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今、今にびっくりしてる

今、今にびっくりしてる

私は、
自慢ではないけれど、
ネガティブなひとです。

何をしてもうまくいく想像よりも先に、
ぐだぐだに崩れた姿を思い浮かべるひとです。

最悪にさえならなければいい、
と思ってきました。

さっき、
母の部屋に飾られた写真立ての中の自分の2歳、5歳、15歳の顔を見ながら、ああ、あの頃が不幸だったとは思わないけれど、
ぎりぎり思わないでいるけれど、
絶対に二度と戻りたくないな、
と思いました。

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「書くからだ」(詩)

「書くからだ」(詩)

すこし動けば 床にへばりつく
この身体で 書いていく
 
荒れ野を行く夜
暴風の砂浜
黒い黒い海が聞こえるときも
日を撫でるのと同じ
この手が 書く

幻も 死も 水際も
花も 癖も 土の目も
胸を萎ませながら
血の流れ 骨の重みも 組み込んで
私で 書かれている

「生まれたあなた」の解説のような

「生まれたあなた」の解説のような

私にとっての「あなた」は特別が過ぎるひとです。

それが私にとっては全くなんの問題もないことですが、
自作の詩を読んだりする時には
「これは今のお相手のことですか」
とか
「恋の詩ですね」
なんて言われることが多く、
その度に「ちがいます」と説明をしてきたのですが、
大体の方が少し困ったような顔をしました。

そんなに大切なひとがいるものだろうか、
というような。
思い出がそんなふうにしてしまって

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「書欲」の解説のような

「書欲」の解説のような

書く、ことは、私の生きる理由で、
書きたいから、大抵のことは経験できてよかったと思える。
書くことは生活で、
それなのに神さまのように神聖で、いつまでも安定しないような新鮮さのある存在です。
だけど時々妹のように可愛がってみたくもなる。

書くことがなければ、私はどうやって自分を励ましていいのか分からなくなるでしょう。

書くことに依存している、ことで自分の筋力もつけていけているように思います。

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手作り第二詩集完成しました

手作り第二詩集完成しました

今日は、
絵本カフェくうねるんで【手作りの会】が開催されました。
何をするかといえば、
手で作るものを、
ちょっと他の人としゃべったりしながら黙々と作ろう!
という会です。
手作りの幅はひろく、
楽器の練習まで含まれます笑

私は作りかけのまま止まっていた詩集を作りました。
そして2時間ほどで完成!
そのままくうねるんさんに置いてきました。

第三弾も、つくる、かもしれません。

書店員 波山個間子 第1話

書店員 波山個間子 第1話

破格の11円セール中です。

もしよろしければ、レビューを書いたり星をつけるなどして頂けますと嬉しいです。

番外編もあります。

他にも短篇集などがセール中です。

「私の詩」(詩)

「私の詩」(詩)

私の中の詩
たましいのスケッチだと言ったり
窓枠で切り取った世界の一瞬だと言ったり
私の鼓動をうつしたものと言ったり
口の端に上った音だったり

それはつまり本体よりも本体らしい顔をした
つまみ食いの一口
私を語らず
私の語りたいもので描かれた
私の細胞に触った光と影だ

私の詩を抱いて
私は眠り 起き
あなたに会い あなたを去る
何度も振り返りながら

私の詩が花だったなら
大きな大きな花束をお

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「あたらしい朝に」(ちいさなお話)

「あたらしい朝に」(ちいさなお話)

 おばあちゃんは、毎日何かを書いていた。それはどこにでもあるような薄い青色のノートで、いつもそのノートを使っていたから、私は大きくなるまでおばあちゃんは魔法のノートを持っているのだと思っていた。使っても使っても無くならない、そんなノート。それをおばあちゃんに話すと、おばあちゃんは笑って「そうかもね」と言った。

 おばあちゃんはいつからか、ノートを一冊使い切ると私にくれるようになった。最初にそれを

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「わたしの樹々を切りなさい」(詩)

「わたしの樹々を切りなさい」(詩)

木こりよ
私の内の山肌が
光に飢えて 細やかに震える
だから
腕のいい木こり
私の内に繁る樹々を
切っておくれ

お前は
大きな斧を振りかぶり
固い手は握りしめ
静かに脈を打つように
長く生きた私の樹々を
安らかに横たえてくれる

木こり
お前の朝は早く 
日が熟れる頃に手を止めて
必要な動きで一日をおさめる
夜は星を仰ぎ休んでくれ
山はその肩を抱くだろう
柔らかに草は足を撫でて

木こり
ああそ

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「わたしの文章」(詩)

「わたしの文章」(詩)

私は私の文章を知らなかった
私の中で
私の文章は
面白味が薄く
ありきたりの風景の連続を
どうにか整えて色を感じることができる程度の
文章だと思っていた

はじめて視るときには疑問に浸され
じっくり見つめると ぼんやりと影が捕えられ
そっと覗いてやると やっと中心の輪郭を見る
そんな分かりにくいものだったとは
一切 横切りもしなかった
そういった私に
ひとは驚いた目

ひとの目に反射するさまを

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12・2(日記 手作り詩集完成)

12・2(日記 手作り詩集完成)

字が小さいとか、
汚いとか、
糊がはみ出したり、
ページがくっついたりしましたが、
出来ました!
久しぶりの手作り詩集。

こんなふうになりました〜。

今日絵本カフェのくうねるんに絵本の読み語り会に行ってきたのですが、
そこで店主のこっこさんに
「こういうのを作ってるんですが、
完成したらお店においてもらえますか?」
と聞くと、
快く了解頂きました!

読み語り会に参加していた、
文芸界でもいっ

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「いつか君が恋をして」(ちいさなお話)

「いつか君が恋をして」(ちいさなお話)

 君が好きになったものは、全部覚えているんだ。

それは菫色の雲の棚引く時間。君が好きになった背の高い男の子は、眼鏡が似合っていて、焦げ茶色のベストをよく着ていた。あの公園のベンチは座る部分が木製で、雨が降るたびに弱くなっていくような時期があった。そんなベンチに座って、男の子は文庫本を広げていた。革のブックカバーは使い込まれていて、小さな金色のアルファベットが二つ、くっつけられていた。傾いた日がそ

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「私が綴ったというくらいで」(詩)

「私が綴ったというくらいで」(詩)

私が孤独だったとか
私が苦労を呑んできたとか
私が憐れな日々を抱いていたとか
たとえ私が綴った日記にだって
言われたくはない
私を呼ばわれるものは
私を総じることができるものは
生きても死んでも私だけだ

「骨と羽」(詩)

「骨と羽」(詩)

孤独は 骨
その枝々に繁る
いつまでも若葉のままの自由
余り気味の羽は
肩を凝らせる