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デイサービスの役割の変化に思うこと

私は高齢者向けデイサービスでパート看護師をしています。
もう4年くらい、同じデイサービスで働いている中で、デイサービスの役割が少しずつ変化してきているなと感じたことについて、今日はレポートします。
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高齢者向けデイサービスというのは、文字通り日中しかオープンしておりませんので、老人ホームなどと違って、夜間は別のところで生活されている方たちが来る場所です。

基本的には自宅で生活している人たちなので、老人ホームなどの方に比べ、比較的元気な方たちが多いわけです。

一つの傾向としては、最初は1人で身の回りのことをすべてできていた高齢者の方が、家では一人で過ごすことが難しくなってきた人たちが、入浴サービスや食事サービス、運動やレクリエーションなどの目的でデイサービスを利用する。

次の段階として、デイサービスに通っていたけれど、夜間の自宅での生活も難しくなってきた、あるいはデイサービスのない日の生活も難しくなってきた、家族の介護負担が限界、などのタイミングで24時間一生涯暮らせるホームに移動する、というケースがあります。

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この流れがいいタイミングのときもあれば、かなりきわどいよね、という人々が増えているのが、デイサービスの現状です。

デイサービスに来所した送迎者の中で急変して病院に運ばれたお年寄り

老老介護の中、もうデイサービスで過ごすような状態ではないような方が来所されるケースもあります。
ムリは承知の上、でも家でも誰も介護できる人はいない。
家族の負担軽減のために来所せざるを得ない。
かといって、今すぐ病院に入院しなくてはいけない症状もない。
経済的な理由などでホームへの入所もできない。

そんな中で、ギリギリの中でデイサービスに通い続けていたお年寄りの中には、まさに朝の送迎者の中で意識がなくなり、デイサービスに到着するなり救急車で運ばれた方もいました。

朝から血圧低下で静養室で過ごすお年寄り

先日も、血圧が低く体調不良を訴えつつも来所された方がいました。
どうしてこのような中で来所せざるを得なかったのか?
聞いてみると、家ではヘルパーさんがみていて、デイサービスの送迎の時間までの仕事依頼となっているため、体調不良でも家で寝ている、という選択肢はないようでした。

コロナ以降、体温だけは来所前に測定し、発熱がある人はお断りしているのですが、おかしなことですがその他の症状は不問なのです。
家族や本人が行くという希望があれば来る、そういう感じです。

そのため、このお年寄りも私の判断で静養室で午前中は休んでいただき、昼食時にようやく調子がよくなってきて活動に参加することができた、そんなケースでした。

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デイサービスは元気な方が来るところだから、具合の悪い人はお断り、と切り捨てることは簡単ですが、でも家庭の環境、本人の気持ち、いろいろと総合的に判断して考えていかなくてはいけません。

「死を待ちながら」デイサービスに通うのもあり?


病院や施設で最期を迎えることだけが選択しではなく、最後まで住み慣れた自宅で過ごしたい、という方も増えていることから、ギリギリの状態ではあっても、デイサービスに通い続けることもありかも?と思う部分もあります。

デイサービスに来所されれば、少なくとも入浴などで清潔を保つことができるし、きちんと準備された食事を食べることもできる。
他の利用者やスタッフとの対話もある。
人間的な営みを続けることができる。それはとても大切なことのように思います。

マザーテレサがインドで作った「死を待つ人の家」というところでボランティアをした経験がありますが、広く捉えると、私は今、高齢者の方とのかかわりを通して、「死を待つ人々」と関わっているなと感じることもあります。

インド「死を待つ人の家」

元気なお年寄りとは元気な人なりに関わりますが、そうではなくてもう終末期かなと思うお年寄りにも、できる限り、最後まで人間的な関りを持たせていただきたいと思っています。

そんなとき、ほんの少しだけ、私もマザーテレサのように本当の意味で、人の役にたっている気がしています。


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