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noteで感動した作品の中でも、大好きな作品群です。ぜひお読みください😊
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落涙

落涙

街を見下ろして
夜を仰いで

月の傍に居てあげたい
多分
寂しがってるだろうから

わたしも
ひとりだよ

どうしようもなく
泣かないで

空が
雨を落として
街を揺らす

あゝ
なんだ

落ちる雨粒は

わたしの涙か

泣いているのは

わたしひとり

灰になっちまったぜ

人をはじめて殺そうと思ったのは小6の冬
父さんに可愛がってた犬を捨てられた時
吠えてうるさいからって
学校から帰ったらもういなかった
大きくなったら絶対ぶっ殺そうって
それだけを楽しみにして生きてきたのに
アイツ逃げやがったある日突然
ヤクザから金借りまくってよくある話か
まぁもうちょっときいてくれよ
紅茶ぐらい出すからよ
母親は弟だけ連れて逃げた
お兄ちゃんだから大丈夫だよねって全然大丈夫じゃな

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そもそも

空は生乾きのままベタベタしていて
たまらず右目を閉じると
空が半分こになったので
なんだそういうことなのかと
何か解ったような気がした

右手には齧り付いた魚肉ソーセージ
左手にはタンスとソファーの間でさっきみつけた
よくわからない何かのネジ
もう何も持てそうにない俺は
仕方が無いので
右足でリモコンを 踏み付けて
テレビをつけたら
緊急速報
お笑い芸人の死を伝える
それが俺じゃなくてよかったと思

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夜間飛行

夜間飛行

オレは飛んだ
風をはんで思い切り空に舞い上がった
あんまり気持ち良すぎて 吐いてしまった

右目に日本海
青い杉の森がうずくまっていた
夕陽が落ちると暗い森になった
何か言いたい事があるのか 森よ

消えかけた言葉のかたちをした能登半島にサヨナラをしたら
もう大阪湾だ
夜の大地は炭火のようにいこっている

宙返りをすると左目あたりで
大阪城が斜めに傾いで光の海に沈んでいった
オレは翼を休める場所が

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【詩】あげは蝶

 あたし、あげは蝶
 じゆうな、じゆうな、あげは蝶
赤、黄、赤、黄、赤、赤、黄。
蟻んこ達がうらやんでいる、シルクの翅に
 あまい風いっぱいはらまして、
お花畑をとんでたの

 あたし、あげは蝶
 かなしい、かなしい、あげは蝶
赤、黄、赤、黄、赤、赤、黄。
 おおきな赤をめざしてて
きれいなくもの巣にかかったの
 赤、黄、赤、黄、赤
のっそのっそ近づくくもに
たべられるまえ、さいごの景色は
 か

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【詩】あのころ

【詩】あのころ

幼稚園のお遊戯会で
キツネの耳と尻尾をつけて
あどけなく笑う君の写真を見て
ああそばにいたかったな と思う
だけどきっと
あのころ君のそばにいられたとしても
私は君の横で笑う
キツネの耳と尻尾の
女の子ではなく
うしろのひょろながい木にすぎなかったでしょう

教室のなか
不安と不信だらけの瞳をした
ブレザー姿の高校生の君の写真をみて
ああそばにいたかったな と思う
だけどきっと
あのころ君のそばに

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