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フシノカミ~辺境から始める文明再生記~【マンガ紹介】

久しぶりの漫画紹介です!

今回の紹介マンガも異世界転生ものなのですが、主人公の人格は生まれた時そのままに前世の記憶が混同してくるみたいな感じです。

【概要】
この物語は知識欲 全開の少年が貧しい村で活躍するお話です。
この話には剣も魔法も活躍せず生活の知恵が物を言います。
ですが魔物はいるようです。

漫画:黒杞よるの
原作:雨川水海
キャラクター原案:大熊まい

主人公は少年アッシュ(8歳)
貧しい村の普通の夫婦の息子です。

この村では識字率が低く、農家による作物で何とか生計を立てるという生活が基軸となっています。

勉強は基本的に教会の神父が村の人に教えることとなっていますが、王都から派遣されてきた神父は自堕落でした。

貧しい村といってもそれを取りまとめる村長はある程度の計算など知識が必要なので修めていましたが、普通の村民に知識欲はなく農業で生計を立てる以外の考えはあまりないようです。

ですがその村長の奥様が開いてくれた朗読会を機にアッシュは知識欲に目覚め本を読みたいと思うようになりました。

なので神官(フォルケ)に本を読ませてくれとせがみます。

ですがフォルケは一から文字を教えるのは面倒…と一旦拒否します。
じゃあ本を1冊貸してください!自分で覚えますとありえないくらいぐいぐい迫られたフォルケは自分が書いた聖書の写本みたいなものを渡して最初の構文だけ教えて「もういいだろさっさと帰れ」とアッシュを追い払います。

ですが前世の記憶らしきものを持っているアッシュ。

前世の記憶からしてみても今回の生活は不便で貧しすぎてもやもやしていました。

なまじ前世の美味しい食事や生活を知っているだけに楽しみがなさすぎて苦しく辛かったのです。

前世が同じ世界なのか地球なのかは不明ですが、少なくとも中世ヨーロッパの平民かそれ以上の生活感ではあったようですね。

娯楽もお腹も飢えすぎたアッシュは本から法則を見つけて文字を覚えようと努力し始めます。

一ヶ月で文字を覚えました。

唖然とするフォルケ。
嘘だろ…じゃあ書いてみろとアッシュに文字を書かせます。

前世の知識があろうとなかろうと知らなかった文字を少しのヒントから法則を見つけ出してそれでも分からない部分は推測して覚えるなんて古代文字の解読レベルの偉業です。

それからフォルケの寝所にある本を片っ端から読む生活が始まりました。

………

神官フォルケは王都で古代文明の研究をしていた研究者でした。

成果が出ず辺境のこの村に左遷された為、子供たちに勉強も教える気もなく自暴自棄で自堕落な生活を送っていましたが、アッシュに触発され古代文明の研究欲が徐々に戻ってきました。

アッシュの頭の良さを鑑みたフォルケは自身の古代文明の高度な技術や豊かな生活への憧れや浪漫ロマンを思い出します。

アッシュも呼応します。
知識欲の塊が1人から2人になりました。

古代文明の解読に関しては現在の生活の知恵や節々に転がっているらしいです。
牛歩のように一歩一歩ゆっくりと解読の道を歩んでいくことになります。

       ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

古代文明の研究も良いですが、目下のところ貧しい村での生活では限界があることも確かです。

アッシュは村を豊かにする方法を模索して行動に移していきます。

村に行商人が来た時には村人は計算ができないからと詐欺られていることを見抜き行商人の計算違いを指摘します。
そこから軽い脅しをかけ自分の家との金銭のやり取りに対して適正価格になるように持ち掛けます。

どうやらアッシュはお人好しではなくしたたかなようですね。

3話にしてヒロインが登場。

彼女は村長の一人娘マイカです。

アッシュが知識欲を爆発させるきっかけの朗読会を開いたのは村長夫人ユイカさん

マイカは普通の男の子と違い知的で不思議な魅力を持つアッシュに恋する女の子。
こういう漫画でよくある流れシチュですがアッシュは鈍感で恋心に気づきません。

アッシュが気になり協会に足を運んだ彼女は(アッシュに近づく為)文字を習いたいと言い出しました。
どうやら識字が出来る村長とその奥さんの娘とはいえ無理に勉強を教えてはいなかったようです。
フォルケはすぐにマイカの心持ちに気づきニヤニヤしながら自分でなく年の近いアッシュが文字を教えるのが良いだろうと促します。

マイカも元々の地頭が良いんでしょう。
順調に覚えていきます。


マイカは少々不純な動機ですが、それでも何だかんだ二人の距離を少しずつ縮めながら村全体の知識が徐々に深まっていきます。

知識を深めようとする人間が3人になりました。

        ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

とりあえず物語に沿った話はこの辺にしておきましょう。
いかがでしたでしょうか。

この先の展開としては

アッシュとフォルケによる古代文明の研究、それと村の活性化の二軸でストーリーが進行していくことになります。

まずは村の発展が不可欠です。
アッシュが農業に時間を割かれると彼の願いは叶いませんからね。

ですが村での立場と言うものもありますし、社会において普通とは違うことをすると妬みや嫉妬の対象となります。
その辺の人間の根源に対する成り行きも描かれていくことになります。

村長の娘であり可愛いマイカがアッシュと仲良くなることを良しと思わない村の子供の純粋な悪意に晒されたり

植物図鑑などからの知識を得て生活の役に立たないかと模索したり

サバイバルしたりなど波乱万丈なアクシデントや気づきが展開されていきます。

彼の村は貧しく、薬の知識もないので風邪や虫歯、骨折などで簡単に命を落とすことが珍しくありません。
彼の小さいころからの友人も…。

アッシュは知識を求めます。

ですがそれは決して私利私欲の為だけでなく、苦い経験への叛逆をも意味します。
下記画像はアッシュの過去の経験。

アッシュの知識欲の根源は近しい者たちを亡くした経験です。
前世では死ぬほどのことではなく助けられたであろう病気やケガや 毎年貧しくて越せない人が必ず出る冬 への疑問符がアッシュの胸中を締め付けています。

彼の環境改善に取り組む姿勢に対する意欲は強く、ただ単に知識欲を満たしたいということではないことが分かります。

なんでもかんでもは出来ませんが、今できる精いっぱいの頑張りがこの物語には詰まっています。

人によっては地味なストーリーに見えるかもしれませんが、今の日本の豊かな生活はこうした人々の願いや想いを実現した形であることを思い出させてくれる良書マンガだと思います。

もしこの漫画が気になる方は読んでみてはいかがでしょうか。

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では今回はこんなところでノシ

メルカ

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