夜寝ると背中に激しい痛みを、毎日のように
訴えるようになりました。 
痛みで、顔がいがむほどでした。
しかし、不思議なことに、鎮痛剤を飲むとその痛みは
嘘のように収まります。
 家族は心配して、父に病院で診てもらうように何度も頼みました。
でも 仕事一途な父は、「そのうち、仕事が一段落したらな」
というばかりです。
これまで、入院など一度も経験がなく、元気そのものの体で、
自分の健康には、およそ無関心な人でした。

社長への直訴:

私の心の中に 次第に{とても黒くて嫌な感じ}の予感の
ようなものが渦巻いて 日々 大きくなりました。
 情けない話ですが、大学生だった私には、父の頑固さを
説得できる 力量が不足していました。
そこで若さの冒険で、思い切って会社の社長さんに、
直訴電話しました。
 初めてかける電話先では
「えっ 誰? 立山さんの息子さん??
何の要件なの??」と社長さんと 思われる人の
声がしていました。 数分後 やっと社長さんが
電話口に出てきました。 
ちょっと迷惑そうな 固い感じの口調でした。
私は 父の体調不調を早口で、何度も訴えて 最後に
「お願いです。社命で、病院に行くことを命令してください」と
半ば 哀願口調で 懇願しました。
社長さんは、しばらく 電話口で沈黙していました。
ようやく口を開くと
「わかりました。ご家族のご心配はごもっともです。会社では一言も
体調不良をいわないので、気が付きませんでした。
立山さんは、わが社の大事な社員です。 
今日、病院で検査をうけるように
命じましょう」
 電話を切った後、私は、その公衆電話に深く、一礼していました

入院までの道のり:

電話をかけた当日の夜、父は帰宅し、母に変な顔を
しながらいいました。
「会社から、急に 健康診断に行けと言われたよ。
会社が利用している病院に、明後日、行くことになった。
 忙しい仕事 抱えてるのになあ・・」
父のボヤキに近いつぶやきに、母は
「お父さん いい機会だわよ。ちょっと休むのも必要だから、
会社が 手配してくださったのよ」
 2日後、父は2泊3日の予定で健康診断入院のために
病院に向かいました。手荷物は小さなカバンがひとつ
「まあ ついでに 水虫も治療してもらうよ」とにっこり
笑って 出ていきました。

病状の悪化:

入院後、容態は、急傾斜の坂道を転がるように
悪化していきました。
主治医の説明は:
「末期の 肝臓ガンです。肝臓に2か所
 ピンポンボール大の腫瘍があります。
今の 医学技術では、手術は無理です。
余命1~2ケ月ですね。化学療法で
延命は試みますが、心の準備をしておいてください」
 当時の医学では、ガンは不治の病でした。
まして、肝臓の切除などは、とてもかなわない夢でした。

 入院して2ケ月後に 父は帰らない人となりました。
入院中ずっと、病院の入院代金のことばかり心配していました。
 「坊 ここの料金 払ってないよ。まだ払ってないよ」
意識が遠のく直前の、父の最後の言葉は
 「世のため 人のために 尽くしてきたのに、
なぜこんなことになったんだ。ビールが 飲みたい。
タバコ 吸わせてくれ」
 酸素テントの中に 入っていては、その願いも
かなえてやれませんでした。

エピローグ:

社長への直訴は、自分としてはとても心に残る事でした。
 でも 父の病気を 見抜けなかったのは 自分のせいだと
ずっと 悔やみ続けています。
今も 公衆電話の受話器を握るたびに、会社の社長さんとの、
緊迫した会話を 耳が覚えています。
 日頃、父の事をもっと気にかけていれば、病魔を見抜けたはずです
 いまは 父の月命日には 不肖の愚か息子として、
天を仰ぎながら 父に話しかけています。 
「父さん 病気判らずごめんね。 ほんとに親不孝なバカ息子だよね」

長々とした文章を、最後までお読みいただきありがとうございました

バトンをお渡しします:

次のバトンを、七田苗子さんにお渡しします。とても「軽妙洒脱でオールラウンドに華麗に書き綴る文章の達人」です。七田苗子さん、忙しかったらチェーンナーさんに回すとかできますので、決してムリはなさらないで下さい。ありがとうございます
七田苗子さんの 最新記事は以下をご覧ください

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